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心を研ぎ澄ます日

バリ島には、バリの暦で210日に一度巡ってくる、トゥンプッランドゥップ(Tumpek Landep)という"鉄"に感謝する日があります。

鉄で出来たもの…

車やバイクにお供え物をするのが一般的になって来ていますが、この日の本当の意味とは…

心を研ぎ澄ますことだった、というお話。


この日は昔から、儀式用の短剣(クリス)などにお供え物をして清め、 感謝を捧げる日でした。

短剣(クリス)にお供え物をしている


今では鉄製品全般、普段私たちが使う車やバイク、コンピューターなどにもお供え物がされます。前日から車やバイクを洗車する人もいて、トゥンプッ・ランドゥップ当日はお供え物を付けたピカピカの車やバイクが、バリの道路でよく見られます。

お供え物をされたバイク


飛行機にもお供え物をして儀式を…


前日から車やバイクを洗車する人もいて、トゥンプッ・ランドゥップ当日は、お供え物を付けたピカピカの車やバイクがバリの道路でよく見られます。

洗車され、お供え物をされた車


バリ島の彫刻家、
チョコルダ・ラカの家にはその昔、同じく彫刻家であった彼の父親の弟子の職人たちが30人程もいて、トゥンプッ・ランドゥップの日は1日、彫刻の仕事を休み、普段、寺院の祭礼用の彫刻や、神像を彫る、鉄で出来た彫刻刀を一同に集めて家寺に上げ、清めてお供え物をしたそうです。

そして皆で祭礼用の料理"ラワール"を作って食べました。
(ラワールは野菜や肉、ココナッツフレークや数々の香辛料を、木の丸い大きなまな板に乗せ、男衆皆で細かく刻んで混ぜた、バリ島の伝統料理です。儀式や祭礼の折には必ず作られて供えられます。)

http://fb.me/cokordarakacrgallery


バリ島の彫刻家チョコルダ・ラカの道具 鉄で出来た彫刻刀 先の形がカーブしているもの、 平らなもの、 尖ったもの、 大小それぞれ異なる 32本の彫刻刀 その中から使用する彫刻刀を一本選んで、左手で握って刃の部分を彫るところに当てる 槌(つち)は、頭の部分が硬くて重いタマリンドの木でできていて、 柄の部分がココナッツの木でできている 槌を右手で握って、槌の頭部を彫刻刀の端に打ちつけ木を彫る、たいへん力の要る仕事


『白檀のサラスワティ 』
チョコルダ・ラカ作


『Angel』
チョコルダ・ラカ作


トゥンプッ・ランドゥップは現在では一般的に、

鉄に感謝をする日→

ひいては

鉄で出来た車やバイクにもお供え物をして神様に感謝、

そして祝福を受ける日
(日本人的に見ると交通安全祈願的にもとれる日)

と言う認識になっていますが、

元々のこの日の意味を、彫刻家であり、バリの精神世界に 非常に造詣が深い、チョコルダ・ラカに聞いたところ、

トゥンプッ・ランドゥップ
Tumpek Landep の
ランドゥップ Landepという言葉には、
尖った・鋭いという意味があり、
最初は人々にわかりやすく、
"鋭い、尖った"物として具現化された物、短剣(クリス)が示されたのですが、

元々は、

私たち人間の心、

考えを

研ぎ澄ます日でした。


それならば、

心を研ぎ澄まして、

人間が、

利便のために作り出した

鉄で出来たものを、

多くの人の幸せのために賢く利用し、

決してそれらに自分が使われることなく
(それらを手に入れたいという欲望に振り回されたり、
それらを手にしてそれらに人生をコントロールされたり)

ましてや、

爆弾や兵器と言った、

人間が人間を傷つけるために

使われることのないよう祈ります


🙏


さらには、

心を研ぎ澄まして

本当の自分、

大元の自分、

ハイアーセルフとか

真我と呼ばれる自分に繋がり、


その本当の大元の自分は、

"神"と呼ばれるものや

大いなる"自然"、

"宇宙の源"と

繋がっていて


こことさえ繋がっていれば、

どんな状況にいようが

どんな情報を目にしようが惑うこともなく、

この

"魂"と呼べる自分に

自動操縦で

自分の人生の走行を委ねる

ことのできるよう、


心を研ぎ澄ます

そんな日であれば…


なぜなら、

導きは自分の目にするもの、

耳に聞こえること、

他、至るところににあり


それらを

"導き"と受け取れるかどうかというのは、

心がいかに研ぎ澄まされ、

そこに意識を向けることができるか

と言うことだと思うからです。


大晦日のバリ島より

昨日がトゥンプッ・ランドゥップの日でした。

2024年
善き新年となりますよう✨

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