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「ちゅらさん」から「ちむどんどん」へ

 4月11日から、沖縄を舞台としたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」の放送が始まる。沖縄を舞台にした朝ドラと言えば、「ちゅらさん」だ。2001年に放送が開始され、パート4まで作られるという人気ぶりだった。ある学校では、担任の先生が「ちゅらさん」にはまっていたのだろうか、給食時間に教室のテレビで放送を見ていた学校もあったという。

 「あなたの沖縄」でコラムを書いてくれているのは、90年代生まれが中心だ。「ちゅらさん」以降の沖縄ブームで出来上がった「沖縄イメージ」の中で成長してきた。「ちゅらさん」は、県外から期待される沖縄像や、私たち自身が信じたいと思っている沖縄像にも影響を与えたと思う。復帰50年の今、「ちむどんどん」では沖縄がどのように描かれるのだろうか。

 今回は「ちゅらさん」に思い出のある二人にコラムを書いてもらった。

豊島鉄博(94年生まれ 那覇市小禄出身)

 「ちゅらさん」の放送が始まった2001年、私は小学1年生。国仲涼子さん演じる「えりぃ」のまっすぐな生き方。えりぃの父親、古波蔵恵文を演じた堺正章さんの独特なイントネーション。えりぃが東京の下宿先で出会うメルヘン小説家の城ノ内真理亜(菅野美穂)、平良とみさんの優しいナレーション…。詳しいストーリーは覚えていなくとも、魅力的な登場人物たちは今も色あせない。

 なかでも、小学生たちに特にはやったのは「ゴーヤーマン」だ。作中では売れないキャラクターとして登場したが、ガレッジセールの2人が歌うイメージソングとともに大ヒットした。

 私もピカピカのランドセルにキーホルダーを付けて毎日登校した。そんなある日、帰り道に(おそらく)5~6歳ほど年上のヤンキー風のニイニイ2人組に「いいもん持ってるなぁ」と言われてあえなく強奪された。結構お気に入りだったので、ショックの余り号泣したことを覚えている。

 その後、ゼンマイ仕掛けのゴーヤーマンのミニフィギュア(ゼンマイを回すと歩くタイプ)を買ってもらい、20年以上たった今も持っている。私事だが、仕事の関係で4月から福岡で働いている。「ちむどんどん」が沖縄の人たちや沖縄県外の人たちにとってどんな作品になるのか、今からとても楽しみである。

豊島さんの自宅マンションの本棚に置いてある
ゴーヤーマンのミニフィギュア=3月31日、福岡市

さまよう蟹(94年生まれ 西原町出身)

 今度の朝ドラは沖縄が舞台! そう知って、「ちむどんどん」したのは私だけではないはず。とうとう今月から連続テレビ小説「ちむどんどん」が始まる。

 先に沖縄を舞台としていた「ちゅらさん」には私個人、たくさんの思い出がある。ドラマに全く興味がない両親も釘付けになるほどで、見逃さないように必ず毎朝見た上で、週末の振り返りやBSでの再放送まで見ていた。続編も全て見たし、どこから来たのか、実家にはゴーヤーマンのキーホルダーが置いてあった。主人公の下宿先「一風館」の住人の真似をして、家族で笑い合う日もあった(父がかなり柴田さんを好いてたので、柴田さんの「似ている…!」が頻出していた)。家族がより仲良くなれたきっかけ・思い出として記憶に残っているし、特に一風館の住人たちの、世間ズレしてるところもあるけれど、みんなで手を取り合って支え合い、精いっぱい人生を謳歌しているところが小学生ながらに印象的だった。

 今回の作品に関して、私自身にとっては、沖縄観光や沖縄イメージの形成に多大なる影響を与えた「ちゅらさん」と比べて人気が出るのかどうかという点は重要に感じていない。気になるのは、本土復帰50年という節目に、本土復帰時期の沖縄・沖縄県人コミュニティが描かれるということでどのような反響が寄せられるのか、どのような影響が生まれるかという点である。県内でも段々と本土復帰の記憶が薄れる中、より本土復帰に接点がないであろう若者などといった視聴者層にとって、ドラマの内容がどのように映るか興味がある。「ちゅらさん」放送時にはなかったSNSを通じて全国各地の視聴者からの感想・意見を知って、自分の中での考察をよりよく深められるのではないかと期待している。また、本作をきっかけとして復帰時期にどのようなことがあったか、両親など近親者から出来事や印象などを聞き出したい(そしてあわよくばコラムにして載せたい)。

 「ちゅらさん」放送時には小学生だった私も、アラサーになってしまった。今度の「ちむどんどん」はあの頃よりいろんな視点・経験を踏まえて観れるだろうと楽しみにしている。「ちむどんどん」する朝が今から待ち遠しい!

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