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なぜスタバのバイトはハイスペックが多いのか?なぜ司書の給料は安いのか?


なぜならスタバにも図書館にも魅力、やりがいという「魔力」があるからである。

 スタバのバイトの人は能力が高いな~って帰省の帰り際、駅に併設されているスタバでクリームフラペチーノを買うときに思った。まじめに笑顔で働くのはまず当たり前。大量のメニューやカスタマイズを処理し、素早く調理する。会計時には客の風貌を見て適度な雑談を交えてくれるし、商品を渡すときにきめ細かく注意点(ストローの取り方とか砂糖の場所とか)を教えてくれる。気が利いてるな~と毎回思う。しかも私が遭遇した限り100パーセント、イケメンで美人だ。そんなスタバであるものの、バイトの時給はほかのバイトと大して変わらない。あんなにサービスがいいのにだ。あんなにスペックの高い人ならば、もっと割のいい仕事がたくさんあるような気がする。それでも、彼らは進んでスタバでバイトをするのだ。
 
 なぜ彼らはそれでもスタバでバイトをするのか。それはスタバでバイトすることに1000円強の時給以上のものを見出しているからに他ならない。お金以上のものを感じているから、バイトをしているのだ。お金を超える魔力、そう、これがいわゆる「やりがい」ってやつだ。スタバが素敵な仕事(キラキラしている仕事)であるからこそやりがいが生まれ、時給が高くなくてもハイスペック人材が自然と集まってくるのである。

 そう、図書館司書も同じなのだ。魅力、やりがいがありすぎるからこそ、給料が安くなっていくのだ。

需要と供給の関係で考える

 せっかくなので経済学的に考えてみよう。自治体が司書の募集をするとする。それに対して求職者が応募する。自治体側が「需要」側で求職者が「供給」側である。ある財に対して、需要と供給は一般に何で決まるか。それは「価格」と「総量」だ。この場合の価格とは給料のこと、総量とは求職者の数である。求職者の数は数えられないので給料だけで考えてみよう。給料が安ければ応募が来ないし、給料が高ければ応募がたくさんくる。当たり前の話だ。ただ、こういった仕事の募集というのは、必ずしも給料だけがすべてじゃない。正規雇用だったり、福利厚生だったり、ワークライフバランスだったり、そういった様々な条件が「価格」になりえる。その中で、「魅力」「やりがい」というのは「価格」となりえる重要なファクターの一つだ。魅力ややりがいで仕事を選ぶ人は結構いるであろう。そして、「魅力」「やりがい」といったファクターが大きくなるほど他のファクターが圧迫されて、減っていく。「価格」を構成するファクター100パーセントが給料ならば、ひたすら給料が高い企業が選ばれる。50パーセント給料、50パーセントワークライフバランスならば、残業が少なくて給料が結構いい、コスパの良い企業が選ばれるだろう。この枠に「魅力」「やりがい」が入ってくると、ほかの要素が削れてしまう、という話だ。その削れた分が例えば、正規雇用でなく契約社員、派遣での雇用になり不安定になる。その分給料が少なくなる。という形で反映されてしまうのである。
 図書館司書という仕事に「魅力」「やりがい」がなければ、ここまで契約、派遣での雇用形態は増えないであろう。給料が安くても働く人がいるならば、わざわざ雇用条件や給与を上げる必要性がない。この事実こそが、図書館司書司書にどうしようもなく「魅力」「やりがい」があるということの証左なのだ。

図書館には、本には「魔力」がある

 ここまで冷静に書いておいてなんだが、ちなみに、かくいう私も図書館アルバイトを行っている。しっかり最低賃金だ。ああ、図書館って素晴らしい!図書館最高!
 ↑皮肉にしか聞こえないかもしれないけど、割と本音だ。大学生アルバイトであるという面もあるが、本に囲まれて働くというのは、どこか胸が躍って、楽しくなるものなのだ。少なくとも大学1年生でやっていた時給1400円の塾講師バイトよりずっとやっててよかったと思う。(なお、塾講師バイトは無償労働分を考えると最低賃金をゲフンゲフン)
 それだけ図書館には、本にはお金だけで判断できない「魔力」、言い換えれば「魅力」「やりがい」があり、それこそが給料が安くなる理由なんだよ、というなんとも救いようのない、と言えてしまうような話でした。







 ……それでも、愛してしまうんだ、どういうわけかね。

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