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「コンビニ人間」を読んで僕は何人間なのかを考えている

コンビニでアルバイトをする女性の物語。

彼女の周りの人間は「いい年してコンビニでバイト?」「将来どうするの?」「彼氏は?」「結婚は?」「子どもは?」とうるさく喚く。彼女にとってそれらはどうでも良くて、日々楽しく生きている、働いている。でも「世間」の「普通」はそれを許してくれず、異質なものとする。異質で居続けることは辛く、彼女はどうすればそれらをなくすことができるのかと考えるようになり…という物語。

読み進めれば進めるほどに、彼女のことは彼女が決めるから、ごちゃごちゃ言うなよと思う。だけれども、僕だって誰かに口出ししたことはもちろんある。「あなたのため」という言い訳をかぶせて、ようするに自分の普通と違うからと偉そうに講釈を垂れる。僕もこの本にでてくるうるさい奴らの一人だったと気づかされる。

そして、次第に彼女の生き方は彼女が見つけた幸せな生き方で、たとえ将来や老後の不安があったとしても、それに備えて今を我慢するのはおかしな話なんだと思うようになってくる。老後は2000万円あったらいいですよ〜的なことを言われる現代だけど、ぶっちゃけ老後が必ずくるかはわからない。僕は難病を患ったこともあって、人間は死ぬ、予告なく死はやってくると思い知ったからなおさら彼女の生き方は響いた。

はたして僕は何人間なんだろうか。何をしているときが、どんな仕事をしているときが一番楽しくて幸せなんだろうか。

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