【効果あり】職場の人間関係で不可欠な3つの教え
1年で1割辞めてしまう日本人
厚生労働省の令和2年雇用動向調査結果によると、1年間の離職者数は約700万人と言われ、離職率は、14.2%にも及びます。ここからわかることは、たった1年間で「10人に1人は会社を辞めている」ことです。
退職の理由の多くが、「給料が安い」「人間関係が悪い」「やりたい仕事ができない」「辞めさせられた」と言ったものでした。具体的に見てみましょう。
男性
1位:定年・契約期間の満了 16.0%
2位:給料等収入が少なかった 9.4%
3位:職場の人間関係が好ましくなかった 8.8%
女性
1位:職場の人間関係が好ましくなかった 13.3%
2位:定年・契約期間の満了 12.7%
3位:労働時間、休日等の労働条件が悪かった 11.6%
教え① やっかいな相手でも良好な人間関係を築く
「人間関係が煩わしい」「できるなら関わりたくない」という人が増えています。『困った上司・やっかいな同僚 職場のストレスに負けない人の考え方』の著者であるエイミー・ギャロ氏は、「社会のつながりは認知機能や忍耐力、積極性を高める」「仲のよいチームは高い業績を出す」「協力的な同僚がいる人はストレスが少ない」と、社会のつながりには大きな恩恵があるといった研究結果を提示します。
同僚との親しい関係が情報やアイデアの共有、自信や豊かな学びにつながること。単調な仕事でも社会的なつながりに貢献すれば、刺激的な仕事をしている人と同じように満足や充足感を得ることがわかっているのです。
また本書で紹介されている、職場文化の研究で有名なコンサルティング株式会社ギャラップによれば、「職場に親友がいる」と答えた人たちは、「仕事に対するエンゲージメントが高く、顧客とのかかわり方が上手で、幸福度も高い」割合が、そうでない人と比べ7倍も高く、さらに「仕事中にけがをする確率が少ない」ことがわかったのです。
対照的に、職場に親友がいないと答えた人たちは、仕事に対するエンゲージメントを持っている確率が12分の1にとどまったといいます。つまるところ、煩わしいといって孤立するのはリスク。煩わしさを受け入れ飛び込んでしまった方が人間は安心するのです。
教え② 心理的安全性の効能
最近よく耳にする「心理的安全性」という言葉。これは、「組織やチームに向けた、素直な意見、素朴な質問、そして違和感の指摘が、いつでもだれもが気兼ねなく言えること」という意味です。そう唱えるのは、強いチームをつくる術『心理的安全性のつくりかた』の著者、石井遼介氏です。
心理的安全性のある職場とは、「その提案おかしくないですか?」「私はこうした方がいいと思います。」「まだわからないので、教えてくれませんか?」といったように、素直に発言できる職場のことを指します。素直に発言できる心理的安全性があれば、強いチームになり、変化の激しい時代でも成果を出すことができるといいます。
その理由は、「Google」によって証明されました。Googleは4年の歳月をかけ、「効果的なチームは、どのようなチームか」を調査・分析します。その結果、導き出されたのが、「チーム内でどれだけ協力できるか?」といった結論です。さまざまな協力がある中、もっとも重要だったのが「心理的安全性」であり、心理的安全性のあるチームは、離職率が低く、収益性が高かったのです。
教え③ 親しき中だからこそ礼儀が必要になる
クリスティーン・ポラス(著)『Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』
「礼節ある人は得をする」どころか、生産性を上げ、職場の人間関係を良好にします。反対に、「無礼」な人がもたらす被害はどうでしょう?著者は、無礼な人が社会経済にどれだけコストをかけているかを数値化しました。アメリカ経済に与えるコストが、なんと「1年で5000億ドル」にも及びます。
アメリカ心理学会の試算によれば、仕事上のストレスが原因で、職場で発生する事故の60~80%はストレスが原因で、毎年5500億日もの就業日が奪われているとのこと。
さらに、著者は17の業種の800人の管理職、従業員を対象に調査を行います。その結果、職場で無礼な態度を取られている人に次のような特徴があったのです。「48%の人が仕事にかける労力を意図的に減らしている」「47%の人が仕事にかける時間を意図的に減らしている」「80%の人が無礼な態度に気を病んでしまい、そのせいで仕事に使うべき時間を奪われている」「78%の人が組織への忠誠心が低下した」という調査結果となりました。
親しき仲にも礼儀ありといいますが、親しき仲だからこそ礼儀が不可欠になるのです。
まとめ
コロナ禍によって、人間関係が希薄になりました。人と人とを接触させない事態は、人間がもっとも恐れている”孤独”をつくりだしてしまったのです。職場においてもうわべだけのつき合い、疑心暗鬼が蔓延り、組織を侵食しています。この現状を打破するには、やはり組織が能動的になるほかありません。心理的に安全な職場、礼節を重んじる職場といった仕組みで考えることで、組織は自然治癒していくでしょう。
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