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料理男子はこう育つーー⑧ボクたち子どもが野菜を残す理由
「ようちゃんはいつもミニトマトを残すので、おうちで食べる練習をしてきてください」。
これは、ボクが1歳になったばっかりの冬のこと。通っていた保育園で、先生からの連絡帳に書かれていたメッセージだよ。これを読んだお母さんは、なんて返事をしたと思う?
「夏になったら、食べるとおもいます」
もう、ほんとうに笑えるよね、うちのお母さん! ふつうのお母さんだったら、「わかりました」とか、「やってみます」とか書くと思うんだけど。
お母さんは、本当にボクが夏になったら食べるようになるかはわからなかったけど、「こんな寒い冬に、なんでトマト買わなきゃいけないの?」って疑問だったから、「トマトを食べるのは、トマトの季節になってからでいいんじゃないの?」と思ったらしい。
そもそも、その前の夏は、ボクはまだ0歳6カ月とか8カ月とかだったから、離乳食が始まったばっかりで、トマトを食べたことがなかったんだよね。
じゃあ、1歳半が過ぎた次の夏に、ボクはミニトマトを食べたかというと…。
むしゃむしゃ食べた! おばあちゃんちの庭にミニトマトが植えてあって、それをその場で(洗わずに)次々に取って食べたんだって。その後、会津に住んでいる同い年のおともだちのジョーくんちのおばあちゃんちでも、ミニトマトがおやつにたくさん出てきて、ボクとジョーくんはお皿山盛りのミニトマトを2人で競って食べていたらしい。
ボクにはこういうことがよくあって、その次の冬。2歳になったころに、「はっぱ、はっぱ」と言って、お鍋のほうれん草をよく食べていた。お母さんは、「この子、すごい! 野菜ぎらいじゃないんだー」と感動したらしいんだけど、季節があったかくなってきたら、ほうれん草をペッと口から出して、「ヤダー」って言うようになったんだ。
お母さんは、「あんなに葉っぱ好きだったのに! やっぱり野菜はイヤなんだね…」って、最初は悲しくなったらしいんだけど、「もしかして、旬がわかるのかも⁈」と、やっと気がついたみたい。
これはたぶん、ボクだけがわかることじゃなくて、子どもたちはみんな本当は、野菜のおいしい季節を知っているんだと思う。
ちなみに、お母さんはボクがちょうど1歳半のころ、「子どもは野菜がキライでも、いいのかもしれない」というコラムを書いていて、それまでに取材した栄養士さんとか、食べ物や子どもにくわしい人たちから聞いた話をまとめて、「野菜はキライでもいいのかも」と思ってボクを育ててくれたんだ。
その理由は2つあって、1つは“粗食のすすめ”で有名な幕内秀夫先生の『こども弁当』の本の中にある言葉。
「子どもは生きるために食べています。成長するために食べています。そのためにいちばん必要なのはカロリー(熱量)をとることだということを子どもたちは本能的に知っています。」
ボクたちは、心の底から「大きくなりたい!」と思っているから、カロリーが低い野菜は「好きでも嫌いでも偏食でもなく、まだ自分には必要ないことを知っている」らしい。
もう1つの理由は、お母さんが保育士さんや歯医者さんたちに聞いた話で、野菜の繊維を断ち切ることが、小さい子どもたちの歯や噛む力では難しいということ。小学2年生になった今は、大人の歯が前歯と奥に8本生えてきたけど、特におなかがすいているときなんてゆっくりかむなんて、できないもんね! だって早く大きくなりたいから、エネルギーが必要なんだもーん(笑)
そんなわけで、ボクは野菜(葉っぱのもの)を食べなくても、お母さんにあまり怒られないよ。
こないだなんて、放課後にスケートの練習をいっぱいしたあと、おなかがすっごくすいていたんだ。
その日の晩ごはんは煮込みうどんだったんだけど、お父さんとお母さん用に「やくみ」のねぎがきざんであったの。普段のボクは、ねぎなんて食べたくないんだけど、その日のボクは、すっごく「ねぎが必要!」って思って、そのきざんだねぎを全部もらっちゃったんだ。お母さんはすっごくびっくりしてた! ボクも自分でビックリー!
「スポーツ栄養」で考えると、ねぎに含まれている「アリシン」っていうものが、疲れた体の回復に効くみたいなんだよね。
でも、そんな難しいことを知らなくても、ボクたち子どもは、体が本当に食べたいって思うときには、野菜を食べるってこと!
今はどんな季節でもミニトマトは大好きで、ボクの畑の畝1つは、ぜーんぶミニトマトだよ! 昨年植えたトマトからタネが落ちて、今年は1本も苗を植えなくても、芽が勝手に出てきてたーくさん育っているよ。
お母さんが畑作業が好きなのも、「旬」を考えたり調べたりしなくていいから、なんだって。勝手に芽が出てきたもの、育ったものを収穫して、お料理にすれば、ボクが食べるから、楽チンらしいよ。
幕内秀夫「じょうぶな子どもをつくる基本食 子どもべんとう」主婦の友社
井上ゆき「子どもは野菜ギライでも、いいのかもしれない」
https://www.tokyo-woman.net/Column_s.php?id=20595
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