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141.(85/365) 吉野旅2。

翌日の早朝、5時半に起きて支度をし、6時過ぎに三奇楼を出た。
あたりは、まだ人の気配もなく、ひっそりと静まり返っていた。
昨夜の蔵BARでの出来事が幻のように感じられた。
その感覚がまさに「狐につままれた」ように感じたから、本当に不思議な場所だと思った。
車に乗り込み、吉野山へ向けて出発した。
吉野川を左手に見ながら車を走らせた。
吉野山には深い朝もやがかかり、天気は曇り。
条件的にはあまり良くないのかもしれない。
そんなことを思いながら、10分ほどで、吉野山の麓へと辿り着いた。
不思議なことに、吉野山を登り始めると、雲がなくなって、晴れ間が見え始めた。
吉野山に迎え入れられている、そんな気がした。
曲がりくねった山道を進む。
道はどんどん人の世界から、動植物の世界へと入っていく。
この感じがたまらなく好きだ。
舗装されたアスファルトではあるけれど、杉の落ち葉がつもり、そこに車が通った轍だけができている。
途中、野生の鹿の親子と3匹の穴熊に遭遇した。

下千本のあたりには、まだ規制がかかる前の駐車場に車を止め、望遠レンズのついたカメラで桜を撮影している人たちが大勢いた。
それを横目に、中千本を目指す。
以前に来た時に、その絶景に息を呑んだ展望台へ向かう。
おじさんに許可をもらって、車を駐車場に停める。

前に来た時には確か夕方だった。
今回は朝方。
見事なまでの雲海が広がり、前回とはまた違った表情の絶景が広がっていた。
うぐいすが鳴いていた。

吉野山を上がるほど、気温は低くなり、それに応じて桜もまだ咲き切っていない様子が見てとれた。
ぼくたちは、奥千本や上千本を目指すことはやめ、中千本からまた下へと下っていった。

桜は満開ではなかったけれど、何よりも吉野山の春の気配がそこかしこに感じられたことに、ワクワクし、元気をもらえた。
次は、最短で、4月の中旬に行く予定にしている。
きっと桜は散ってるだろうけれど、新緑の吉野は、また生命の気配が濃くなっていて最高なんだろうなと思うと、今から待ち遠しい。
やっぱり吉野は最高だ。

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