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他人と自分を比べるとき、自分はどこにいるんだろう
他人と自分を比べて、「羨ましい」とか「自分はまだこんなもんだ」と落ち込む人と、むしろやる気が湧いてくる人がいる。
この違いはなんだろう。
私は長いあいだ前者だったので、他人と自分を比較する事に悪いイメージを持っていた。
しかし最近はこの比較という作業は本来生きるために必要なものだと思い直し、その良さについて考えたいと思った。
いったい、「良い比較」と「悪い比較」なんてあるのだろうか。
という疑問をいだきつつ考えをまとめていくと、一つの指標らしきものを見つけた。
それが「自己満足」。
自己への満足感の持ち方から、比較について考えを述べたい。
4つの自己満足状態
自己満足の状態を以下のように分けてみた。
①最初から自己満足している(挫折を知らない。最初から能力がある。運が良かった。他人に守られてきた)
②自己への不満(挫折の中にいる。自信がない。苦しみから逃れたい。優越感を得て安心したい。自分の弱さを認められない)
③自己満足できる(挫折を克服した。現状を受け入れる。ありのままでいい)
④自己満足できない(自分がもっと気持ちよくなりたい。独自の道。果てない向上を目指す)
こう見ると、ほとんどすべての人がこの4つの自己満足状態のどれかに属しているんじゃないかと思える。この分類については別の機会に深めていきたいと思う。
それぞれの状態について説明を加える。
①の状態にいるのは子どもが多い。限定的な幸せの中にいて、抜けている部分がある。
まれに成人してもここにいる人はいるだろう。しかも高い能力や権力を持っている。だからこそ挫折を味あわずに大人になれる。
②の状態にいる人の数は計り知れないが、その存在感は目立っている。
自分の心を守ることが最優先という人たちだ。
③の状態にいる人はとても多くいると感じられる。一般的に大人と認識される人はここにいるだろう。
彼らは善良で現状維持や微増の成果を求めて努力する。
彼らは冷静で善良だ。
④の状態にいる人は向上し続ける。生活の安定より大きな成果や能力、真理の探究を求める。または快楽を求め続ける。
追求のためなら非凡な行動力を発揮できる。ちなみに能力が高いかどうかは関係ない。
以上、4つの分類について私なりの解説をした。
次は各状態における「比較」の様相を考える。
①の比較は無邪気
挫折を知らない人間は自分の一面しか知らない。そして深刻に悩まない。他人と自分、他人と他の比較は精度が甘く、楽観的なものになるだろう。
良いか悪いかを判断すると、今は良いがこれから問題が起こる可能性をはらんでいるという感じだ。
②の比較は自己中心的
ここにいる人たちの問題は深い。「比較」という道具を誰かを苦しめるために使ってしまう。
他人の良さと自分の悪さを比べて落ち込んだり、他人の欠点や失敗を見つけて安心たりする。
またある親は、他人の子どもと自分の子どもや、兄弟同士の優劣を比べて劣った方の子どもに改善をうながす。彼らは善悪やスペックで自分や人を判断してしまう沼にはまっている。
無条件の愛を与えられない人たちだ。
この状態ではすべての行いが自分のために行われる。
いくら「あなたのため」と言っても、実は自分の心の弱さを守っていることになる。
ここでの比較は主に自分が大丈夫かどうかの確認のために使われる。
③の比較は冷静
ここにいる人たちは自分の弱さや限界を受け入れ、淡々と生活している。正しいかどうかはともかく、自分の経験に基づいて物事を見、ある程度の自信を持って判断する。
ここでの比較はある程度の偏見を含みながら、害が起こる事は少ない。思惑や願望がそこに含まれないからだ。
④の比較は積極的
ここにいる人たちは、自分のことも他人のこともあまり気にしていない。自分が追い求めるものを手に入れるために「比較」は使われる。
スポーツ、事業、学問、芸術、芸能、サブカルチャー、美容、技能、趣味
「比較」は各自の「目的」のために行われる。
比較の質はその心次第
ここまで「比較」について「4つの自己満足の状態」という軸で解説した。そこでは4種の比較の型が示された。
冒頭で紹介した「落ち込む比較」は②であり、「勇気が湧いてくる比較」は①③④どれでもありえるだろう。
また③がもっとも一般的で、④がもっとも魅力的で前向きだろう。
そこに善悪や良否はない。そうすることが自然だったというだけだ。
また①〜④のどの状態にいるかは状況ごとに移り変わり、入り混じる。
ここで表題の問いを振り返ってみる。
「他人と自分を比べるとき、自分はどこにいるのか」
この問いに私自身が答えるとすると、
今だいたいは③状態にいながら、たまに④状態にいる。
またたまに②状態だった時の癖が残っていることがある。
そんな感じだ。
②状態にいる間は理不尽に辛いことが起こりやすい状態だ。
自分や他人の状況を理解して自分の目指したい方向を認識することで、そちらに向かいやすくなる。
「あの人はこうで自分はこうだ」という思考に少しでも辛さを感じる時、表題の問いと①〜④の分類をもとに内省してみるといい。
この言葉を昔の私のような人に伝えたい。
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