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サピエンスが進化させた、権力者を抑えるための5つのSTOP──ゴシップ、公開討論、皮肉、不服従、そして暗殺。# RevDom |エボサイマガジン

悪が勝利を収めるために必要なことはただ一つ、善良な人びとが何もしないことである。" ────エドモンド‪バーク


# 原初の逆支配階層/リバースドミナンスヒエラルキー

原初のサピエンス社会には、逆支配階層があった。
それゆえ「支配者」は存在しなかった。

そうは言っても、ホモサピエンスという動物が遺伝子に刻まれた地位欲や支配欲を失ったわけではない。そのことは#RevDomシリーズの前回の記事で確認した通りだ。

  • >参照:狩猟採集民の「闘争的平等主義」〜自らの地位を気にしないのではなく、誰もが地位に執着し監視することによって実現するエガリタリアン社会。#RevDom

チンパンジーに似た類人猿の祖先から受け継いだドミナンス本能───地位欲や支配欲を発生させる遺伝子プログラム───はまだ消え去ってはいない。

その欲望はオレたちの中にまだしっかりと保存されており、殺人衝動や不倫衝動と同じように、状況や文脈に応じてコストとメリットに応じて、機を見て芽を出す。

誰だって人間だから、誰だって動物だから、地位欲や支配欲がムクムクと起き上がってしまう瞬間がある。

自分の思い通りに他人を扱き使いたくなる時がある。
自分の思い通りに動く召使いを従えたくなる時がある。

ダースベイダーのように支配的かつ暴力的で、他人に強権的に命令し、〈恐怖〉の感情を動作させることで人を動かすような高ドミナンスタイプの人間が、狩猟採集集団内で突如として頭角を表しはじめた時、彼が権力者、さらには独裁者への階段を一気に駆け上がるのを防ぐためには、周囲の狩猟採集民たちは、一体どのようにしてそれに対処したのだろうか?


オランダ人進化心理学者で「進化リーダーシップ論」の創始者でもあり、進化論の視点を経営学に取り入れるべきだと訴えているマルク‪·‬ファンフフトは、このような非常事態に備えて、ヒトは〝5つのSTOP〟権力者抑制手段として本能的に発達させていると言う。

進化経営学ではヒューマンネイチャーの重要性が謳われる。社員からの支持を取りつけたい・失脚したくない経営者は、以下を頭に入れておくべき、ということだ。

Mark van Vugt

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【「サピエンスの心と行動のロジックを隠れた生物学的動機から読み解くマガジン。進化心理学のフォースを身につければ、世界が変わって見えてくる。】

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