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『ペリリュー ─楽園のゲルニカ─』

漫画原作の賞に応募する関係もあり、久しぶりにいくつか漫画を読んでみました。

『この漫画が凄い』というランキングの新しいものから、

ダーウィン事変
チ。―地球の運動について―
トリリオンゲーム
チェンソーマン
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─

の各1巻を購入(電子書籍)。

そして次が凄く読みたいと思ったのは
『ペリリュー ─楽園のゲルニカ─』
だけでした。

しかもこの作品は1巻が無料。
ということで全11巻を読了。

太平洋戦争末期のパラオ諸島、ペリリュー島での戦役を描いた作品ですが、3頭身くらいのかわいい絵柄です。
今はもう戦争体験者は90歳を超えていますので、描き手も未体験者になります。
完全に歴史となってしまった時代なら描きやすいと思いますが、中々難しい時期だと思います。
それは作者も重々承知で、挑んでいます。
きっかけは先の天皇皇后両陛下のパラオ慰問だったそうです。

今回読んだ他の作品との大きな違いはテーマからして明白です。
これは相当な覚悟なないと取り組めません。
でもだからこそ、凄い作品だったと思いました。
フィクションではありますが、そこにある死の現実描写、シチュエーションは真実を描きたいと述べており、それは本当にそうだったんだと思えるものに仕上がっています。
3頭身だけどそこはリアルなんです。

この作品は彼ひとりで調べて描いているのではなく、生存者からの聞き取りなどを蒐集してきた研究者や編集者の資料整理などの協力の元作り上げています。
自分が経験していない戦争、今のところ最後となっているかの世界大戦をどう語り継いでいくかはとても重要なテーマだと思います。
この作品はアニメ化も決まったようで楽しみです。

始めてしまったら行きつくところまで行かないとやめられない、という不条理を繰り返す日本は、根本的にはこの時から今も変わらないなぁ。と改めて思いました。
合理性のかけらもない、気合と根性と偽りの忠誠心で一体何人の命が消えていったことか。
空気が支配する社会の何と恐ろしいこと。

『何のために戦っているのか』

この作品から伝わる『太平洋戦争とは』は、その一言に尽きるのかもしれません。
先が無いことが分かっていても止められない、戦争末期は本当に酷いと思う。
特に深い信念もなく、即席の神国は砂上の楼閣であり、戦後は手のひらを返したようにアメリカを受けれ、だからこそ驚異的な回復があったとも言えますが、それだとやはり死んでいったものが浮かばれないなと思います。
先の投稿で三島由紀夫に触れましたが、まさに彼が憂いていたことはその薄っぺらさなんですよね。


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