ZABADAKの詩世界 (動画追加)
私は以前、当noteでの拙文「上野洋子 & 坂上真清コンサート」(削除)にも少し書いたことだったが、故吉良知彦氏によるバンド、ZABADAK(ザバダック)を長く愛好してきた。
折に触れては、持っている幾つかのアルバムを聴き返してきた。日々を生きていくとき、ザバダックの音楽が必要であることを感じている。
ザバダックの音楽の作曲は、吉良さん(と、86年のデビュー時から93年までは上野洋子さん)によるものだったが、“作詞”については幅広い人々が参加していた。
後に吉良氏と夫妻になり、氏の逝去(2016年)後からはバンドを率いている小峰公子さんはじめ、新居昭乃さん、杉林恭雄さん、種ともこさん、高橋鮎生(AYUO)さん、原マスミさん、更にバンド初期にドラマーだった松田克志さん…といった人々だ。
ZABADAKは、彼等の持ち寄った詩世界が非常に重要な側面を持っている。今回の記事ではひとつひとつの曲について詳述しないが、
「日本語のもつ独特の響きや、文法の特殊性、また美質」
を、何よりこの人達の書いた詩を通して受け取り、感じ、味わい、また学ぼうともしてきたようにおもう。(なお、AYUOさんだけは英語詞で参加していた。アルバム「音」(94年)など。)
ZABADAKの音楽は類いまれな美しさと力を持つもので、世界的にもこんな音楽を奏でるバンドは存在しない…と、言い切っていいはずだ。独自の詩的世界は86年のデビュー作「ZABADAK-1」からすでにあった。それは最初から確固たるものだったのだ。
手元に数枚あるアルバムから、筆者はこれまで、どれだけ励まされたり、なぐさめられたりしてきただろう。
バンドの知名度が、不可解なほど低いように思う。残念でならない。
このバンドをまだ御存知でない方は、アルバムならば「銀の三角」「私は羊」「桜」「音」など。ベストアルバムなら「decade」や「創世記」を。
そして、曲としては以下の、
「Harvest Rain」
「チグリスとユーフラテスの岸辺」
「遠い音楽」
「海を見に行く」
辺りをまずは聴かれてみてほしい。