憲法とは何か

憲法は『国民の権利の保障』とその権利を 『公権力が侵害しないため』に守るべき条文が書かれている成文法だ。
 
つまり、憲法は”国民に向けて書かれた法律”ではなく、国家権力全て(とそれを担う公務員)に対し、保障された国民の権利を侵さないために書かれた命令の書だ。
ところで、この国の主権は国民であり、その権利を守るために奉仕するのが国家公務員なので、憲法理念からすれば、代議士を”先生”と呼ぶのはとても愚かなことだとよくわかる。
 
私が『憲法は国家権力全てを縛るもの』だと気づかされたのは、故小室直樹氏の『日本人のための憲法原論』という本を読んだときだ。
憲法とはそもそも何かと、その成立の起源や目的、意味を、憲法素人の疑問に答える対話形式で書かれている、とても読みやすく分かりやすい本だ。
 
今日は憲法記念日ということで、改めて日本国憲法を読んでみた。
特に長いものではなく、さらっと読めてしまう分量だ。
そして、まさに上記の視点で書かれている。
 
全部で11章103条あるが、特に重要なのは『憲法前文』『第2章 戦争の放棄(九条)』『第3章 国民の権利及び義務』で、それ以降はそれらを守るための機関、国会や内閣、司法の運営について細かく規定している条文となっている。
 
国は国民の権利を保障するために存在するし、そのための法律を制定する義務を負っていることが分かる。
 
『憲法改正』が何を意味するのかの前に、憲法とは何かを確認し、その何を変えようとしているのか、何のために変えるのか、そもそも変える必要があるのか、そういった議論がしっかり国会で行われ、その内容がしっかり国民に熟知される努力をしているだろうか。
”審議に時間を割いた”という既成事実だけを積み重ね、議論にすらなっていないことは多々ある。
しかし先の投稿に書いた通り、権力とメディアは癒着しているので、権力の広報と化したメディアかがそれを伝えられるかはとても疑問だ。
 
だから憲法改正の議論や発議はいいが、その前にしなければならないことがある。
情報公開に関する諸々の仕組みを改善し、報道の自由度ランキングで少なくとも10位以内に入るくらいにオープンにすること。
そのために公文書管理に関して不正が隠されるようなことがない仕組みを整えること。
 
憲法改正の是非を国民に判断させる素地は、まだまだできていないと思われる。
 
この記事のような意味のない2択を迫る前に、
『憲法とは誰のために書かれた法律か知っていますか?』
と問うて欲しい。
 
この問いこそ、小室直樹氏が『日本人のための憲法原論』のはじめに発したように、重要な議論のスタートになるから。