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『昨夜のカレー、明日のパン』

「海、行きたかったなぁ。今年、行けなかったんだよねぇ」と魚屋さんは言った。彼女から、かすかに魚の匂いがした。陸に上がった魚が海を恋しがっているように思えた。足をもらうかわりに声を失った人魚姫のように、この人もまた何かの呪いにかかって、魚屋さんをやっているのかもしれない。

木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』 2016 河出書房新社 P30

 図々しくも私と感性が似ていると思った。

 最初の『ムムム』の話で心奪われ
 続く『パワースポット』で「あぁこの人好きだぁ」と確信した。

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 最愛の家族を失った人たちの日常は、どこかゆるく、そして力強く。生き生きと生かされている。それは登場人物テツコとギフと岩井さんの関係性であったり会話であったり。独特だけど、誰もが抱えているモヤモヤは軽く読める言葉に変換され、温かい気持ちが残る。今までに無い感覚の物語に「感性が似ている」だなんて。やっぱり私は図々しい。

 「小説家になりたい」

 夢に近づく第一歩として、色々な作品に触れたいと、Instagramに読んだ本の備忘録として投稿した最初の作品は木皿泉さんの『昨夜のカレー、明日のパン』。多くの人に手に取って読んでもらいたいのでネタバレもないし、あえて内容も書いていない。それは良いのか悪いのか・・・・・・。それでも私の下手な感想で変な先入観を抱かれるのなら、やっぱり直視してもらいたから、自己満足で終わらせたい。



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