これはあなたの物語?
窓際のカウンターに置いてある絵本。
高円寺にある
『えほんやるすばんばんするかいしゃ』さんで数年前に購入したものです。
表紙の色に惹かれ、
題名に惹かれ、
買わない選択肢がなかった絵本。
藍色の表紙をめくれば、
カラフルな色の世界へ。
*
これはふかい森の奥にある
一件のケーキ屋さんのお話です。
ミス・ショコラは
毎日一人で100個ものケーキを作ります。
月明かりがたよりの夜明けの頃。
ミス・ショコラはケーキの材料を探し始めます。
やまぶどう、きいちご、ブルーベリー…。
森になる実を慎重に摘んで、
時々美味しそうなのを我慢できずに
つまみ食いをしながら。
朝になる頃には、
沢山のケーキが店に並びます。
お客様は森に住む沢山の動物たち。
*
この絵本を読み終えたあと、
私の店を訪れるお客様たちにも読んでいただきたいなと思いました。
そう思って購入した本が
店の中には沢山あります。
そしてそんな本たちは、
おすすめしなくても並べているだけで
多くの方が手にとって下さるのです。
小さいお子さまからお母さん、
お仕事休憩の若者や、
年を重ねた素敵な奥さま。
色んな方に手に取っていただいていて、
この本がお気に入りになった子は
来店する度にコレ読んでと
お母さんに頼みます。
あるとき
「これはヨシミさんのお話みたい。」
と言ってくれた親子がいました。
またあるときは
「これはあなたの物語ね。」と
いつもお一人で本を読んでいらっしゃるお客様に言われた事もありました。
あまり会話を交わした事がなかった方でしたが、
ここで過ごす時間と
本を読んで感じたものが
どこか似ていたのでしょうか。
ミス・ショコラは
『私はケーキをつくるのがとくいだから、自分にできることをしているだけ。それで、みんながよろこんでくれるから、わたしはとってもうれしいの。』
と言います。
そして森の動物たちも
自分達の得意なことを探して、
ミス・ショコラのお手伝いをしたいと思うのです。
絵本の中のお話ですが、
これは現実の世界でも起きること。
一人で出来ることは限られていて、
どこかで皆助け合っているはず。
大変な時は一人で抱え込まずに
手伝ってと言ってみる。
誰かが困っていたら
何かお手伝い出来ることはないかなと考える。
自分が出来ることをやっていると、
それを喜んでくれる人がきっといるから。
私もそんな風に日々を過ごしていて、
ふとした時に
思いもよらない贈り物が届く。
それは目に見えるものだったり 、
そうじゃなかったり。
「これはあなたの物語ね。」
この言葉は私を喜ばせようとして
出たものではないはず。
だからとても嬉しかったのです。
私は自分の出来ることをやっていただけ。
そうしていたら大切な宝物をもらいました。
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