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おきなわいちば 高安編集長×アートディレクター山里真弓さん「おきなわいちばならではの“空気”を感じてもらうために。アートディレクターとして心がけている、3つのこと」

空気をつくるーー

わたしたちの目には見えないけれども、たしかに脳裏に焼きつく。あのページをめくるたびに伝わる雰囲気を、いちどふれると忘れらない記憶となります。

沖縄には、さまざまな雑誌やフリーペーパーがありますが、なぜおきなわいちばの誌面から、やわらかな空気を感じるのでしょうか。

2018年9月19日に、おきなわダイアログで開催された「『おきなわいちば』を作ろう〜おきなわいちば編集講座〜」からヒントを探ります。

今回、第2コマめとして、おきなわいちばの高安編集長とアートディレクター山里真弓さんによって伝えられたのが、「アートディレクターの仕事とは?」について。

おきなわいちばの編集長として、長年勤めてきた高安さん、そして創刊55号を機に2代目アートディレクターに就任した山里真弓さんにとって、「デザインへの思い」とは何か。おきなわいちばの誌面から空気を伝えるために、おふたりが心がけていることを中心に、レポートとしてお届けします。

*トークの内容を一部、編集してお届けしています。

これまでのかたちへ思いをはせて。わたしなりにリブランディングするために

おきなわいちば55号から、約10年間続いてきた誌面のデザインが大きく変わったことに、どのくらいのひとが気づいていたのでしょうか。

現在、おきなわいちばのアートディレクターを務める真弓さんは、これまで10年間、先代が築き上げてきた空気感や世界観、そして編集部が大切にしてきた軸がブレないようにすることを意識しているそう。はじめは、誌面で取りあげる特集で意図する意味を理解することさえ、苦労したといいます。

山里真弓(以後、真弓):わたしは、雑誌のデザインに関わることがはじめてだったので、先代のアートディレクターの存在が大きなものでした。

はじめ、高安編集長とも相談しながら、少しずつデザインに手を加えていって。先代は、男性でありながら、かわいらしいデザインだったので、そこにわたしなりに新しいテイストを入れたいと思って、これまであまり使ったことのないタッチのイラストを入れました。そのデザインが、読者から好評で、わたしなりのデザインが少しずつ見えてきたかな、と思います。

真弓さんへと代わり、とくに変わったデザインについて「文字数」だと高安編集長は過去をふりかえりながら伝えます。

真弓:わたしにとって、おきなわいちばの特徴といえばビジュアルを大事にしていること。

だから、ビジュアルを通して取材先のストーリーを伝えるときに、単純に文章を増やして写真を説明する必要はないし、反対に写真だけで伝えるのも違うかなと。文章と写真が、お互いに相乗するような空気をデザインで表現することを大切にしています。

編集者の思いを汲みとれるように。アートディレクターとして大切にしていること

おきなわいちばは、何人かの編集者がそれぞれの担当を受け持ち、誌面を制作しています。そのなかで真弓さんは、おきなわいちばのアートディレクターを務めるうえで大切なことは、編集者の思いを丁寧に聞くことだといいます。

真弓:編集者が考える企画の意図や思いを、きちんと理解できるまで対話を続けます。そこで、企画の本質を理解しないと、デザインや色あいなどでズレが生じてくるんですよね。

高安編集長は、さらに加えて「真弓さんは、編集やライターがつくった文章をぜんぶ読んだうえでデザインをつくってくれる」と評価します。

真弓:編集者がつくる文章に加えて、よりストーリー性をもたせるためには、写真選びが重要です。

たとえば、発売されたばかりのおきなわいちばの最新号「おきなわデザイン」においても、編集者が考える世界観や空気感を伝えるために、わかりやすい説明的な写真ではなく、伝えたいことを象徴するような写真を選定するように心がけました。

そして、おきなわいちばを手を取ってくれる読者にその空気を伝えるためには、「楽しさを忘れないことが大切」と真弓さんは語ります。

真弓:やっぱり、読者にとって、「このデザインは楽しいかな」「キャッチコピーが読みづらくないかな」と細部までこだわりつつ、わたし自身、楽しさを忘れない。その結果として、おきなわいちばからやわらかな空気が伝わると思うんです。

次回は、編集者座談会「取材、撮影、原稿書きウラ話」

次回は編集者座談会が行われます。ワークショップでは、参加者同士グループにわかれ、雑誌づくりの企画をかたちにする工程に進みます。

参加者のみなさんが宿題として持ち帰った取材や写真撮影を、どう仕上げていくのか、おきなわダイアログも楽しみにしています。

From Okinawa Dialog


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