見出し画像

【ビジネス書解説】「50歳からの逆転キャリア戦略 「定年=リタイア」ではない時代の一番いい働き方、辞め方 」

こんにちは。
今回は、前川 孝雄さんの「50歳からの逆転キャリア戦略 「定年=リタイア」ではない時代の一番いい働き方、辞め方 」について解説していきます。

はじめに

気づけば50歳を超えて、会社人生も最終コーナー。
もう少しの辛抱でゴールと思っていたところなのに、60歳のはずの定年が給与を大幅に下げられて65歳まで働け、と言われ始めた。
このような状況で、「このまま会社にしがみついてもいいこともなさそうだし、もう辞めようかな」と思う人は多いです。

しかし、著者である前川 孝雄さんは、「辞めるな」ではなく、「まだ、辞めるな」と言います。
それは、会社を辞める前に今の会社でやっておくべきことがまだまだあるってことです。

これからの時代は、定年という概念自体がなくなります。
60代、70代、さらにその先を新しい人生としてスタートしてください。
そのためにも、しがらみやお金に縛られるのではなく、本当に自分がやりたい仕事に打ち込んでいける素晴らしい未来を作ってください。

新しいキャリアのスタートであれば、日々の仕事の意味合いも大きく変わります。
そして、学び直しなどの準備も必要になります。
今までの経験値や強みを、定年後、不動のものにするためにどう磨くか、弱みを補強するためには、今からどんなことを経験すべきか、考えていくことが大切です。
キャリアは、上司や会社の指示・命令に耐え続けた職業人生ではなく、自分のキャリアのハンドルを自ら握る人生を歩むことです。

今回は、自分自身のキャリアをコントロールするために必要な考え方と準備について、8個を厳選してお伝えします。
勉強になった、もっと知りたいと思った人は、いいね、やコメントを是非お願いします。


具体的なアクションプラン

【1個目】 やりたいことがない人

「あなたのやりたいことは何ですか?」この質問にすんなりと答えられるミドルは、それほど多くはないです。
圧倒的な売り手市場であった就職活動の時代。
自分のやりたいことを深く掘り下げて考えることは一般的ではなかったと思います。

なおかつ、移動、転勤、昇進など、入社後のキャリアに関しては、全て会社が道を示してくれていました。
同期はみな同じように出世を目指し、それぞれが組織の競争の中で自分を磨いていればよかったです。
何をやればいいかは会社が決めていました。
だからこそ、組織人としての考え方や業務上のスキルは身についていったとしても、自分が何をやりたいのか」を見つめ直す機会などはほとんどなかったです。

その結果、学生にあなたのやりたいことはなんですか?と質問している中高年の人事担当者自身が、会社に与えられた言葉でしか自分のやりたいことを語れない状況に陥っています。

会社に依存しない第二の職業人生を自分で創り出そうという時にやりたいことがないのでは話にならないです。
自分自身で自分のキャリアを決めて、自分自身の内から湧き出るモチベーションに従って働くことが、第二・第三の職業人生の醍醐味です。
そのため、やりたいことがない人は、まだ会社を辞めてはいけないです。
会社に依存しないことは会社を辞めて転職・独立することと一緒ではないです。
自身のやりたいことが明確にできたとしても、その実現のためには転職や独立をするより、今の会社の役割に打ち込んだ方が良いケースも考えられます。

また、軸がない人はちょっとした挫折で、「こんなはずじゃなかった」と折れてしまいます。
まずは、自分のキャリア、自分の人生について、自分自身の頭で考えてみてください。
深い自問自答を積み重ねることで、きっと答えが見えてきます。
すぐに見えなくても、やりたいことに打ち込む社外の人たちに会いにいくことで、自分を見つめ直すことから始めてもいいです。

その結果、自分に足りないもの、今から会社でできることも理解できるはずです。


【2個目】 変化に対応できない人はどうなるのか?

大企業のミドル世代の中には、長年にわたって一つの業務にのみ携わってきた人も少なくないです。
同じ業務をずっと行ってきたため、当然、その業務に必要なノウハウやスキルは習熟しています。
また、若い社員には負けない自信もあるはずです。
その業務が必要とされている限り、会社からも重宝されます。

しかし、このタイプの人たちは自分の専門領域に固執するため、視野が狭まくなる危険性があります。
自分の仕事をこなすことばかり考えてしまいます。
周囲の同僚の仕事や社内の他部門の仕事、また世の中で起こっている大きな変化をほとんど意識していないです。

周囲の影響を受けずに、同じ仕事の繰り返しばかり執着していると、変化に対応する力が徐々に失われます。
また次第に変化に対して恐怖心を抱くようにもなります。
これは致命的です。

2015年の、野村総合研究所によると、10年から20年後には日本の労働人口の約49%が人工知能やロボットによって代替可能となる未来予測を発表して話題になりました。

今、50歳の人が60代、70代になる頃には、現段階では想像もつかない変化があらゆる職場で起きている可能性があります。
変化への対応力を磨くことなくして、いまの会社でのキャリアを継続することはできないです。
変化の時代には、新たな状況や、環境に直面するたびに、素直な心で貪欲に周囲から学ぶ姿勢が大切です。
この姿勢は、現在の会社にいながらも十分に養うことができます。
この変化対応の重要性に年齢は関係ないです。
長く働き続けるためには、中高年になってからの姿勢が大切です。


【3個目】 社名や肩書きにこだわる人はどうなるのか

大企業で管理職を務めてきたミドルには、それなりのプライドがあります。
しかし、社名や肩書きに必要以上にプライドを持っている人は、そのプライドが、第二、第三の職業人生で邪魔になります。
他人からどう見られるかを意識しすぎてしまうため、やりたいことに向かうことができなくなってしまいます。

しかし、今や大企業の社名が持つインパクトは小さくなっています。
特に今の若い世代にとってはかつてほど大きな意味を持っていないです。
そのため、若い世代は、社名への執着心が驚くほど弱いです。
問われるのは、その会社や、そのポジションで何をしてきたかです。

また、今の若者は、社会課題に関心が強いです。
併せて、社会課題に対する貢献欲求も強いです。
社会貢献度の強い若者は、組織内の閉じた出世争いには動機づけされないです。
だからこそ、出世争いなど、内向きで無駄な争いは意味がないです。

大企業でできた人脈は、辞めてしまうと脆いものです。
僕たちの能力や魅力ではなく、会社の看板やポジションで近づいてくるからです。

取引先の担当者や上司や、部下とも人として丁寧に信頼を築いていない限り、会社を辞めた後もそれまでのような関係を続けることはできないです。
大企業の変なプライドは捨てて、人とのコミュニケーションを見直すことは今からでもできます。


【4個目】 年収200万円台では生きていけないのは本当か?

大企業で働くミドルが、第二、第三の職業人生を考える場合、まず収入に対する考え方のリセットが必要です。
今のような収入を得ることが当たり前と思っていると身動きが取れなくなります。

2017年発表の国税庁「民間給与実態調査」によると、給与所得者のうち、年収400万円以下が57%と半数を占めています。
年収300万円以下も39%に達しています。

大企業のミドルが得ている年収は、必ずしもその人の現状の能力やパフォーマンスに応じたものではないです。
改めて現在の市場価値に応じた評価をされた時、700万円、800万円といった年収を保障してくれるものはないです。

日本の現状では、副業やフリーランスを奨励する傾向にあります。
何より人材不足が大きな問題になっています。
外国人労働者が増加して、人口減少による経済の縮小で仕事の絶対数が減ってくれば、新しいタイプの働き方が生まれてきます。

もはや世帯主の男性だけが外に出て稼いで、家族を養う考え方は一般的じゃなくなっています。
年収200万円同士でも共働きなら、世帯の年収は200万円です。
これなら苦しいながらも家計を組み立てることは可能なラインです。
そしてこれからは、働ける年齢になった子供も、まだ働けるおじいちゃん、おばあちゃんも外に出て働いて、一緒に生活してみんなで家計を支える家族の在り方を考える必要があります。

働き方やライフスタイルを見直すことで、厳しい時代を生きていくことは十分可能です。
現状の生活を基準に、年収200万円では生きていけないと嘆くのではなく、年収200万円時代に対応して、家族や地域で支え合う生き方を実践してみてください。


【5個目】 「年収=フロー思考」から「資産=ストック思考」へ

僕たちは、独身なら自分自身の年収、夫婦共働きの場合は世帯の年収という単位でマネープランを考えがちです。
この考え方は、お金が毎年入ってくる金額を基準に考えるフロー思考と呼べます。
50代に入って、年収が下がれば、使えるお金はどんどん減ります。
老後に2000万円が必要と言われる中で、60代、70代になってさらに給与が減って、年収がいくら入ってという計算をしていくと、不安感ばかり募ってしまうのも無理はないです。

このような考え方を持つ人は、発想の転換が必要です。
このフロー思考を両親の資産を含めたストック思考に切り替えることです。

個人が保有する金融資産は、民間企業の1.5倍の1,829兆円にまで達しています。
金融資産の60%を60歳以上の高齢者が保有しています。
高齢者世代は、日々の生活は年金でやりくりして、老後のために預金などの資産にはできるだけ手をつけない人も非常に多いです。
マイナス金利政策の影響もあって、大量のお金が使われることもなく、銀行預金に眠っています。

今は、親子でお金の話をする機会も少ないです。
その結果、親が認知症を患うと本人名義の口座から預金を下ろしにくくなり、いざ親が亡くなって相続するときには、多額の相続税を支払うことになります。

現役世代は平均年収が下がって、税金や社会保険料の負担が増える一方です。
日本は、主要先進国の中で財政支出全体に占める公的教育支出の割合が最低ラインにあります。
現役の子育て世代が苦しい生活を強いられているため、高齢者が自分達の贅沢のためだけに資産を浪費することは健全とは思えないです。
これも親子でお金の話をしてこなかったことが要因にあると考えられています。

高齢者が多額の資産を保有できているのは、もちろんそれぞれが現役時代に努力をしてきたからです。

しかし、時代が変わって、現役世代が高齢者を支えていくことが社会構造として難しくなっています。
だからこそ、親子で考え方を変えて、親の資産全体を捉えてしっかりと話し合うことも大切です。


【6個目】 「元気だから働く」のではなく「働くから元気」になる

最近、継続雇用制度の導入や定年の延長・廃止が進み、サラリーマンが65歳まで働き続ける環境が整ってきました。
また、労働力不足もあり、65歳以上のシニアを積極的に雇用する企業も以前より増加傾向にあります。

内閣府の平成30年版高齢者社会白書によれば、60歳から64歳の労働人口は1990年には372万人でしたが、2017年には536万人にまで増加、65歳から69歳は199万人から454万人にまで増加しました。
労働人口全体に占める65歳以上の割合は、1990年の5.6%から2017年の12.2%まで上昇しています。

もはや定年=リタイアという時代ではなくなりました。

働くシニアが増えている背景には、高齢者雇用を促進する国の政策の影響もあります。
また、年金だけでは生活が厳しいシニアもいます。でも多くは国民年金しかない元自営業者で、厚生年金や企業年金まである元サラリーマンは生活苦で働いているわけではないです。

高齢になっても働かざるをえない社会と一方的に解釈するのではなく、半数以上は仕事に生きがいや社会参加を求めていることがわかります。
元気だから働くのではなく、働くから元気です。定年まで病気一つせずに元気で働いてきた男性が、リタイアして自宅でのんびりした途端に体調を崩す話が増えています。

元気の源は「やりがい」と「つながり」です。
人は働くことによって人や社会とつながり、働いて誰かの役に立つことで自分の存在意義ややりがいを実感します。
ぜひ、定年する年代を見据えて、今のうちに積極的に他部署の仕事に関わって、教えてもらう働き方を意識してください。


【7個目】 50代から求められる自律的な働き方へのキャリアシフト

働きがいを追求することが第二、第三の職業人生を強固なものにする上で必要です。
そこで大切なのが「キャリア自律」です。
組織の論理のみに従って生きるのではなく、自分の価値観に従い、自分のキャリアを定めてください。
そして自分で考えて、自分で選択することが大切です。
年齢に関係なく、働くことの幸福を味わい続けることができます。
入社以来、会社の指示や命令に従って生きてきたミドル世代は難しいものです。
一度しかない大切な人生です。
大きなジャンプをするためには助走が必要になります。
だから安易に会社を辞めずに、自分の価値観で動いてみてください。


【8個目】 自律型人材になるための6つのステップ

企業でキャリアを重ねてきたミドルが充実した第二、第三の職業人生を歩むためにはキャリア自律が求められます。
わかりやすく言えば、他人からの管理や、支配ではなく、自分の考えに従うものです。
キャリア人材は自分自身の価値観をベースに、自ら仕事や役割を創り出して、周囲を巻き込んで人の役に立つ成果を上げることができます。

会社の外に出る前に、キャリア自律を身につけることが大切です。
そのためには6つのステップが重要です。

1つ目は、キャリアビジョンの構築です。
まずは自分がやりたいことを明確にしてください。

2つ目は、マインドセットです。
給与や肩書きではなく働きがいを重視して下さい。
自分の価値観を軌道修正して、主体的に行動できるマインドを養ってください。

3つ目は、相場観や、市場理解です。
会社の外に目を向けて、自分の市場価値を正確に把握してください。

4つ目は、自己認識や、強みの棚卸しです。
社会でも通用する自分の強み、鍛えられていない弱みを整理して正しく認識してください。

5つ目は、キャリアプランや、腕試しです。
第二の職業人生でやりたいことを実現するための具体的な計画を立てて、トライアルとなるアクションを起こしてください。

6つ目は、強みを補強してください。
ここまでで気づいたことを踏まえて、社内での実務経験をより強固なものにすることで弱みをカバーしましょう。

6つのステップをしっかりと実践することで、僕たちは着実に自律型人材に近づくことができます。
自分がこれからどういう道筋をたどって、どこへ向かおうとしているのか、意識してください。

人は50歳からでも変わることができます。
焦りは禁物です。
じっくりと自己改革に取り組むことができるのは、安定した企業で恵まれた環境があるためです。
6つのステップの途中で慌てて会社を辞めてしまうと、自己改革も中途半端になります。

一つひとつのステップに真剣に取り組み、小さな変化を感じてください。

更に詳しく学びたい方は、こちらの動画をみてください♪

解説は以上です。

育児と仕事を両立する女性、早期離職が心配される若手など、企業は多様な部下のキャリア支援や働き方改革を現場上司に求めるようになっています。
ミドル世代は入社以来20〜30年にわたって積み重ねてきた経験には大きな価値があります。

 誰しもが多くの困難を乗り越えてきました。
共に闘ってきた仲間も含めて多くの財産になっています。
その経験値には価値があります。
50歳以降の第二、第三の職業人生を考えるとき、土台となるのは今までのキャリアです。

ただし、それは何よりも今までの業界経験や職種経験を活かした働き方を選ぶべきというものではないです。
自分の経験を棚卸しし、やりたいことや強みを整理し、新たにブラッシュアップしていくことで、未経験の領域までを含めて自分の可能性を広げることができます。
自分にはこれがある、という発想からスタートできると、キャリアの選択肢も広がり、働く楽しさを再認識することができます。
人は元気だから働くのではなく、働くから元気です。
これまでのキャリアで疲弊感を感じることが多かった場合、ミドルからシニアへ向かう第二、第三の職業人生にこそ、働くことの醍醐味を体験できるものです。
働く楽しさを満喫しながら日々を生きる60代、70代、その先の自分を改めて想像してみてください。

本来働くことは楽しいものです。
今から始めるのはそのための準備なのですから。

今回の解説が勉強になった、参考になったという人は、いいね、やコメントを是非お願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?