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〜難病とはりきゅう〜その16「5/6 第10診 古傷治療の後処置」

変化


この日のキタムラさんは横になって休んでいた。


「先生いつもありがとうございます」
今日はなんだか少し疲れてしまって


そんな会話で始まったのですが

最近は、しっかり眠れた上で立ち上がりなども問題が無いそう。

  


古傷の後には体がだるくなることなどもあるのだが

それは特になく、何だかスッキリした感じがしたそうで

朝晩の足の温かさなどもあって気持ちが楽とのこと。



キタムラさんは、体調の把握がとても上手になっていて

自分の日中の変化や、気持ちのコントロールなど


大変だろうけれど、引っ越しも終わって

自分と向き合うという時間が出てきたことで、自身の体調把握が上手になったのだと思います。



日頃の臨床でもそうなんですが

元気になる人と、ならない人では違いがあって


治療で元気になる人は、必ず自分と向き合う時間を取ります。

自分を知ることで、自分が自分を治す力を認識できます。

治療で元気にならない人は、自分と向き合う時間を作りません。

自分がいつまでも分からないから、元気になるのも人(体)任せ。



自分の体はこの世に一つしかなくて

その人自身が向き合うほかないのだけれど、現代では自分の体すら

「誰かがコントロールしてくれる」

と思っている人が多いです。



そんな事は全くなく、自分で考えるしかありません。

知り、考え、学び、向き合い、改善していく

この過程を経ることがなければ人は変わりません。成長が無いのです。


いくらいい薬が出たって

その「薬の効果」ばかり見ていてはダメです。

「薬を受け取る自分の体」に向き合う必要があるのです。



少し難しいかもしれませんが

例えば、胃が痛い人も、胃だけに認識を置くのではなく

「自分の体の力」を認識していくことで、力が変わっていくんです。



不思議に思えますけどね、そうなんです。



治療者がすべきこと


私は弱いから、自分と、この病気と向き合えなくて


そう言っていたキタムラさん


でも、今は

「今はこんな状況で、こうこうこうで」伝えてくれるほど向き合っているし

ノートに体調までつけてくれている。



こんなこというのも何だが

医療人になる際「患者教育」をすべきだと習った。

生活の指導やアドバイスをしていくのがメインだったように思うが


今は

「いかに(治療者と患者が)同じ方向に向かうか」

「歩みを止めずに歩き続けるか」

という事を意識すべきなんだろうと結論していて



キタムラさんをはじめ全ての患者さんは

「治療を受ける人」なのではなく「元気になる人」なのだから


自分がただただ治療を受ける、のではなく

自分が進みたい方向に、医療という力を借りて歩く人

になる訳だ。



単純な治療方法の説明などではなく

この病気が人生にもたらしたもの、この病気にどんな意味があるのか、や

体のでき方、仕組み、いのちの働きなど


治療で行う全てや

体やいのちという働き

をとにかく伝えていくことが「患者教育」なのだと思っている。



この病気を通して、より良い人生に向かうためには

自らの足で立ってもらわなければならない。

どれだけ辛くとも、苦しくとも

立ち上がり、歩くのは本人でしかない


「元気になりたい」という純粋な気持ちを、全ての行動に繋げる。


ここを何度も何度も繰り返すべきなのだ。


病気は、学びであり人を強く賢くする。

その学びを一人にだけ背負わすのではなくともに背負う。

そんな気持ちで日頃から治療をしている。



話が外れたが

キタムラさんは、段々と自分の体と向き合っている。

それがいかに尊い事かぜひご理解いただきたい。


難病と呼ばれる、絶望すらしたであろう状況を

直視して、なおも自立したいという気持ちを失っていない。

それを目の前にして、全力で向かう以外に手を知らない。


これからも、支えていきたいと思う。



治療

今回は、恥骨のあたりがとても痛く

背中の中央あたりの背骨が痛んでいた

特に胸椎5−7あたりの痛みが強いようだった。

左足首周りの痛み、左臀部の痛みも出ていた。

そして、左の肋骨あたりも痛みが出ていたのでそこがムセに関係しているだろうなと思った。


今日の治療は、お灸もせずに胸の骨とお腹の境目に鍼を当てながら全身に集中する治療をした。


足元の温かさは以前とは違い、冷凍庫から出してきたかのような冷たさは落ち着いてきていた。



背中の治療をしながら、少しずつムセが治っていくキタムラさんだったが

途中で


先生、ご縁ができたこと本当に嬉しいです。いつもこうやって治療してくださって。。


と言葉がつまりながら、感謝を伝えてくれた。

顔は見えないけれど、表情や気持ちがとても伝わってきた。



こちらも同じ気持ちですよ。

まだまだまだまだやる事はあるけれど

一緒に頑張りましょうね。



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本プロジェクトではALSという難病の治療を行なっています。
徐々に身体の動きができなくなるという難病で、いまだに治療法が確立されていません。
今回、その症状に対して「東洋医学」とくに鍼灸治療で治癒を狙っていきます。

積聚(シャクジュ)治療という治療法を行なっていますが、東洋的な発想に基づいて体系化された治療で、「古傷」も含めて治療をします。過去、この治療法でALSと向き合った症例は無いのでは無いかと思います。前例が無い挑戦です。
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