認知症の老人が復讐する映画に騙された『手紙は憶えている』
「ラスト10分、絶対に騙される!」みたいな触れ込みの映画は数あれど、ガチのガチで完全に騙された『手紙は憶えている』の話をします。
一言でいうと、おじいちゃんの復讐物語なんだけど、そこにミステリー要素がふわぁっとふりかけてあって、「あ、これは犯人あいつだな」とかほくそ笑んで予想したところにガーーーーーン!!!ってぜんっぜん思ってもいなかったところから、がっつり大どんでん返しされる。
真面目にあらすじを紹介すると、
かつてアウシュヴィッツ収容所で捕虜だった老人が、友人の書いてくれた手紙だけを頼りに、家族を殺された復讐をする物語。手紙に書かれた人物を一人一人訪ねて、本当に復讐すべき相手なのかを確かめていく。旅の途中で何度も忘れるが、その度に手紙が思い出させてくれる。
ってなっちゃうんだけど、もうこんなのどうでもいい。ただの導入部分だから。
そもそも、主人公のヨボヨボ老人・ゼヴがまじでヨボヨボで、こんな状態で復讐なんてできるわけないじゃん。絶対に返り討ちに合うじゃんねー!って心配と不安しかない。
可能性でいったら限りなくゼロ、むしろゼロ。だって手はぶるぶる震えてるし、足元もおぼつかないし、走るなんてとんでもない。
そして恐ろしいことに、ゼヴは認知症。
絶対に無理。誰でもわかる。これは無理なやつ。
でも諦めない。すぐに何でも忘れちゃうんだけど、友人が書いてくれた手紙を読み返すことでなんとか思い出して、どうにかこうにか復讐が進んでいく。
はじめのうちは、「ゼヴよ、もう諦めなさい」とか思うんだけど、途中からヨボヨボなゼヴを、ヨボヨボだからこそ、応援せずにはいられなくなる。むしろ絶対に復讐を果たしてほしいと願うはず。アウシュヴィッツ収容所で起きたことは歴史の授業で触りしか聞いたことがないし、調べるのも怖いし、どこからどこまでが真実なのかもわからない。
でも、本作を見る限り、老人が命がけで復讐するに値することが起きていたのだとわかる。
物語が進むに連れ、勘のいい人はミステリーの謎に気がつくでしょう。老人の復讐相手について想像したり、登場人物や展開から着地を予想する。私も何度も「あ、おそらくこれは…」と思ったし、間違いないと確信すらあった。
でも、ぜんぜん違った。完全に騙される。そして謎に気がついた時、物語は終わる。
見事にやられた。老人、おそるべしである。ちなみに本作、ホラー描写はないけれど、血が苦手な人は少しだけ注意。
あと最後に重要なこと。ここまで全力でネタバレを避けて紹介(というか感想しか言っていない・・)したので、予告編を見ることはやめてください。絶対に、予告を見ない方が楽しめるので。
いまならAmazonプライムで見ることができるので、加入している人は今すぐ見るべき。
それではまた。映画カタリストのゆうせいでした。
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