パリ ポンピドゥー・センターのマティス作品が東京にやってきました 【東京都美術館】
上野公園にある東京都美術館で マティス展 HENRI MATISSE : the Path to Color が4月27日(木)に始まりました。パリにあるポンピドゥー・センターの国立近代美術館が所蔵・管理する作品を中心に展示されています。東京都美術館によると、日本では約20年ぶりの大規模な回顧展ということです。
東京都美術館の企画展示室は地下1階から始まり、エスカレーターで1階、2階へ上りながら展示場をまわっていきます。
私が訪れた時は1階会場だけ写真撮影ができました。1階にあるのは第4章 人物と室内(1918〜29年)、第5章 広がりと実験(1930〜37年)、第6章 ニースからヴァンスへ(1938〜48年)の会場で、パンフレットの表紙になった《赤の大きな室内》は第6章のエリアにありました(写真撮影可能なエリアは諸事情で変更する場合があるということです)。
切り紙絵の手法で作られた作品集《ジャズ》は私も楽しみにしていた一つです。2階の第7章 切り紙絵と最晩年の作品(1931〜54年)のエリアにありました。ジャズはマティス手書きの文が入った270部と図版だけの100部が制作され、ここに展示されたのは図版だけの作品です。20作品全部を一度に鑑賞できるのは魅力です。図版だけなので《イカロス》などは半分が空白でしたが…。
晩年のマティスが携わった南フランス・ニース郊外のヴァンスにあるロザリオ礼拝堂については、第8章として2階の最後のエリアにありました。空間の真ん中にあるファザード円形装飾《聖母子》はその大きさに圧倒されます。NHKが4K映像で撮影したロザリオ礼拝堂は約5分間の作品です。山の中腹にある修道院から地中海が見えること。修道院が道路に面しており、車の音が修道院の中まで聞こえること。マティスのステンドガラスを通って差し込む太陽の光で、部屋の中の色が時間とともに変わっていくこと。そんなことが映像からわかります。
音声ガイドは上白石萌歌さんが担当。会場レンタル版とアプリ版があります。アプリ版は「聴く美術」アプリを利用するもので、料金は会場レンタル版よりも高いのですが、アプリ版限定として上白石萌歌さんの「わたしとマティス」というコメントや上白石萌歌さんと東京都美術館学芸員の藪前知子さんの対談も聞けます。何といっても自宅に戻ってから聞き直すこともできるので、私はアプリ版を選びました。
なお、「聴く美術」アプリは過去の音声ガイドの概要をnoteに掲載しています。
会場のすぐ外にある販売コーナーでは図録(展覧会カタログ)があるかを確かめるのが楽しみです。マティス展では表紙の違う3種類が用意されており、私は《黄色と青の室内》を選びました。別の2種類は《金魚鉢のある室内》と《座るバラ色の裸婦》です。表紙が違うだけで内容は3種類とも同じということです。
ここでわかったのは、故猪熊弦一郎さんの書籍『マチスのみかた』がこの展覧会にあわせるように出版されていたことです。販売コーナーの棚に飾られていました。猪熊さんは第二次世界大戦前の1938年にフランスへ渡り、マティスに師事した方です。猪熊さんの文章が集められ、文中にある作品の写真も収録されています。こちらも買い求めてしまいました。
アクセス
東京都美術館はウェブサイトによるとJR上野駅の公園口から徒歩7分です。
参考文献
『マティス展完全ガイドブック』朝日新聞出版編
図録『マティス展』オレリー・ヴェルディエ、藪前知子編/朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション
『マチスのみかた』猪熊弦一郎/作品社
(すべて2023年)
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