マネジメント基礎⑥

の続きです。

ダグラス・マグレガーのX理論とY理論

X理論→人は基本的に怠惰で仕事が嫌いなので、仕事を強制して責任を持つことはできない。=未熟な存在

Y理論→人は欲求を持ち、仕事を通して自己実現と責任を欲する。=成熟を求める存在

ただし、現実にはここまでシンプルではない。

X理論は、いわばアメとムチ。

Y理論は、自己実現や創造性、人格の形成などを基調とするが、あくまでこれらは人の「弱み」に付け込み、その心理を支配するという、X理論で言われているところの、「人間の未熟さ」をベースに考えられたものである。いわば心理的支配だ。

そうすると、相手の心理を全て汲み取れる者こそ、マネジメント人材に適切であるということに気づくが、そもそもそんな人間はいないし、仕事においての人間関係は、信頼を基礎におく必要がある。支配しようとして、人を小馬鹿にするようなことがあってはならない。

では、有効な方法は何か?

本書では、3つの例が示された。

・1920~1930年代の日本企業の例、⑥に示されている、意思決定が何を意味するかを考えさせ、責任の分担を行なった。

・ドイツのツァイス式では、ツァイスの後を継いだアッベの働き方のイノベーションが好例となる。アッベは仕事のプロセスにおいて、自分の専門性を活かし、分析・統合を行なった。

しかし、行なったのはそこまで。働くことを組織するという責任は、現場の担当者に移行した。かつ、そのプロセスで必要となった新たなツールに関しては、その現場の技術者に開発の責任を移行した。

結果として、自分たちのツール、工程等は自分たちで整備し、整理しなければならない。つまり、自分の仕事は自分で管理する必要性を感じていた。それは、もしかしたら日本では終身雇用制があったからこそ生まれなかった、危機感にも根を張るかもしれない。

・IBMでは、従業員の女性が「自分の仕事はここまで」と責任の範囲が狭かったところを、「自分のツールは自分で整備する」というプロセスの再統合で、その範囲を拡大した。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

これらから、働くことのマネジメントの基礎として

「責任」の組織化が重要なことが見えてくる。


それでは、仕事に責任を持たせるためには、どうすればいいのだろうか?実際、仕事は重荷であるからして、積極的に受け入れたいものではないかもしれない。

まずは、仕事に焦点を合わせることである。他の要素は同じくらい重要であるにしても、仕事はもっとも焦点をあわせるべき、いわばファンダメンタルなものである。

俗に「働きがい」を与えるためには、仕事そのものに責任を持たせる必要がある。

そのために、

① 生産的な仕事

② フィードバック情報

③ 継続学習

の三つは不可欠となる。詳しく見ていくと

① 仕事の分析、プロセス統合、管理手段と基準の検討、道具や情報を設計せずして、生産的な仕事は成し得ない。

② フィードバックによって、自己管理や成果を客観視することで、自分のやっていることへの理解が深まり、結果生産性が高まる。

③ 継続学習によって、知識労働における専門性を高めたり、他の分野における見聞を広めることで、仕事の生産性を高めうる。

これらが基盤となり、仕事や集団、成果などに責任を持ち始める。すなわち、マネジメントが責任を持って課題とすべきことである。

しかし、これは一方で、マネジメントだけが取り組む課題ではない。当事者たちも同様に、仕事やプロセス、道具などの検討に初めから参加しなければいけない。そこで、彼らの知識・経験・欲求の観点からの意見を資源として活用する必要がある。

これに加えて、身分の保障を忘れてはいけない。これは給与や福祉などではなく、仕事をいかに続けられるかということに対する保障であり、「身分(仕事)を失わない」仕組みづくりをする必要がある。

エンジニアリングとコーヒーをこよなく愛する新米エンジニア 夢は、「世代を超えて、それぞれの幸せを追求できる社会を創造する」こと エンジニアだけどコーヒーを上手に淹れます。 頂いたサポートは、より良いnoteの記事を生み出すために使っていきます。