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42歳の僕は、いまも小学生の夏休みに憧れる――映画『子どものおもちゃ』

小学生に戻って夏休みをもう一度だけ満喫したい。42歳になってもセミが鳴くたびに願っています。夏休みの価値をこれっぽっちも理解していなかった、夏が来るたび何度でも訪れるものだと思っていたあの頃に戻りたいと…

小学生の頃は、鬼ごっこだろうと、ガンマンごっこだろうと、すべての「ごっこ」は真剣勝負であり、あえていうなら命をかけた闘いでした。

捕まったら終わり、撃たれたら終わり。終わりとは死であり、絶対に避けたいことだったのです。

映画『子どものおもちゃ』は、誰もが子どもの頃に持っていた純粋な気持ちを思い出させてくれました。

2017年 ぴあフィルムフェスティバル準グランプリ
『子どものおもちゃ』

大人になった今、小学生の頃に欲しかったミニ四駆は好きなパーツをぜんぶ揃えることができますし、誕生日でもないのにゲームソフトを買うこともできます。どれだけ長時間ゲームをしていても怒られることはありませんし、夜中にアイスクリームも食べ放題です。

小学生の自分からすれば天国かつ極楽です。

でも、天国にいる僕は小学生の夏休みに戻りたい。

かけがえのない夏の価値を知っているから。

今こそ満喫したいと願うから不思議なものです。

本作に登場する小学生たちも、夏の価値をわかっているようでわかっていません。

しかしただ1人、転校しなくてはいけない現実から、その価値に少しだけ気がつきます。もう友達と遊べなくなる、この夏は最後なんだと。

友達と会えなくなる寂しさを、誰に、何に、どうやってぶつけるべきか。

やすし少年の出した答えは、いつもどおりの遊びでした。

彼らなりの別れの儀式を見届けながら、42歳の私はかつての自分を照らし合わせ、いま、多くの思い出に浸っています。

夏が終わる前にぜひ見てください。


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