オススメの転職エージェント??
最近、転職ブログやインフルエンサーが「オススメの転職エージェント!」というフレーズを使っているのを多く見かけますよね。
オススメとして紹介されるのは、決まって大手の人材紹介会社です。
疑問なのですが、あなたの転職をサポートしてくれるのは「会社」でしょうか?
違いますよね、キャリアのサポートをしてくれるのは、そこで働いている”人”のはずです。
「オススメの転職エージェント」=「大手の人材紹介会社」ということは、つまり、「大手人材紹介会社」=「良いキャリアアドバイザーが多く集まっている会社」ということなのでしょうか?
個人的に、この考え方にはとても違和感があります。
たしかに大手であれば、研修制度も整っていたり、優秀な人が集まる可能性が高いのは事実です。
一方で、大手の人材紹介会社には何十人、何百人といるキャリアコンサルタントがいるので、自分を担当してくれる人が誰なのか?は分かりません。
その中に本当に良いコンサルタントがいるのかどうかも分かりません。
そもそも、「良いキャリアコンサルタント」とは何でしょう?
良いキャリアコンサルタントとは?
転職希望者は1人1人、これまでの人生も違えば、やりたいことも違います。
例えば、過去のぼくのように「20代銀行員、コンサルタント希望」といっても、ぼく自身の性格や生い立ち、将来やりたいことがあるので、同じ属性の人がいたとしても最適な転職先はそれぞれ異なります。
まだ転職を悩んでいる人もいれば、すぐに転職したい人もいる。次が最後の転職にしたい人もいれば、更にキャリアアップを目指したい人もいる。
1人1人に色々なストーリーがあるからこそ、それだけ最適なサポートの方法も違うということです。
もちろん、最終的に進路を決めるのは自分なのは間違いありません。
しかし、人生の最終責任は自分だからこそ、自分の転職に関わる人を選ぶことにも責任を持つべきではないでしょうか?
なぜ、こんなことを話すのか?
キャリアコンサルタントでもなく、転職相談でお小遣い稼ぎをしている訳でもない自分が、このような気持ちになったのには、実は様々なきっかけがあります。
リクルートに入りたかった26歳女性
ぼくのTwitterのDMでこんな内容が届いたことがありました。
「過去にリクルートの中途採用を受けたのですが、落ちてしまいました。ただ、数年後に再度、受けたいので、今回落ちた理由を知るためにご質問させて頂いてもいいですか・・?」
彼女のプロフィールをざっくり書くと、
・某有名私立大学卒で、当時26歳で新卒4年目
・某有名企業で企画営業、成績優秀
・社外でサークルに入ったり活動的なタイプ
正直、合格してもおかしくないような方だったし、「最近は入社ハードルが上がっているのかなぁ〜」くらいに思っていました。
しかし、話を聞いていくと、そもそもリクルートを受けた経緯はエージェントに勧められたからということが判明しました。
彼女は当時、転職を急いではおらず、キャリアの相談を受けたいと考えていたようでした。
ブログで情報収集していると、どのブログを見ても、キャリア相談のオススメとして「〇〇エージェント(大手)」が何度も紹介されるので、問い合わせたそうです。
いざ、問い合わせをしてみると、彼女がやってきたこと、興味のある仕事について、エージェントが15分程度の軽い質問をして、
「それならリクルートがいいですよ」
と言われ、応募したという経緯。
リクルートの面接は良い意味でも悪い意味でも、めんどくさいし、表面的な回答だと受かることはほぼない。彼女は当然、一瞬で落ちました。
結局、彼女は他の企業に行くことになり、正社員として働き始めました。
働き始めて数ヶ月後に、たまたまリクルート出身の人と出会う機会があり、自身の転職活動時のリクルートへの理解の浅さや準備不足に気づいたそうです。
繰り返しになりますが、これは全て彼女の責任であることは間違いありません。
ただ、彼女は彼女なりに一生懸命にネットで調べた。多くの記事を読み、色々な人の意見を参考にした。
たくさん調べても、オススメのエージェントで紹介されるのは大手のエージェントしかいないから、「やはり大手だからいいんだ」と思い、問い合わせをしたことはむしろ当たり前でしょう。
誤解をして頂きたくないのですが、大手エージェントが悪いということを言っているのではないし、むしろ大手のエージェントは利用すべきだと思います。
しかし、人材業界に限らず、どの業界でも大手には大手の強みがあり、中小には中小の強みがある。
飲食業では、大手チェーン店が規模のメリットを活かしてコスパの良い料理を提供し、地元の名店は手間暇かけてこだわりの一品を提供している。
大手も中小も双方が存在しているからこそ、それぞれの存在理由があるはずだということを求職者は理解すべきではないのでしょうか。
同様に、ブロガーがオススメのエージェントとして、大手しか紹介しないのには当然、理由があるのです。
何度もいますが、大手のエージェントが悪いということを言っているのではありません。
求職者は、大手のエージェントを使うメリットは何か?を考えるべきだし、ブロガーが大手のエージェントしか紹介しないのはなぜか?を考えなくてはいけないのです。
それを考える力がなかったという点では、彼女は不合格にふさわしかったのかもしれない。
でも、自分に向き合ってくれるエージェントに出会っていれば、彼女は合格していた可能性が高いのも事実なのです。
彼女の場合、自身の転職のサポートを依頼するのは、人に向き合ってくれる中小のエージェントだったのかもしれない。
大手の人材会社は1人のキャリアコンサルタントで50名、100名以上を担当することもあるが、中小のエージェントでは1人当たり10〜30名のところが多い。(もちろん会社によって異なる)
大手のエージェントはブロガーやメディアで大量集客をして、保有している大量の求人のどれかを紹介している。
一方、中小のエージェントは大量のスカウトを送って集客している会社もあるが、クオリティの高いエージェントは過去にサポートした人からの紹介だけで成り立っている会社もある。
彼らは自分たちの将来の集客のためにも、求職者1人1人に時間を割いて徹底的に向き合うスタイルで行なっている。
これは、仕事に真摯であるとか、スタンスが良いとかそういう話ではなく、それぞれのビジネスモデルの話だ。
すでに行きたい企業が決まっていたり、大手でしか保有していない求人を受けたい人、世の中にどんな求人があるかを知りたい人は大手のエージェントを利用すれば良いと思う。
しかし、彼女のようにまだまだ自己理解や今後のキャリアを考えるべき人は出会うエージェントはしっかり選んだ方が良い。
そして、中小のエージェントがネット上で誰からも紹介されない構造も、歪であることは否めない。
1週間で変わったかもしれない人生
残念ながら彼女は年齢的にも今の仕事で身につくスキル的にも、今後リクルートに受かることはかなり可能性は低い
実は、こういうケースはかなり多く体験してきた。
リクルートで面接をしていた際にも、
「この人、あと一週間真剣に自分自身に向き合えば、合格を出せるかもしれないのに・・」
と思うことは何度もあった。
1週間で変わるようなもので、不合格を出すのは本質的ではないかもしれないが、その状態で面接に来たのも、その人の実力だ。
そんな時、適切なエージェントのサポートがあれば結果は変わるかもしれない。人生は変わるかもしれない。
彼女はリクルートで面接を受けた時にも、ネットで「リクルート 〇〇」で検索していた記事を参考にしていたそうだ、
それを言われてぼくも見たが、SEO狙いの、少しだけリクルートにいた人が書いた記事や、集客目的のエージェントが書いている参考にならない記事ばかりだった(最近は知らない)
Googleが本当に正確な情報を上位に表示するまでには時間がかかりそうだから、しばらくはこの問題が続きそうだ。
だからこそ、求職者には自分の人生を決める際に、アドバイスをもらう人にはよく考えて判断してほしい。