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ヘルスケアとWeb3(ブロックチェーン、デジタルツイン、メタバース)


前書き

矢野経済研究所でヘルステック・医療ICT領域の調査を主に担当している阿部と申します
ありがたいことに、医療・ヘルスケアの市場規模MapをはじめとしたMap3部作や国民医療費Mapのnoteなど、かなり好評いただきました(ありがとうございます!)。

※なお、Twitterやnoteは弊社業務でなく個人的にやっているもので、弊社公式とかではありません。

企画趣旨

今回は、以前より個人的に注目していたWeb3(ブロックチェーン、デジタルツイン、メタバースを想定)とヘルスケア(ここでは、医療・介護・未病など幅広い領域を対象にします)について、様々な取り組みを概観しながらザックリと見ていきたいと思います。
※Xでスレッドを作っています↓

※このテーマで弊社の調査資料として売り物に仕立て上げられないかなーとも考えています(その際はゲーミフィケーション含めて、かもしれませんが)。そういったこともあり、いつも通り、あまり本格的に書きすぎないようにしています。(各HP上の文言を引用させて頂いております

ブロックチェーン・NFT

HealthCareGate「DrugN」

HealthCareGateが有する薬局業界への知見及びNFT(偽造不可のデジタルデータ)技術と、大日本印刷が有するデジタル技術を連携させ、患者自身が服薬前後のお薬画像を投稿することでポイントインセンティブが得られるアプリ「DrugN」の開発・実証を行う。これにより、楽しみながら服薬する行動を促し、薬局における服薬フォローアップや情報提供等の負担軽減及び、お薬の廃棄「ゼロ」、患者の重症化予防の解決策となることを目指す。

RIZAPホールディングス&HashPalette「“Workout to Earn”プロダクト」

2024年に初期リリースとして、GameFiによるユーザーの健康増進モチベーションの持続と向上を目指した、Move to Earn、Workout to Earnのプロダクトのリリースを予定しております。
その先の展開としては、SBT(ソウルバウンドトークン)を活用した、「ヘルスケアトラスト」の発行を推進することも検討しております。「ヘルスケアトラスト」とは、ユーザーの健康増進活動の成果をはじめとした、さまざまな健康関連情報を記録したトークンであり、ブロックチェーン上に記録されます。

暗号屋&SaveExpats「VWBL(ビュアブル)」

暗号屋(本社:福岡県福岡市、代表:紫竹佑騎)は、自己採血キットによる郵送検査サービスを海外駐在員と家族向けに提供する株式会社SaveExpats(本社:東京都中央区、代表取締役:岩田竜馬)と、持っている人だけ見ることができるNFTデジタルメディアプロトコル「VWBL(ビュアブル)」を活用した所有者だけ閲覧できるNFTを使い個人の医療健康情報を管理する国内初の事業開発を行うことを目的としたパートナー提携を発表いたします。

ヒューマンズデータ「MerhdsNFT/マーズネフト」

医療情報NFT「MerhdsNFT/マーズネフト」は、本人の合意のもと、本人と第三者間で、信頼あるデータ取引を確実なものとします。本人、検査機関などの認証については、マイナンバーカードなどの他のシステムと連携することにより、精度の高い認証を行えます。また、この認証情報を医療データに付加することにより、トラステッドデータとしての価値を生み出します。医療検査データについては、標準化整備団体との連携により、国際標準に対応した医療検査データの格納機能を実装し、2次利用による相互運用性をさらに確実なものとしていきます。

サスメド「サスメドシステム」

サスメドシステムのブロックチェーン技術を活用したモニタリングシステムを活用すれば、今までのように医療機関に出向いてデータの照合作業を行う必要がなくなります。私たちは、サスメドのモニタリングシステムが適切に運用されれば、医療機関に出向いてのデータの照合作業は不要であることを、グレーゾーン解消制度を利用して所轄省庁である厚生労働省に確認しました。

岐阜大学の各種取り組み

①テックビューロ ホールディングス株式会社と国立学校法人岐阜大学は、当社が今年6月に公開した次世代型ブロックチェーン構築プラットフォーム「mijin Catapult (v.2)」を活用した歯髄細胞流通管理システムの構築に向けた共同研究契約を締結いたしました。

②サイアムレイワは医療用大麻の栽培を行っており、ブロックチェーンを使用した産地証明を行うことで、タイに蔓延する大麻の違法栽培、違法販売、模造品、偽造品等、一 般消費者の健康を損ないかねない悪質な業者や農家との差別化を図ります。また、自社だけでなく大麻業界にブロックチェーンを使用したトレーサビリティを活用する技術を啓発し、業界の健全化ω、スタンダード化を推進していきます。

※参考:日経の記事(弊社コメントあり)

デジタルツイン

国立循環器病研究センター&NTTリサーチ「新血管バイオデジタルツイン」

国立循環器病研究センター(以下国循)とNTTリサーチ株式会社(本社:カリフォルニア州サニーベール、以下NTTリサーチ)は、2021年2月8日に共同研究契約を締結しました。国循で培った心血管の数式モデルを、同社が推進するバイオデジタルツインのプラットフォーム上で統合することによって、医師や患者が利用できる新しい医療やヘルスケアのアプリケーションを創出するプロジェクトを開始します。

大阪大学&NTT物性科学基礎研究所「ヒューマン・メタバース疾患研究拠点」

まずは2025年ごろにかけて網膜や肝臓、軟骨、卵巣などの組織や臓器を対象にしたバイオデジタルツインを作る。その後、網膜・視神経変性疾患や非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、変形性関節症、アルツハイマー病、心不全、不妊症、低身長症など9つの疾患を対象に発症メカニズムの解明を進める。将来的には、バイオデジタルツインは新しい治療法の開発に生かせるほか、仮想的な臨床試験に利用できる可能性があるとする。

https://www.jsps.go.jp/file/storage/j-toplevel/03_sinsa/PRIMe_outline_viewgraph.pdf

NTT&国立精神・神経医療研究センター「脳バイオデジタルツイン」

「脳バイオデジタルツイン」とは、受診や検査、日常生活を通じて得られる各種の身体データを、デジタルデータとしてコンピュータ内に取り込み、デジタルツインコンピューティング技術によってサイバー空間上に緻密な写像や生体モデルとして実現するものです。中枢器官である脳や神経を対象とする「脳バイオデジタルツイン」の実用化により、患者本人の体ではなくその「ツイン」を検査等に用いることができるようになります。

大成建設「デジタル技術を活用した病院デジタルツインの実現(LifeCycleOSz)」

IoT技術の進歩により、人・物の位置や状態、環境情報などの可視化が可能となりました。
ウェアラブルデバイスやIoTセンサーを活用し、クラウドシステムにデータを蓄積し、病院のデジタルツインを実現します。
可視化することで入院患者の離院検知、心拍異常検知、室内環境の最適化、
医療機器の所在把握など業務効率化、医療安全の向上が期待できます。
将来的には蓄積データからAIを活用した分析・予測など、さらなる業務効率化や行動予測による医療安全の向上を目指します。

東北大学&富士通「意思決定やプロセスの最適化を実現するデジタルツインの開発」

(ア) 患者への最適な医療提供を支えるデジタルツイン
(イ) 病院経営を支援するデジタルツイン
(ウ) 地域住民の健康増進や病気の予防を促進するデジタルツイン

大阪大学&NEC「NEC Beyond 5G協働研究所」

本実証では、Beyond 5G時代に向けてデジタルツインを活用することで介護環境に「豊かな心の世界」を創り出すことを目指します。
具体的には、気温・気圧などの環境データ、被介護者の体温・心拍数や不穏な状態になるタイミング、表情や会話内容の変化、介護者の接し方やモチベーションの変化などのデータを収集します。収集したデータから、環境変化と居心地の良さの関係や思いやりと場の形成の関係などを分析し、現実世界に反映させます。また、被介護者の心情変化を推測し、不穏な状態になるタイミングを予測してその要因を事前に変化させる、介護者と被介護者の間に弱いロボットを介在させて場を穏やかな状況に変化させるなど、リアルとデジタルの融合により介護者・被介護者の精神的な負荷軽減に取り組みます。さらに2024年度からは、NEC Beyond 5G協働研究所が提唱する「確率的デジタルツイン」を活用して物体認識や未来予測のさらなる精度向上を目指します。

武田薬品工業&PwCコンサルティング「Bodylogical」

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とPwCコンサルティング合同会社(本社:東京都千代田区、以下「PwCコンサルティング」)は、このたび、PwCの人体モデリング・シミュレーション技術であるBodylogical®(以下「Bodylogical」)を活用し、武田薬品の臨床試験データを用いて較正したクローン病のデジタルツインシミュレーションツールを用いた活動を開始することになりましたので、お知らせします。

ジャパンメディカルデバイス&UT-Heart研究所「心臓シミュレータ」

心臓シミュレータは東京大学の研究者により研究開発を進められてきました。その主たる研究者は心臓シミュレータ専門のUTH研を設立し、東京大学とともに研究開発を継続しています。
JMDは、スーパーコンピュータの性能を限度まで引き出すプログラムチューニング能力、及び高度な数理・物理プログラミング能力をもって、2019年4月以降、UTH研の心臓シミュレータのプログラム開発、およびシミュレーションスピード向上の面で貢献しております。2022年からは、その能力と貢献が評価され、心臓シミュレータの開発メンバーに迎えられ、研究開発にも参加しております。

※参考:日経の記事

※参考:NTTのバイオデジタルツインに関するニュースリリース

メタバース

順天堂大学「バーチャルホスピタル」

順天堂医院をバーチャルホスピタルとして再現して通院前に病院がどのようになっているのか、治療などの様々な体験が今後できるようにしております。まだ開発中であり今後、更なるサービス追加の予定です。

出所:バーチャルホスピタルの取り組みについて

横浜市立大学「MeeTaa」

MeeTaa(ミーター)は、10代〜20代の若者が気軽に集まれるメタバースのプラットフォーム。医師や心理系専門家もサポートする中、デジタルメディスンとなるゲームや音楽などのコンテンツや仲間とのコミュニケーションなど、心理特性に合ったケアと快適なつながりを提供します。
MeeTaaを利用することで、若者が主体性、自尊感情、つながる力などの自己特性を向上させ、たくましい心(心理的レジリエンス)を獲得してほしい。それによって、若者の生きづらさを解消し、持続可能で高いウェルビーイングを実現する社会を創造したい。そんな想いから、開発を進めています。
MeeTaa(ミーター)は「me + meta(verse)」で、自分とメタバースが融合する場所。Meet(会う)や「見た」の意味もあります。

岡山大学病院「遠隔地の希少がん患者と家族をつなぐメタバース」

  • 患者さん同士や、患者さんと家族の交流ができるメタバース(仮想空間)を新規に構築した。

  • メタバースの利用により遠隔地にいる希少がんの患者さん同士が交流できる場を提供していく。

  • がんサバイバーの方の講演や、妊孕性などのデリケートな話にも有用。

Relic&NTTドコモ「MetaMe」

バーチャル空間において、他の利用者とコミュニケーションを通じて“私らしさ”を育めるコミュニケーションサービスです。利用者の価値観を反映する「Identity World(アイデンティティ・ワールド)」と、コミュニケーションの場となる「Community World(コミュニティ・ワールド)」の2つの概念から構成されます。
(3)健康 × MetaMe “メタWellness”
「Identity World」内で案内人であるペットのオコジョに話しかけると、ペットのAI対話機能を活用した自分を振り返るセルフケアが体験できます。

VR Healthcare「VR CHATで医療相談」

ソーシャルVRアプリのVR CHATにて、VR医療相談集会を開催しております。VR上のアバターを介し、医師と一対一でプライベートな内容を相談することができます。また、医療従事者を含めた複数人で、気になる事について話し合うこともできます。

VRカウンセリングプラットフォーム「HIKALY」

HIKALYはVRカウンセリングプラットフォームです。
VR空間で、現実世界でのカウンセリングと遜色のないカウンセリングが体験できます。

MentaRest「MentaRest」

MentaRestは、メタバース上の心理カウンセリングサービスです。社員が気軽に楽しく相談できることで、近年急増するメンタルの不調を予防します。

comatsuna「メンサポドクター」

アバターによる対話には心理的障壁を緩和する効果や自己開示を促す効果等が、様々な文献により示されています。
アバターによる対話により、社員様の潜在的な不満や不安、悩みを抽出し、適切なサポートを行うことが可能となります。

備考

Web3.0/メタバースでヘルスケア産業を革新する中外製薬の新たな挑戦

2023.11.28 DX記者説明会 富士フイルムグループ DXの取り組みのご紹介


※諸事情あり、未完といえば未完なのですが一旦リリースしました(後日加筆修正予定)。

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