本当の話だと思ってしまうほど手ざわりのあるSF映画『インセプション』
個人的な好みの話になりますが、僕はとにかく「手ざわり」のある作品が好きです。別の言葉で言うならば、生々しさ、リアリティになりますが、現実に起こりうると思える温度感が大好きなのです。
もちろん超人パワーを発揮するアベンジャーズのような映画も好きですし、未来の世界を描いたエイリアンなどのSF作品も大好きです。
でも、何よりも夢中になれるのは、いま、自分がいるこの世界とシンクロするような、もしかしたら壁一枚隔てた先で起きているのでは、と思わせてくれる作品が好きなのです。
この手ざわりとSFの関係は、一歩間違えると大きな興ざめにつながり、エンタメ作品を見ているにも関わらず「ないわ〜、ありえへん…」としらけてしまうことになりがちなのですが、両方を兼ね備えた作品があります。
それが『インセプション』です。
人の夢(無意識)に侵入して秘密や機密情報を引き出す男たちが、引き出すだけでなく嘘の情報を植え付ける(インセプション)ことに挑戦する物語。
あらすじからして完全なるSFであり、すでに「ありえへん」感で溢れまくっているのですが、これが見事に良い意味で勘違いさせてくれるのです。現代において、人の夢に侵入し、同じ夢の空間で話をするなんてことは、突飛でありトンデモ話です。
にもかかわらず、「この技術あれば…」「自分ならこうする」「仲間になりたい」とすら思えるほどの手ざわりがそこにある。
現代を舞台にしながら、これは未来の科学でそうなってますからと大雑把な説明に逃げることなく、仕組みがわかるようでわからないけどなんとなく実現しそう、ありそうの領域に引きずり込んでくれるのです。
もしかすると、僕の中にある「あったらいいな」が強烈に表現されているから、自然と、全面的に受け入れている可能性はあります。でも、透明人間になりたいとか、お金持ちになりたいとか、子どもから大人までが持つ願望を超えるものが確かに存在します。
主演はレオナルド・ディカプリオですが、妻役のマリオン・コティヤールの怪演にも注目です。もし彼女のファンになったならば、ブラッド・ピットと共演した『マリアンヌ』がおすすめですが、それはまた別の話。
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