代々木 巡

創作用アカウント。 週刊少年マガジン原作大賞奨励賞。お読みいただきありがとうございます。

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「亡失のイグニスタ」第3話

その少年を、ミスティは「ギース……」と呼んだ。 鋭い雰囲気を漂わせた少年。 切れ長の瞳は威圧的で、強い精神力が漲っている。 ギースは、ぎらついた目で千里を見た。 …

代々木 巡
9か月前

「亡失のイグニスタ」第2話

イヨを吸収した千里。 覚束なく拳を握って構えるが、ミスティは「待って!」と静止した。 「私はウィスプを倒すために戦ってるの。ウィスプがいなくなった今、あなたと戦…

代々木 巡
9か月前

「亡失のイグニスタ」第1話

7年前、とある山奥のひっそりとした集落が、一夜にして壊滅した。 住民が一人残らず、何者かによって殺害されたのだ。 事件はすっかり日の沈んだ時刻に起こった。 道端で…

代々木 巡
9か月前

「亡失のイグニスタ」第3話

その少年を、ミスティは「ギース……」と呼んだ。

鋭い雰囲気を漂わせた少年。
切れ長の瞳は威圧的で、強い精神力が漲っている。

ギースは、ぎらついた目で千里を見た。

「何だこいつは」
「ついさっきイグニスになった子。成体ウィスプを吸収したの」

ミスティの言葉に、ギースは「成体ウィスプだと?」と目を見張った。

千里は、ギースの眼前に迫り、こう言った。

「明美ちゃんに謝ってほしい」

見ると、

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「亡失のイグニスタ」第2話

イヨを吸収した千里。
覚束なく拳を握って構えるが、ミスティは「待って!」と静止した。

「私はウィスプを倒すために戦ってるの。ウィスプがいなくなった今、あなたと戦う理由はない」
「どういうことだ? そのウィスプというのは一体何なんだ?」
「本当に何も知らずにあのウィスプと一緒にいたのね」

ミスティは、自分の持つ情報を千里に開示することにした。

「私はミスティ。アンダーカバーに所属するイグニスの

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「亡失のイグニスタ」第1話

7年前、とある山奥のひっそりとした集落が、一夜にして壊滅した。
住民が一人残らず、何者かによって殺害されたのだ。

事件はすっかり日の沈んだ時刻に起こった。
道端で男が突如、まるで誰かに刺されたかのように、腹から血を流して倒れたのだ。
周囲には刃物を持った人などいなかった。

通行人が男の傍に集まってくる。
そのとき、別の女が呻き声を上げて倒れた。
背中に大きな切り傷が生まれていた。

集落は阿鼻

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