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殺虫剤の代わりに使う「恐怖の香り」とは? [p&f 2021年9月7日]

perfumer & flavoristの記事を翻訳しています。

今回は、香りで虫を寄せ付けないという記事を見つけました。

私自身、現在も継続中で虫に悩まされています。昨年から緑溢れる場所に居を構え、今年の夏頃から何やらモゾモゾ動く虫がいっぱい・・・
「ヤスデ」という虫で、ムカデに似ている姿形です。害はないのですが、見た目の気持ち悪さから「不快害虫」と呼ばれる少しかわいそうな虫でもあります。

香りで解決できればこんなに嬉しいことはありません。

記事の中に出てくるメトキシピラジンは、ワインの香りの表現で使われる「ピーマン香」をもたらす物質です。ブドウも、捕食者に対して恐怖の香りを出しているということなのでしょうか。

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殺虫剤の代わりに 「恐怖の匂い 」で害虫を退治する科学者たち


2021年9月6日
By Kira Haslett

ペンシルベニア州立大学の研究者たちは、農薬の代わりに「恐怖の匂い」を利用して農作物や庭の虫を追い払う方法を研究している。

ペンシルベニア州立大学のサラ・ハーマン准教授(節足動物生態学・栄養相互作用学)は、ZME Science*に対し、次のように話した。

「世界の人口が増え続ける中、人類の人口を維持するために十分な食料を作ることができるように、作物保護を強化する必要性が高まっている。害虫は世界の農業生産における最大の課題の1つであり、その管理は非常に重要だ。しかし、害虫を駆除するために一般的に使用されている農薬は、人間や環境への影響が問題となる場合があり、農家では農薬の使用禁止や制限、害虫の抵抗性により効果が低下することが増えている。このため、私たちは殺虫剤の使用を減らしたり、なくしたりして害虫の圧力を軽減する持続可能な方法を特定し、開発を行っている。」

ハーマン氏はさらにこう続けた。「私たちの大きな目標の一つは、草食動物の害虫に対する捕食性昆虫の影響を強めて、害虫が作物に与える悪影響を軽減することだ。私たちの研究室では、単に捕食性昆虫が害虫を食べるように仕向けるのではなく、食べられることへの恐怖心を利用して、害虫が作物への影響を抑えるように撹乱することを目指している。」

ハーマン氏とペンシルバニア州立大学のポスドクであるジェシカ・カンズマンが一緒にフィールド実験を行ったところ、アブラムシなどの草食昆虫は、捕食者の匂いがする畑や庭を避けることがわかった。また、これらの化学物質にさらされると、昆虫の繁殖速度が低下したり、羽を伸ばす能力が高まったりして、脅威から逃れるための装備が整うという。

最近の研究で、ペンシルベニア州立大学の研究者たちはガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて、テントウムシが分泌する揮発性の匂いを特定し抽出した。次に、アブラムシの触角を触角電位(EAG)装置に接続し、テントウムシが放出する個々の化学成分にアブラムシをさらして、どの化合物が検出されるかを調べた。

ヘルマンはこう続けた。「アブラムシはとても小さい。そのため彼らの行動を評価するためには、目で見るだけではなく、特殊な道具や技術を使って、工夫する必要があった」。

EAGシグナルによると、アブラムシはメトキシピラジンに対して最も強い反応を示した。そのため研究者たちは特別な匂いのカクテルを開発し、その効果を証明するためにフィールドでのテストを行った。

もし、この香りが他の花粉媒介者や昆虫にとって無害、あるいは有益であることが証明されれば、農家や園芸家は従来の農薬に代わる有害物質を含まない新しい農薬を手に入れることができるだろう。

*Source: ZME Scienceの記事

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原文はこちら

画像:perfumer&flavorist


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