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その音楽は誰に届けたいと思って創作しているのか

noteでも何度か記事にしていますが、3月19日に2曲(2部作)をアップした。

音楽はもちろん、デジタル化が可能な創作物はインターネットによって個人の発信が容易な世界になって久しい。
その時期を具体的に示すことは難しいが、プラットフォームの成熟に伴い、その数は増え続けている。

成熟するということは飽和することでもあり、黎明期のような破壊的な享楽を味わう経験に出会える頻度は下がり、画一的な世界が資本主義的宿命を以て造成される。

そんな時代に突入している現代において、クリエイターはどのように自分の作品をより多くの人に届けられるのだろうか。
発信は出来ても届けられなければ、やはり承認欲求は満たされない。
そこにもやはり資本が入り込み、甘い誘惑を投げかける。

再生数とイイね、または高評価数は一種の麻薬だ。
終わりもない。
次から次へと欲する。

そこで一度立ち止まって考える。
その数字の中身は一体どうなっている?
それはお前が欲した、本当に届けたいリスナーかい?

中にはその数字の達成こそが目標であって、創作物は手段に過ぎない、という人もいるだろう。
それを否定する気はない。
目標が明確であることは喜ばしいことだ。
資本主義が実体経済から著しく乖離し、マネーゲームとなっている現代において、ただ数字の達成を目標にすることは必然でもある。

翻って自分はどうであろうか。
私は、私の作る音楽を気に入ってくれそうな人に、何とか届けたいと思っている。

今回、まずニコニコ動画にアップをしたが、VOCALOID系動画は”何もしなければ”こちらの方がYoutubeよりも見てもらえる確立が高いからだ。
昔ほどの勢いはなくなったが、いまだにその文化は残っており、リスナーがいることは確かだ。

とはいえ、今回の曲はいわゆるVOCALOID的世界から一歩抜きん出た音声合成技術を用いたソフトを使用した。
周りの誰しもが人間の声だと思って疑わなかったのだから、それは本物だろう。

そんなタイプの曲であるから、私は少し勝負に出たいと思った。
ニコニコ動画は200~300程度の再生数で落ち着いてしまい、その後は伸びない。
手前味噌であるが、私の曲は1回聴いただけで味わい尽くせるものではない。
しかし、無名作家の曲をスルメのように聴いてくれる可能性はゼロに近い。

何はともあれ、より多くの人に聴いてもらう機会を創出し、その中から一人でもそういった人に出会うことを望んでいる。
2017年に作成したミニアルバム『迷宮季譚』は、その意味でそういったリスナーの確認をすることが出来た。
その人がブログを書いており、エゴサによって見つけたからだ。
その方のブログはまだ健在だったのでリンクをします。

この人には自分が伝えたかったことをほぼ伝えられており、的確な評価をいただけた。というよりべた褒めだったのでちょっと恥ずかしかったところもある。
これは再生数の数など比べ物にならないほど嬉しかったし、どこかに自分の音楽を理解してくれる人がいる、というだけでも自信にもつながった。
この場を借りてありがとう、と言いたい。

今回もまた、コンセプトアルバムにする、という意気込みで制作しているのでテンションは当時と同じくらい高い。

しかし、時代が少し違う。
テクノロジーは日々進化し、プラットフォームの概念も変わっていく。

ニコニコ動画は国内ではまだまだ捨てることが出来ないのは確かだ。
ではYouTubeは?

そこではじめてGoogle広告を使用してみた。
動画内に表示されるタイプではなく、設定によって抽出された対象者のおすすめ枠に表示される、というものだ。
クリックしなければ料金は発生しない。

この設定がとても細かい。
国や性別、年齢層、趣向、広告を出す曜日や時間帯などを設定でき、指定の動画にピンポイントに出すことも出来る。
この細かさがあるから、しっかり設定すれば無駄打ちは少なくて済む。

色々と実験も兼ねて2週間ほど試してみたが、結果はこちらをご覧ください。

ちなみに今回の曲をYouTubeにアップしたことはSNSで一度も発信していない。
現時点でリンクはすべてニコニコ動画だ。

Part1の広告は少し無駄打ちをしたようだ。
Part2は戦略を立てたので、かなり伸びた。

私は拘ったのは国だ。
自分の音楽はジャンルでいればプログレメタルに近い。
熱いメタルファンがいるのはどこか、私的には南米だった。
ということでブラジルからの流入が圧倒的に多かった。
年齢層も高めだ。

つまり、ニコニコ動画でいくら頑張っても届かない。
ニコニコ動画のリスナーは若いからだ。もちろん若者でも気に入ってくれる人もいる。
しかし、現在のニコニコの文化的には適さないので伸びないだろう。
なので、今後はこちらはアップしなくてもよいのでは、と思う。

YouTubeの広告で使用した予算はPart1、2ともにおよそ3,500円程度だ。
今後、アルバムを配信する際に、新曲アップと共にダウンロードサイトをリンクする広告を打ってみようと思う。
今回はどのくらいの人がクリックするかを知るための調査だったともいえる。

蛇足だが、昨日ニコニコ動画にも初めて自分でニコニ広告とやらを1,000円ほど使用して打ってみた。
しかし…再生数は今のところ一桁しか増えていない(笑)

ニコニ広告は基本リスナーが推しを応援するために活用するものなので、その目的が違う。
YouTubeは自分の動画を自分でPRするためのものだから、とてもきめ細かい設定ができるのだ。
普通に考えれば広告ってそういうものだし、大手も大金を使ってプロモーションをする。
広告を打たずに発見される確率など無きに等しいだろう。

いかに効果的に使うか、それをアマチュアは自分自身でマネジメントする必要がある。
でも、それは結構楽しいことでもある。

『その音楽は誰に届けたいと思って創作しているのか』

タイトルにしたこの問いは創作の原点でもあり、目先の数字に一喜一憂せず、自分の音楽を理解してもらえる人に届けることを考えたいと思う。

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