見出し画像

[renovation]co hareruya「糀菌が浮遊する洞窟の中の醸成庫」



姫路城近くの閑静な住宅地に、オープン4年目の移転先となる店舗のファサードデザイン。

店舗では定番商品「糀スムージー」をはじめ糀を使った食品などを主に手作り製造・販売。(完全予約制)

co hareruya (コハレルヤ)の由来:「つながる、ともに」を意味する“co”、「賛美、感謝、心を合わせる」の“hareruya”を結びつけ、「ともに、ココロハレルように」という想いが込められている。

新たな店舗のコンセプト

「糀菌が浮遊する洞窟の中の醸成庫」

遥か昔より日本の歴史と共にある発酵文化。人類は、一定した温度と湿度の安定した洞窟で保存食を口にしながら暮らしを営んでいた。どっしりとした洞窟の中で、さまざまなカタチの銅のキューブは菌が浮遊を連想する、この世に存在する目には見えない微生物たちが持つ大きなエネルギーをイメージした。

床・壁・天井のモルタルで覆われた空間に光り輝く銅板キューブが宙に浮いている様は、真っ暗な洞窟と洞窟から放たれる光の塊を彷彿させる。

洞窟と捉える空間の開口比率が1:2の近似値だった為、日本の伝統建築に見られるモデュール構成を採用。壁は縦横共に7分割し、どこか懐かしい日本の古き良き建築物の中で感じる佇まいをひっそりと表現した。
またモデュール毎に目地を入れた壁の一部は、バックヤードへの隠し扉になるよう配慮した。

商品の受け渡し口は、銅板の反射を利用し内側から柔らかな光を放つことで、壁に浮かぶ銅板のキューブの中に立つスタッフと、商品とへ自然と誘導的に目がいくようライティングを工夫した。日没後には自然光の光とはまた違った表情を浮かび上がらせる。

銅でできたクラフト感のあるキューブは植栽のカバーやベンチ、ペンダントライトと統一し、発酵のもとになる糀菌をダイナミックに表現した。

あらゆる銅の仕上げは、工芸品作家や精密機械が作り出す巧妙さとは違い、熟練の板金職人の手により、クラフト感を出している。全体的に緊張感のある中にも、どことなく手仕事での優しさと丁寧さは、糀作りにも通じるものがあり、共に暮らしの中で大切に繋ぎ伝えていきたい文化である。

神代の古そしてまだ見ぬ未来へとタイムスリップするように、四季の移ろいや月の満ち欠けを愉しむように、訪れる人々が、宇宙・自然に浮遊する糀菌に想いを馳せ、自然から送られた命の恵みが循環し、人々が健やかな暮らしを送れることを祈る。

プロジェクトの設計監理プロセスとバックグラウンド

この度のコロナ禍で、旧来の常識を一つ一つ見直して新しい働き方の挑戦となるプロジェクトとなりました。まずは以前は設計事務所としては決して美徳とされない事にチャレンジさせて頂きました。

1、現場への頻度

現場へは最初と最後だけ出向きました。

2、作図について

基本設計から工事監理まで一貫してリモートワーク且つ、施工者が基本設計から施工図まで作図する事により、本来必要な建築設計事務所の作図人件費の削減と、設計事務所と施工会社での作図意図の深い理解を目指した。

この様な流れから、心あるプロジェクトに身をおきながらも、設計者自身が(設計事務所という)場所に囚われない生き方を、今後もっと実現できる足掛かりとなるようこれからも精進いたします。

概要

所在地|兵庫県姫路市平野町1シャトラン白鷹1F
用途|店舗
面積|17.94㎡
仕上|内部 床・壁・天井:モルタル金コテ押さえ
一部銅板貼り 目地:真鍮

設計期間|2020年11月~2021年1月
工事期間|2021年2月〜2021年3月
基本設計|arbol 堤庸策
実施設計・現場監理|arbol 堤庸策・株式会社大喜建設
照明|大光電機株式会社 花井架津彦
施工|株式会社大喜建設
植栽|株式会社安積創庭
撮影|下村康典

HP | https://www.cohareruya.com

クリエーティブの力で人がもっと本質的に豊かな状況を作り出す活動費に使っていきます。 先ずは自分自身で体系化出来た事などをお伝え出来ればと思います。 次に、過去にクリエーターズシェアオフィスや、デザインアートの実行委員長をしていたように、周りの人と共に新たな活動をしていきます。