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購入品の披露inスシロー(文学フリマ東京37)

11/11(土)、無事に終わった文学フリマ東京37。ブースを訪ねてくださった方、購入くださった方々との印象深いやり取りがたくさんあった。明日以降、少しずつ紹介していく。

今日は、当日に店番をしてくれた友人と軽く打ち上げに行った時のことなどを書きたい。

5月の文学フリマ東京36では、初参加だったこともあってOhagiさん(家族である)に丸1日協力してもらった。今回はOhagiさんが仕事だったため、もともと一人でブースを切り盛りしようと計画していた。

しかしまさかの、私が一番好きな作家と言っても差し支えのない津村記久子さんの講演が文学フリマ当日に行われることをSNSで知ってしまう。しかもオンライン可。無料で。テーマは〈エッセイと小説の間〉。

嘘だろ…? そんなの…そんなの絶対聴きたいに決まってるじゃん…

講演時間は13:00から、恐らく1時間~1時間半。文学フリマ会場がどんどん盛り上がってくる時間帯だ。イヤホンで講演を聴きつつブースでお客さんを待つか?とも考えたが、訪ねてきてくださる方には失礼だし、結局どちらも中途半端になってしまいそうに思えた。

私がYoukanという名前でちまちまとZINEを売っていることは家族以外だれにも話していなかったが、もう背に腹は代えられない。ということで、なんとなく文学フリマに興味がありそうで、この活動をフラットに受け入れてくれそうな友人(以降、Omameさんと書かせてもらう)に声をかけたのだ。

文学フリマの10日前に打診してみたところ、ありがたいことにOmameさんは快諾。さらに当日は「少しでも目立つように一番派手な服を着てきました」とやさしいやる気まで見せてくれた。

こうして私は津村記久子さんの講演にも文学フリマにも後悔なく参加できたのである。Omameさんが店番をしてくれている間、4人の方が購入くださったそうで、ちょっとしたやり取りのメモも残しておいてくれた。感謝。

講演を聴いて、ついでに目星の本も急いで買って回り、ブースへ戻ってバトンタッチ。Omameさんも意気揚々と会場へ繰り出して行った。

お礼がてら夕飯の約束をし、イベント終了後、大森駅へ。寿司いいな!という話になりスシローへ入った。寿司も楽しみだが、お互いにどんな本を買ったのかも気になるのでさっそく購入品を披露し合うことに。

ここで私は電撃的な出会いを果たす。

「これ、Youkanさんすごい好きそうだなと思ったんですけど…」。Omameさんが見せてくれたのは文庫サイズのかわいらしい本。

「待って待って~なにこれ~~~!」。色めき立つ私。

「虚偽エッセイらしいです」とOmameさんニヤリ。ちょっと待って面白すぎる。タイトルから趣旨までちょっとパンチが強すぎる。というか、私の好みをこんなに把握しているんだな、Omameさん。

好奇心を抑えられず、失礼して冒頭の1編を読ませてもらう。数行目から笑いが止まらない。ものすごく真面目に紡がれた文章、なのに虚偽。「妻」とかも出てくるが、それも虚偽? ふざけているはずなのに真剣で、読み進めるほど大前提である虚偽が引っ掛かりじわじわくる。しかもそれを10年書き続けてきたという。これは完全にあれだ、個人的にツボだ。

どうしても欲しい。もうふわふわのにぎり拳のことしか考えられない!という状態になり困り果てていたら、Omameさんが、本に同封されていた著者のSNS紹介チラシを見せてくれた。

イラストもかわいい

寿司そっちのけですかさずTwitterをフォロー。とりあえずできることはやったし、あとはいつかどこかで販売などの告知があったら問い合わせよう…と考えていたが、翌日なんとフォローバックいただきDMでやり取り。平日の夜なら都内でお渡しできますとのことで、とんとん拍子に購入の目途が立った。奇跡か(と思うくらいうれしかった)。

そしてその受け渡しが今日だったのである。定時で会社を出て、足早に待ち合わせ場所へ向かった。あの狂気が内包されているとは思えない、一般的な、よき会社員の姿がそこにあった。お金を渡し、お礼を伝え、しばし立ち話。帰りの電車の中で何度も吹き出すのをこらえながら読み進めた。

***
イベント中も、イベントが終わっても、さまざまな出会いや楽しさに恵まれた今回の文学フリマ。初参加したOmameさんもかなり触発されたらしく「自分も作ってみたい」というようなことを言っていたので、来年5月の参加も視野に入れてみようかなと考えている。

たくさんの購入品を眺めながら清々しい気持ちになった。どんなことでも表現になるのだ。何を形にしてもいいのだ。自分ももっといろんなことを模索してみたい、そう思えた。

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