ChatGPTで自己分析+名刺デザインしたら1日で納品完了した話
みなさん自己分析や自己PRは得意でしょうか?僕は根っこの部分で自分に自信がないので苦手です。クリエイターとして個人用名刺を何度か作りましたが、最終的に何も記載できなくなって、いつも質素な仕上がりになります。
この記事は、そんな僕が自分の名刺を急遽作り直すことになった経緯と、ChatGPTで情報整理をすることでデザイン作業のスピードを向上させた名刺の制作プロセス、そして最終的な所管について書かれています。
急に名刺を作ることになったきっかけ
ある日、会社に印刷会社の方が飛び込み営業が来ました。これだけDXシフトが叫ばれる中で意表を突かれ、ひょっとしたら何か面白いことあるかもしれないという好奇心で話を聞いてみることに。
聞くところによると、現在研修期間中で、飛び込み営業で案件を獲得することが研修試験の合格条件であり、「今何か印刷したい物ないですか」とのこと。何のひねりもなかった。「このご時世に大変ですね」とか「何かあったら連絡しますね」とか茶を濁しながらその場はお帰りいただきました。
後々「何か印刷したいものなかったかなぁ」思い返したとき、普段から大量に受けているテレアポやメールのような営業手法だった場合、絶対に無視してたし、”このように思い返す機会”さえもなかったなと気づきました。この偶発的機会に謎の可能性を感じ、「そや自分の名刺作ろ」と思い立ち、その日の業後から名刺制作に着手しました。
飛び込み営業については褒められたものじゃないかもですが、何のひねりもない、営業さんのあの真っ直ぐな眼差しを思い返したときに、「この件があわよくば研修の足しになるよう間に合えばいいかな」くらいのモチベーションのアシストもありました。
名刺デザインの制作プロセス
通常のクライアントワークでは俗にいう「ヒアリング」で先方から目的や課題を聞き、要件を整理して必要な要素やビジュアルの方向性を決め、ディスカッションで最終的な成果物の解像度を高めていく作業を行います。が、今回の対象は自分自身なので自問自答するしかありません。
ポートフォリオ制作とか自己PRが苦手な人、書きたいことがありすぎて情報がまとまらない人が陥りがちなのが「自分が何者か」を端的かつちゃんと表現しようとすればするほど、自己分析に膨大な時間がかかってしまうこと。
今回はこの問題を解消するために、極端な期日の制約を設けるとともに、これを間に合わせるために「AIの力を使って作業効率を最大化させる」というポリシーのもと制作していくことを決めました。
1.リニューアル要件の整理
旧名刺は5年くらいデザイン変えてないのでシンプルに飽きた
従来通り個人用名刺と会社用名刺は使い分けていく
会社用名刺が縦型なのでなんとなく向きを合わせて縦型にしたい
「ショップカードみたいで草」と言われるのでより名刺感を出したい
凝り出すといつまでも凝るので、一度のデザイン作業で完成させる
今回は「プロトタイプ」と割り切り、紙質などは次回以降に拘る
納期に影響する要素は全て最小値に設定し、最短納品を目指す
2.ChatGPTでコンセプト作成
自問自答の友、ChatGPTに「クリエイターの名刺はどのようなデザインが望ましいか?」を問いかけていきます。
思ってたより具体的なアドバイスが返ってきました。このことから、「グラフィカルにスキルを記載する」「スキルセットをカテゴリ化する」「テクスチャを上手く取り入れる」という大まかなコンセプトが決定しました。
3.ChatGPTで情報整理
スキルを記載する場合、細かいスキルを上げ出したらキリがないし、沢山書けばいいというものではないので、情報を抽象化するためにChatGPTに問いかけていきます。
ゼロイチでスキルセットを捻出しても良いのですが、丁度デジタル名刺のプロフィールで業務範囲なるものを設定していたので、この内容をそのまま流用していきます。余りにも数が多いので、関連性の近い内容をカテゴライズしてもらうよう指示を出していきます。
入力したスキル数は40個。この項目数を数秒でいい具合にまとめてもらいました。あとは日本語としての表現のニュアンスやディテールを最終的に調整し、コアとなるスキルセットが5つにまとまりました。
4.ChatGPTで遊ぶ
ここまで要素が固まってくると精神的余裕が生まれてきたので、発散的に少し遊んでみます。この段階では語彙力が終わっていたので、まとまったスキルセットをスタイリッシュに表現してもらうように指示しました。
スタイリッシュすぎて笑ってしまいました。一瞬アリかなと思いつつ、「何これ…」と毎回聞かれそうなのと、毎回一生懸命説明してる姿を想像するとスタイリッシュでもなんでもなかったので不採用にしました。
5.ビジュアルデザイン
コンセプトに基づき、表面を名刺っぽくシンプルに、裏面でコアスキルをグラフィカルに表現することに決定。裏面に使用するテクスチャはAI生成で遊びたかったんですが、沼にハマりそうだったので素直に手持ちの素材集の中からチョイスしました。
いつもなら3案×3アレンジの合計9パターンくらいを仕上げてから比較するのですが、時間もあまりないので、表面は汎用性を重視した1パターンのみで進行。裏面はA案に絞り、「A1:ラベル表現でシンプルかつ恒久的なパターン」と「A2:タイポグラフィで各エレメントに個性を持たせたパターン」の2つで比較。
後者のA2パターンは一見華やかでインパクトがあるのですが、フォントの選定と最終的なディティールアップで苦戦しそうだったのと、納品されてきたものを見た後に絶対に気になる箇所がいくつか出てくるという予感が働いたので前者のA1パターンで最終調整に入りました。
6.入稿と受け取り
その日の夜のうちにメールで入稿用に調整したデータを飛び込み営業の方に送付。翌日には完成した名刺を受け取ることができました。ちなみにこの件で目標達成して無事に研修終了したみたいです。おめでとう。
まとめ
AI時代における「速さ」の価値
今回の制作作業では情報整理の部分でChatGPTに大いに助けられました。恐らく人力で企画してたら一週間はかかってたと思います。そして、表面的な作業効率の向上以上に「昨日思い立ったデザインが手元にある」というのはなかなかに凄い体験です。悩んでる暇があったらAIに問いかけましょう。
AIを活用には「問の質」が重要
前述の「速さ」にも直結しますが、AIに対するプロンプト=「問の質」がかなり重要です。ChatGPTに限っては基本的にどんな問に対しても解を出すので、もし問の段階で間違っていたとしたら、当然ながら解もズレていきます。現状では正解ではなく「答え合わせ」に使うことを推奨します。
好奇心でしか起こせない創造
本件は飛び込み営業に対する好奇心から始まり、目の前で起きている事象を面白いと捉えられたことで今回の名刺が作られました。そしてこのnoteも作られました。今後AIよって世の中は最適化されていきますが、それを面白いと思えるかどうか、その面白さに価値を作れるかどうかは人間の根っこにある好奇心なんだよなと再認識。
あと、仕上がった名刺を受け取る際に、飛び込み営業さんがめっちゃ喜びながら納品物を手渡ししてくれたのですが、その笑顔を創れただけだとしてもよかったよ。