人が変われるタイミングには限りがある
映画『オンリー・ザ・ブレイブ』は、山火事に挑む男たちの物語。予告編を見れば誰でもわかるし、ストーリー展開も予想できる。
ただし本作は事実に基づいて作られた映画で、事実は小説より奇なりって言葉があるけれど、めちゃくちゃ切ない内容だった。
人が変わる。これまでの自分と決別し、新しい自分になる。それにはタイミングときっかけが必要。
きっかけに関して言えば、自分が望まなくても勝手にやってくることはあるが、タイミングはちょっと違う。その瞬間に選択するかどうかの判断が自分にあるから。
つまり、タイミングを逃すか逃さないかは自分次第。そこで変わろうとしなければ変わることはできない。もしも変わらないことを選択したならば、その選択が間違っていないと正当化するような生き方しかできなくなる。かもしれない。
本作においてはダメすぎる男がパパになったことで一念発起するところが醍醐味。
昔、家電量販店で働いていたとき、朝礼で社長が言った言葉が耳に残っている。
「人が変われるタイミングには限りがある。」
今は知らないけれど、当時は完全なるブラック企業であったその量販店グループにおいて、朝礼という名の「社長からのありがたいお言葉をいただきます」タイムは苦痛以外の何ものでもなかった。
でも耳に残っているってことは、そのとき自分は変わりたいと思っていたに違いない。
それから何年も経って、35歳になって上京のタイミングが訪れた。このまま石川県にいても何も変わらないと思って受けた株式会社LIGの採用試験に通ったのだ。
親からも友人からも反対や心配されたけど、勢いだけで上京して本当に良かった、心から良かったと思っている。まあ、上京しなかったパターンがどうなっていたかはドラえもんの道具でもない限り知る由もないのだけど。
繰り返しになるが、本作は変わることの厳しさと大切さを学ぶことができるとはいえ、そのラストはとても切ない。変わったことで得られるもの、そして、得たからこそ失ってしまうものがある。
自分の人生にそっくり置き換えることはできないけれど、これから生きていく以上、得るものと失うものがあり、それを受け止めていかなければと教えてくれる1本だった。
(C)2017 NO EXIT FILM, LLC
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