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川島雄三監督「縞の背広の親分衆」を鑑賞する。

川島雄三監督作品は当たり外れが激しいと聞いていたので、今回満を持して見えてる地雷を踏み抜きにいったはずなのだが、どういうわけだか面白かった。

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■シナリオなしで、毎日「号外」を配って撮影

確かにとっ散らかった感じはあり、くだらないギャグもあるものの、各俳優の芸達者ぶりが堪能できて面白い。森繁が勤める象屋デパートのコマーシャルソングだとか、フランキーにしごかれるチンピラ3人が着る花札プリントのランニングだとか、ところどころの小ネタは結構冴えてるけど、話が散漫かなあ・・・面白いんですけどね。八住利雄が書いていたシナリオを、柳沢類寿が、徹夜で書き繋いだという感じでしょうか。

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■西村晃がフランキー堺に対抗。コメディセンス最高

いやぁ、西村晃さんって、コメディセンスがあるんですねえ。フランキー堺とのやりとりで、フランキーよりも背が低い西村が怒鳴り合って(ミュージカル風に)、石の階段を上っていき、最後に近くにあった木箱を「サッ!」と取ってその上に乗る。フランキー堺を見下す高さになる。このシークエンスは「西村晃って本当に体がよく動くんだねえ」と感心しました。この人、こういう小狡い感じの役が本当にハマる。テレビドラマの傑作「傷だらけの天使」の刑事役は、この役の焼き直しっていう感じです。それにしても「青べか」の東野英治郎と言い、西村晃と言い、「水戸黄門」やる人はどうしてこうも悪人役がハマって、そんでもって悪声なんだろうな。

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■あまりにも地味すぎる「渥美清」

「あれ〜、このメガネの人、渥美清に似ているけど・・・面白いこともしないし、ギャグも言わないし・・・」

観終わって調べてみたら、やっぱり、渥美清だった。こんなに「精彩のない渥美清」を初めて観ました。1961年の渥美清・・・。テレビでは、1961年から1966年までNHKで放映された「夢であいましょう」で活躍していたのですが、映画では、まだまだ、芽が出ていなかったのでしょうか。

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■団令子の子分(?)として、「スリーバブルズ」が登場

ナウなヤングは知らないでしょうが、昔々、ミツワ石鹸のCMというのがありまして。そのコマーシャルソングが、

♬ ワッ ワッ ワー ワがみっつ ♬

というもので、その歌を歌っていたのが「スリーバブルズ」なんです。私のようなお年寄りには懐かしいのです。

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■完成まで企画と脚本が難航した作品

本当は、駅前シリーズでの名トリオ、森繁×伴淳×フランキーで撮りたかったらしいのだが、伴淳が出られなくて、即席で脚本が変えられて即興的に作っていったという。そのせいもあってか、随所に遊び心があった。淡島千景の姐さんが、迫ってきたライバルヤクザのボス有島一郎をケチョンケチョンにやっつけた後のシーンがカッコよかった。

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■有島一郎の役は・・・

本当なら、「山茶花究」か「小沢昭一」が演じるべきでしょうなあ。ああいう、インチキ英語を喋るキザな男と言ったら「しとやかな獣」での金髪のインチキ歌手を演じた小沢昭一の姿がダブります。

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