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【演劇系大学紹介】現役大学生に聞いた桜美林大学!(前編)

演劇ソムリエのいとうゆうかです。

進路で悩める高校生の方へ。
演劇を学べる大学を経験した方々にお話を聞くシリーズを始めます。

この記事は、私がYouTubeに投稿したインタビュー動画の書き起こしです。

宜しければこちらも併せてご覧ください。


第1回ゲストは若尾颯太くん

いとう:今日は第1回のゲストとしてこの人に来てもらいました。
若尾:若尾颯太です。東京都出身で今も東京に住んでます。20歳ですね。
いとう:20歳だって~~(若い)
若尾:でも10月で21になるから。
いとう:そっかそっか。
若尾:で、桜美林に通ってます、3年生です。役者をメインにやってます。

大学を選んだ理由

いとう:なんでこの大学にしたの?
若尾:高校の時に芸術系の大学生が高校に来てワークショップをするっていうことがあって、そこに桜美林の人とか教授が来てて、何回かやり取りして話していくうちに桜美林が身近になって。あと、桜美林にプルヌスホールっていうのがあって、元々高校で演劇部だったので大会でプルヌスホールを使ってて結構身近だったので。で、芸術系に進もうかなって思ってて、じゃあ桜美林かなくらいの感じで大学を選びました。

桜美林の授業の特徴

いとう:なるほどね、私も演劇を勉強できる所に行きたいなと思ってたんだけど、座学メインでいこうと思ってたから桜美林を高校生のときは知らなかった。桜美林は実技がメインなのかな?
若尾:桜美林の感じとして、広く浅くっていう感じがある。1年生の時には役者とかスタッフとか分かれずにとりあえず授業で全部やるっていう。音響とか照明とか舞台美術とか全員やる。1年生のときに1回触れてだんだん学年が上がって絞っていくみたいな感じ。だから日芸とかとはちょっと違う。そんなに「実技実技」ではないです

学内通貨?

いとう:私が桜美林で面白いなと思ったのが、学内で通用する通貨みたいなのがあって、それでギャラを払ったりするっていうのを聞いたことがある。
若尾:桜美林は学生団体が豊富で、学生たちが自分で劇団とか作って大学の劇場で公演するのが多いんですよ。劇場の見張りとか劇場管理とかをして劇場スタッフとして働くとARTS(アーツ)っていう通貨がもらえて。それで劇場や照明とかの機材が買えて、それで上演するっていうのが桜美林で一番多い形態。
いとう;それ他の大学ではないよね。
若尾:学生が自由に劇場を使えるっていうのはあんまり聞かない。
いとう:明治はサークルとか名目があれば申請して使えるけど、通貨あるっていうのは面白い制度だね。
若尾:別に強制もなくて、やりたいなと思った人やお金を集めてやる。「アドバイザー先生」っていうのがあって、「この人の協力でやります」みたいなのを企画書に書いて申請してOKが出たらできますよ、みたいな

桜美林の授業は?

いとう:授業はどうなの?珍しいものやおすすめとか。
若尾:珍しいで言うと、京劇かな。中国の演劇なんですけど、多分桜美林にしかない。京劇の担当の先生が中国でもすごい人で、そんな人が来てやってくれる。何年かに1回は中国に行って京劇を発表できるっていうのがある。だから京劇は大学が推したいポイントなんじゃないかな。1年生はみんな必ず1回はやらされますしね。
いとう:颯太くん的にこの授業面白かったなっていうのはある?
若尾:ん~なんだろうな、直接演劇に関係するかは分からないですけど、「自己」を考える授業があって。『攻殻機動隊』のアニメとか多重人格者の映像とかを見たり。宗教の関係で輸血が出来ない人たちのドラマとか。そういうのを見て、何が自分を形成してるのかを考えて、(レポートを)書く。こういう授業は面白かった。
演劇に関係なく、微妙な期間じゃないですか、大学生って。大人なのか子供なのか、微妙な4年間っていうか。でもそこで形成される人間関係とか今後に影響してくるじゃないですか。高校生の時に思う「自分」と大学生になって考える「自分」って大分変わってきた。

実際の学生生活のギャップ

いとう:高校生のときに思い描いてた大学生活とギャップはある?
若尾:あんまり大学側からあれをやれこれをやれっていうのはなくて。機会はあるんですよ。例えばOPALっていうのがあって。先生が演出を務めて、オーディションで選ばれた学生が出るっていうのがあるんですけど、そういう風にチャンスだけある。でも自分で行動していかないと4年間が過ぎていく。ある種ちょっと厳しい。放任されてるから、何もしない人は何もせず終わる。1年生の時に同じスタートラインで入っても3年になるとえらい違いだっていうこともある。だから入った時にイメージしてた芸術系大学みたいに、レッスンをこなして1年に1回はみんなで舞台に立つっていうのがあるのかと思ってたけど何もないから、早く見つけないと時間がどんどん過ぎていくっていうギャップはありましたね。意外と何もないんだっていう。置いてあるものはいっぱいあるけどそれを自分に渡されることはない
いとう:そっか。それは普通の大学でもそうかもね。色んな資格のコースとか英語のコースとかがあっても、それを選ばなくても卒業はできる。けど、自分で行動することの大切さはね、卒業して思うよ。でも大学ってそういう所だよね。
若尾:そうですね。

大学の悪い所は?


いとう:大学の悪い所っていうか、もうちょっとこうしてほしいみたいな所はある?
若尾:うーん、「広く浅く」だから、極められないんですよ。4年間じゃ。自分で実感できるほどの成長があまり感じられないんですよ。先生たちも、メインの演出家の人も1人いるけど、その人しかいないので。だからスタッフ側はまあ何となくあれ(成長できる)ですけど、あんまり技術向上が見込めない。大学にいるだけじゃ多分現状のままで終わるっていう感じ。楽しかったなっていう思い出だけで終わっちゃうなっていう所が悪いっていうか、そういう(受け身で成長できる)感じだと思ってると気付いたらもう時が過ぎちゃうのかなって。

高校時代について

いとう:大学に入るまでの高校生の時はどういう感じだったの?受験勉強とか、どういうことに気を付けて過ごしてた?
若尾:んーと、とりあえず高校で塾は行かないって決めたんですよ。中学までは塾言ってたんですけど、たいして成績が上がらなくて、なんで塾行ってんのかなってくらい上がらなかったので、高校は行かなくていいかなって思って。で、2年生になってから定期テストとかをちゃんと勉強して、割と成績を取ったんですよ。内申点とか取って評価をちゃんと上げてて。推薦は成績が良ければ色々出来るっていうのを聴いてたんで、とりあえず成績だけ取っとこうと思って、ちゃんと学校の中の勉強をしてある程度成績を上げておいて。でも桜美林に決めようと思ったのは高校3年生の夏くらいで。それまではみんなと同じように教科の勉強してて。(所属していた演劇部の)顧問の先生が国語の先生だったので推薦の書類とかを見てもらって添削を待ってる時に、公演の本番を控えた後輩たちに「人がいないんで1回出てもらってもいいですか?」と言われて。そしたらその流れで「文化祭も…」となって、「ああ、まあいいよ…」ってなって、それでそこから大会もって(延ばし延ばしに)なっていって。それがあったんで、勉強してなかったから推薦で桜美林に行かないとヤバいってなって、とりあえず書類とかは真剣にやって、何とか受かったって感じです。
いとう:推薦だったのね。
若尾:そうです。
いとう:推薦の戦い方としてはいいよね。
若尾:直前までずっと対策しながら演劇に触れてたんでそこは良かったと思います。
いとう:バイタリティーがすごい。大体の受験生は自分の受験のことしか出来ないじゃん。
若尾:運動部がもう大会とか終わって引退してるのに、自分だけが「今日部活あるんだよね」って部活行くっていう。
いとう:じゃあ推薦狙うならやっぱり学校でやるべきことはしっかりやっておかなきゃいけないし、面接とかの対策も結構力入れてやってた?
若尾:そうですね。でも桜美林はそんなに(難易度が)高くないので評定平均も3以上取れてれば推薦を受けられるので。公募推薦で受かったんですよ。実技の試験もあるんですけど、グループで創作します。2つにグループが分けられてて、単語がいっぱい並んだ紙が配られて、「この中の単語を2つ以上使って、時間内に決められたシチュエーションで劇を作って発表しあいなさい」っていう。
いとう:なんか就活みたいって思った。
若尾:面接は、先やるチームと発表が終わってからやるチームとで分かれてました。5人くらいで並んで、順番に聞かれてく、みたいな。
いとう:試験だからあれ(緊張する)だけど、普通にやったら面白そう。単語選んで作るっていうの。
若尾:そうそう、だからほんとに「やりたいことをやる」みたいな。
いとう:なかなか実技の大学ではそういうことはないかもね。

高校生に戻って進路を選び直すとしたら?

いとう:じゃあ、高校生に戻って進路を選び直すとしたらどうする?大学生になって色々知った状態で戻るとしたら。
若尾:ああ~どうだろうな、ほんと究極、行かないかもしれないすよ。


続きは後編へ!




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演劇が好きです。観て、考えて、書いて、読んでもらう。演劇はその場で消えてなくなってしまうけど、私たちが何度も思い出すことで永遠になるなんて、素敵だと思いませんか。 いただいたサポートは、演劇ソムリエとして生きて行くために使わせていただきます。