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なつの思い出2023#2【餃子とホルモン、野球と映画】

7月8日(土)


この日はひさしぶりになにも予定がない一日で、夕方からひとりで名画座へ、2本立てを観にいくことにしていた。
それまでの時間、さてなにをしようか…と思っていたのだが、たまたま連絡を取った友人がちょうど予定が空いているという。私も私だが友人もなかなか忙しいひとで、ひさしぶりに会おうと言いつつも予定があわないまま、なんと半年が経とうとしていた。

私の夕方からの映画に合わせてもらい、昼から軽く飲もうということで待ち合わせ場所である亀戸にむかったのだが、到着まぎわに友人から連絡が入り、30分ほど遅れるとのこと。

私の方は到着時間をすこしはやめに設定していたため、駅周辺をふらつくことにした。

住まいから離れていることもあり、亀戸というのはなかなか来ることのない場所だが、昼から呑める店があるだとか、こと飲食物については名物といえるものがいろいろとあることは知っていた。


すぐに呑む予定だったので散歩をして時間を潰すつもりでいたのだが、有名な『亀戸餃子』が、数人ほど待ってはいるもののすぐに入れそうなことに気がつき、すこしなやんでから列の後ろへと吸いこまれる。

昼からひとりで飲むビールと餃子はそれだけですばらしいに決まっているけれど、初めて食べる亀戸餃子は野菜がしゃきしゃきでとても美味しかった。そしてひとりあたり餃子を2皿頼むのはマスト、食べ物は餃子のみというこのお店はとても独特なスタイルで、U字になったカウンターの真ん中にはたくさん店員さんがいて、それぞれがタイミングを見計らって「もう一枚どうですか」と声をかけてくれる。その店員さんとほかのお客さんとのやりとりを見ているのもなんとも面白い。

ひとりで訪れているおじさんが回転ずしのように何枚もうずたかく皿を重ねていったり、ふたり連れの年配女性が店員さんの問いを受け、ひそひそとまだ食べれるかどうかの相談をしていたり。私も例に漏れず「もう一枚どうですか」と聞かれたが、このあとの予定のために2枚でおあいそをお願いする。

餃子を食べてなお友人を待つ時間があまったためふたたび散歩していると、こちらも名店とうわさの『ホルモン青木』を見つける。並びはあったけれど友人の到着前にすんなり入店することができて、先にひとりではじめる。さっぱりしたかった&あまり飲むとこのあとの映画にさしつかえるのでレモンサワーにする。

よく晴れた夏の昼からホルモンとレモンサワー、おいしくないわけがない。すこしずつ焼きはじめていたレバーのおいしさに感動したあたりで友人が合流し、本格的に飲み食べをはじめる。

転勤族でいわゆる幼なじみのいない私にとって、中学の頃から腐れ縁のその友人Sがいちばん古い関係で、ぐうぜん互いに勤務先が関東になり、出会って15年が経とうとしている今もこうして近況報告やら思い出話やらをできることをうれしく思う。
おすすめのホルモンをあらかた頼んだが、”大ちゃん”という部位がいちばんおいしいというところで意見が合う。思春期のころは私がよく食べることについてからかわれたりもしてSの前で食い意地を出さないように気をつけていたこともあったけれど、もう気にしない。
Sも昔ほどはそんなことを言わなくなって、話すことも仕事についてや地元のだれかのこと、結婚観についてなどになっていて、私も彼もずいぶんおとなになったものだと思う。

店を出るとまだ15時で、すんなり解散する。互いにちがう朝をすごし、ほんの数時間だけおなじ時間を共有して、また互いにちがう一日へ散っていくことができる関係をなんだか心地よく感じた。

映画まで微妙に時間と酔いが残っていて、バッティングセンターに行くことにした。20球打って一球しか当たらなかった。
その一球も、もう終わったと思ったらまだ球が残っていたようで、となりのブースのおじさんに「まだ出てますよ」と声をかけてもらい「アッありがとうございます!」とやけくそで打ったのが当たっただけだった。

わたしはなぜだか子どもの頃から野球に苦手意識を持っていて、野球とは疎遠な人生を送ってきた。父がある球団の熱狂的なファンだったことへの反発心(なんの?)や、”野球部”というものへの偏見もあったかもしれない。

中学高校と野球部だったSがいっちょまえに野球への矜持を持っていたことについて、当時はからかったこともあった。野球のここがきらい、という文句をわざわざ話したことも、ピッチャーの肩はたいせつなんだという彼を揶揄したことも。
彼もこどもだったけれど、わたしも自分の好き嫌いばかり押しつける、横暴でいやなこどもだったと思う。

そのあと観た映画は2本ともにバットが出てきて(そのうち一本は人を殴るための登場だったけれど)、「一日素振りを100回しろ」というセリフがありこれを機にバットを買って一日素振りを100回してみようかなと思った。

ほどなくして誕生日をむかえた彼に、祝いの言葉とともに「毎日素振りしたら、当たるようになるかな?」と聞いてみたら、「当たるようにはならないけどフォームはよくなるかもね」と親切な回答をもらった。

亀戸餃子
小ぶりでいくらでもいけそう
ホルモン青木 ぜんぶおいしかった
ふだんは飲まないいちごヨーグルトサワー、推しぽかったので飲んだがすごく美味しかった、また飲みたい
カード可愛かった
見晴らしの良さ
上2本を鑑賞、なんだかんだ北野武作品をちゃんと観たのははじめてだった

【夏ポイント】
・昼から餃子&ビール
・昼からホルモン&酒
・よっぱらってバッティングセンター
・2本立ての邦画

【10月29日ふりかえり】
あれから3ヶ月以上が経ったけれど、まだバットは買っていない。

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