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生存戦略

「一個の宇宙と等価であるハムスター。複雑な機能を全て完璧にバランスさせながら毛繕いし、呼吸し、マメにがっつき消化する素敵な存在。我々も同じ。」

私が可愛がっているハムスターをみて、母が言っていた。

変わった母だ。やたら壮大なことを言う。
そして私はそんな母のことを結構気に入っている。
母はとても穏やかになっていて、私は嬉しい。父と一緒にずっとずっと長生きしてほしいなと思う。

最近、幼少期のことを思い出して、どうやって今の自分が形成されたのかを考えていた。

今思うと、物心ついた頃から、気持ちが不安定でおっちょこちょいな母のことを心配しながら生きていた。

多分これが今の私にもかなり大きく影響している。

小さい頃は、母を一人にしたら、どこかへふらっといってしまって、帰ってこなくなるのではと思っていたので、なんとなく母を一人にしておくのが怖かった。
姉たちが随分激しい反抗期を迎えていた頃、私は母の心の穏やかさを取り戻す存在にならなくちゃと、どこかでいつも思っていた。

姉たちの反抗期が終わっても、母は鬱だったし、私はしっかりもの&癒しキャラでおらねばという意識は変わらなかった。
心配や迷惑をかけるわけにはいかないので、特に反抗期もなく、ぐれもせず、生真面目な学生時代を生きていた。

人を動揺させたり怒らせたりしないように、余計なことは絶対に言いたくないので口数はそれほど多くなく、ゆっくりよく考えてから話す。
人を傷つけないユーモアを大切に、にこにこ、優しく。
良くも悪くも、自分がどうこうではなく、周りの人がどう思うか、何を望んでいるか、心穏やかに過ごせているかを鑑みて自分の行動を決める習慣が身についたのだと思う。

先日、小さいお子さんのいる会社の人に「ヨウさんは反抗期ありましたか?」と聞かれた。
「なかったですね」
「そうですか。うちの子は小学2年生なのにもう反抗期ですよ」とおっしゃるので、
「反抗できるのは、お子さんが安心している証拠だと思いますよ」とお伝えしておいた。
「ヨウさんは落ち着いていますね」
とよく言われるが、多分、これも全部、母を安心させるための話し方や行動が波及してきたものだと思う。

小さい頃から落ち着いているので、いつになったらおだってキャピキャピできるのかなと楽しみにしてきたが全然キャピキャピできないまま20代も終わりそうである。

空気を読む鬼と化しており、意気地なし、自分がない、交渉において不利な方に自分を持っていきたくなるのでビジネスに向いてない、とよく思う。
そして、多分こういう人類は私の他にもたくさんいる。

損得勘定も苦手なので、普段から身についている人をみると大変羨ましい。そういう人から出世しそうだから。
同時にそういう人たちが怖くもある。私の全てを吸い取っていきそうだから。

私と似た人類がどのような生存戦略で生きているのかよく知りたいところ。
読書でもしよう。



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