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誤読がなんだ。【30-DAY SONG CHALLENGE⑨幸せな気分になる曲】

こんにちは。演劇ソムリエのいとうゆうかです。今日は音楽の話。
パートナー(HN:式部)と30-DAY SONG CHALLENGEを始めた記録です。
30-DAY SONG CHALLENGEの簡単な説明は以前のnoteに書いてるので、知らない人は読んでみてくださいね。

今日は9日目。今日のお題はこちら。

Day9 幸せな気分になる曲


私&式部:あたたかな手/ハンバートハンバート

これは、なんと選んだ曲が一致しました!
この「幸せな気分になる曲」で同じ曲を思い出せるのは何だか嬉しいですね。

ハンバートハンバートは優しい歌声が魅力的な男女2人組デュオ。この2人は夫婦ということもあり、温かみの感じられる曲ばかり。

CMで流れていた『アセロラ体操のうた』なんかは、聴いたことのある方も多いのではないでしょうか?

さて、『あたたかな手』の話に戻します。

「幸せな気分になる曲」として選んだこの曲だけれど、歌詞をちゃんと見てみると「過去の別れをそれぞれに思い返す男女」が描かれています。

以下に、女性目線の部分と男性目線の部分を引いてみます。

線の入ってない便箋 ちょっと斜めに傾いた字
20年後子どもとかいて 家で日々過ごす私は
洗濯物たたんで パチッ 痛っ 静電気
京都同じくらい寒い冬の日 その拍子に思い出すの
ぼくも今思い出してる 次から次へと溢れ出てくる
男のくせに手が冷たいね 私より君のがまつ毛長いね
ふるえながらアイスを食べた 夜中に起きて電話をかけた
笑うどころか泣きたいくらいだ 20年後のぼくは今

私は平和ボケしているので、この歌詞を聴いても「長年連れ添っている男女が、過去には喧嘩もしたけど些細なことが幸せだったということを思い出す曲」だとしばらく思ってました。

だから、

駅までの 帰りは
吐く息も 真っ白
ポケットに 入れた手を
ぎゅっと握りしめてみる

というサビの歌詞からは、冬、恋人と「寒いね」と言いながら上着のポケットの中で手を繋いで歩いた経験を思い起こしました。

しかし歌詞全体から考えると、おそらくこの男女はそれぞれに違う道を歩んでいて、かつての恋人は隣にいません。

それでもこの曲を「幸せな気分になる曲」としてピックアップしたことで言いたいのは、

あえて「誤読」してみることのおもしろさがあるということです。

確かに最初は単なる勘違いから作者の意図とは違う方向に解釈しました。しかし、そうしたことで、私にとってこの曲は、曲自体が語る範囲を超えた意味を持っている。この曲を聴きながら恋人と夜の川沿いで自転車を必死に漕いだことも、一緒に歌いながら部屋でくつろいだことも、私には大切な思い出だったからこその誤読。

音楽に限らず、作品を解釈するのに正しいかどうかは大した問題ではないと考えています。もちろん、その作品の背景(社会的要因や作者の生い立ちなど)を考えるのは、学問的には必要なことだと思います。

ただ、個人が作品を楽しむという意味では、自分だけのオリジナルの解釈があった方が作品に愛着が湧くものです。そしてそれをシェアし合って、色々な考え方があるのだな、と考えることが出来たら作品の楽しみ方が倍増します。なんてお得なんでしょう!誤読を恐れないでいいんです。あなたの感性はあなただけのものだから。

この記事を読んでこの曲に興味を持っていただいた方は、是非音源を購入してみて下さい!この1曲だけをダウンロードするのもあり、円盤を買ってアルバム全体を楽しむのもあり。私は『ひかり』という曲も好き。穏やかな曲調だと思っているとその歌詞の内容に衝撃を受けますよ。



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