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『シン・ゴジラ』巨災対に学ぶなぜ専門家の声がうまく活かされないのか

 コロナの対応を巡っては感染症の専門家の声が政策にうまく反映されていないという声がよく聞かれます。政府に協力している感染症の専門家が実際に声を上げているので事実なのでしょう。

 この件を考える上で浮かぶのが映画『シン・ゴジラ』の巨災対です。
 ゴジラの出現によってつくられた巨大不明生物特設災害対策本部という組織は各部門の官僚や専門家が集まって政治家と共に対策を練っていきます。医学、野生生物、生物化学などの専門家がゴジラの生態を推理し、エネルギー庁や運輸省の専門家達がゴジラを止める『ヤシオリ作戦』の計画を練っていきます。

 第一原発事故の福島については放射能の専門家が入り避難の目安等アドバイスをしたはずです。線量の多い地域の人々が避難生活を送ることになりましたが、その後の帰還等がうまくいかず、多くの人の人生が狂わされました。
 もしあの時、福島の今後を決める場に放射能の専門家だけでなく、都市生活や経済など他の多くの専門家がいれば、もっと違った避難計画が成されたのではないかと私は考えます。

 今、コロナについて専門家は感染症の専門家しか出てきません。
 しかし、8割の人と人との接触を減らすというのなら都市や生活の専門家やサービス業の専門家の知見が必要なはずです。そういった専門知がないから接触8割減がどういうことなのか誰にも伝わらないのです。経済的な損失や補償を考えるなら経済の専門家も必要でしょう。行動変容を考えるなら心理学者も必要です。


 対コロナに必要なのは『シン・ゴジラ』の巨災対の様な複数の専門家がそれぞれの専門知を活かし、それを官僚や政治家がまとめて政策を決定する組織です。
 今の日本は感染症の専門家して出てきません。それがいけない。芹沢博士や自衛隊だけでゴジラに立ち向かうのは時代遅れなのです。


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