ソードアート・オンラインは女性向けである

ソードアート・オンラインは少女漫画でありディズニーアニメだ。

いやちげーよ、と思われる方が大多数だと思う。
当たり前である。
もちろん、少女漫画でもディズニーアニメでもないからだ。
しかし、あえて言わせてもらう。

ソードアート・オンラインは少女漫画でありディズニーだ。

それゆえに女性からの人気も強いと言えるのかもしれない。

では、何がどう少女漫画、またディズニーなのか。
それについて考えたいと思う。
(シリーズ1作目から2作目に焦点を当てています)

  1. キリトは少女漫画に登場する憧れの男子生徒

  2. さらわれたお姫様と救い出す王子様


まず、

1. キリトは少女漫画に登場する憧れの男子生徒


これについて考えたい。

そもそもSAOは、主人公がゲーム世界に転移/転生してしまう設定を流行らせた作品だろう。
10年ほど前にアニメ化がされ、爆発的にヒットした記憶がある。当時私は高校生で、設定に目新しさを感じたように思う。あ、異世界じゃなくてゲーム世界に転移なんだ、と。
題名にもなっているSAOというゲームは、VRを進化させたようなゲームで、異世界転生よりリアリティのある設定のように思う。
ゲーム世界に自分が入れるというものは、VRも同じようなものである。それを更に加速させたSAOは、他の小説よりリアリティとファンタジーがうまく混じりあった設定のため、それはヒットするのも納得だった。

加えて、キリトという主人公がゲーム世界でチート級に強い、という点も挙げられる。
今では当たり前の俺TUEEEE系主人公だが、当時はまだまだ少なかったため、キリトが縦横無尽に活躍する様は爽快感が強く面白みがあった。
やはり、俺TUEEEE系主人公が流行った立役者のひとつは、このSAOという作品だろう。

そんなSAOの主人公であるキリトだが、10年経った今でも女性に根強い人気がある。

上記のサイトだと、未だに10位にはランキングするよう。
ちなみに私は特に好きでも嫌いでもないです。

さて、このようにして根強い人気を誇るキリトだが、私が思うにライトノベルの主人公で女性人気を獲得したのはキリトが初めてではないだろうか。
いやそんなことはない、という人がいたらごめんなさい。

それに加えて、今ではこのような記事がある。

上記の記事では、キリトから理想の彼氏を学んでいる。
(ちなみに理想の彼氏の条件に「醸し出る富豪臭」があり笑ってしまった。すごい即物的じゃん)

つまり、キリトは「理想の彼氏」なのだ。
顔が良く、ゲームが強くてヒロインに一途な、「理想の彼氏」である。

ライトノベルの主人公が「理想の彼氏」として挙げられることは、なかなかないように思う。
少なくとも、2000年代のライトノベルの主人公ではなかった。

では、そんなキリトが今までの、というよりSAOが流行りだした2010年前後の主人公とは何が違うのか。

まず、顔だろう。
私が記憶する限り、ライトノベルでイケメンの主人公はいなかったように思う。主人公の友人やその周辺の男子がイケメン、という設定の方が主流だったはずだ。

次に、先程も挙げた圧倒的な強さ。
泥臭さやみすぼらしさはなく、力だけではなく頭脳も使いスマートに戦う。

そして、ヒロインに対する一途さ。
これが一番、要素としては一線を画しているように思う。
というのも、ライトノベルは絶対にハーレムを作り出すため、主人公は様々なヒロインたちと恋愛関係を作り出す。最終的に結ばれるヒロインは決まっているわけだが、そこに至るまでに他のヒロインたちとあんなことやこんなことを繰り広げるのだ。
それもライトノベルの醍醐味と言えるだろう。

しかし、キリトは違う。

最初から最後まで一貫してアスナしか見ていない。
もちろん、キリトの周辺にはアスナ以外の女の子もいるが、それでもキリトはアスナ一筋だ。
確かに現実に当てはめれば、それは理想の彼氏だろう。

ちなみに、私が2次元にハマったきっかけはライトノベルだが、振り返ってみればライトノベルの主人公にガチ恋したことはない。少なくとも、私が読んでいた2000年代のライトノベルの主人公を彼氏にしたいなどと思ったことはないのだ。
(というかどのライトノベルだろうと登場人物を彼氏にしたいと思ったことがない)
いつだってキュンキュンしたのは少年/少女漫画の登場人物だったように思う。

話を戻すと、キリトはそれらライトノベルの主人公像とは違う主人公像を生み出したと言える。

ここで、キリトの設定をもう一度振り返ってみたい。

・顔がいい
・圧倒的な強さ
・ヒロインへの一途さ


いかがだろう。
少女漫画に登場する、主人公が好きになる男性キャラクターの要素が詰まっているように見えないだろうか。この設定だけを見たら、少女漫画の男性キャラクターの要素と言っても過言ではない。

いやいや、性格とかも織り込んだら違うのではないか。

そういう人もいるだろう。

少女漫画で一番売れた作品は「花より男子」であるが、その漫画のヒーローである道明寺司なんて人間として見たらなかなか酷い。なんなら主人公のつくしをいじめ倒した張本人である。
生卵を投げつけ、レイプまがいのことをし、はたまた人を屋上に吊るしてみたり、臓器が破裂するまで殴り倒したり。
列挙した行為は逮捕されてもおかしくない、他人をいたぶることに快楽を感じる異常性を孕んだ男である。
だが、そんな道明寺が主人公の牧野つくしと結ばれたのだ。道明寺はとにかくイケメンな金持ちで、喧嘩にも強く、そして何よりつくしに対して一途であるのが特徴でもある。

つまり、性格とかはさて置き、まずは顔の良さ、可能であれば力が強く、そしてヒロインへの一途さが大切なのである。このことからSAO内でのキリトは、ヒロインと結ばれるかは別として、少女漫画における憧れの男子生徒にはなり得るのだ。
仮に性格に難があろうと、それすらも良く見えてしまう。

このことからキリトには少女漫画の憧れが詰まっているのだ。

2.さらわれたお姫様と救い出す王子様


さて、1ではキリトが少女漫画のヒーロー的な立ち位置になり得る話をしたが、2ではSAOがディズニーアニメの王道を行っている話をしようと思う。

というのも、アスナがさらわれてキリトが救い出す、このストーリーを王道と言わずしてなんと言おう。

もっとも、昨今のディズニーのプリンセス像は現代に合わせて自主性と自立性を持ち合わせ、ただ王子様に助けられるだけの女の子ではない。
しかし、やはり昔のディズニーアニメのプリンセスは虐げられ、王子様の存在に助けられるのが定石である。
それらを踏まえると、アスナは自主性があり強い女性で、現代のプリンセスに当てはまりながらも敵に囚われの身になるという、今と昔の主流を兼ね備えた最強のプリンセスと言える。

さて、囚われの身のプリンセスを救い出すには王子様が必要である。
もちろん、その役回りはキリトだ。
攫われたお姫様を救うために、キリトは様々な困難を切り抜け、最終的にはお姫様を救い出して結ばれるわけだ。
もしこれが御伽噺なら、めでたしめでたしと言って終わってもいいくらいである。

やはり、ストーリーが王道の昔話である。
それを現代版に仕立て上げるとこのようになるのだろう。

SAOは少女漫画でありディズニー作品である。
女性が心くすぐられる要素がそこかしこにちりばめられている。

こういった王道ストーリーを男性向けのライトノベルで展開することに関して、男性はどのように楽しんでいるのか少し気になりもする。かも。




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