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青く深く深く【photogallery短編】

電信柱を久しぶりに感じた。

今日は、下町への出張だった。古くくすんだ町並みの上に、秋空が広がっていた。雲一つない。青。青。青。

仕事も終わり、一安心してぶらぶらと歩いていると、そこに、電信柱を見つけたのだ。

電信柱は、窮屈そうにそこに立っていた。青い空に背を伸ばしながら、たくさんの電線に捕らわれている。
体を動かそうともがいているようにも見える。しかし、無数の電線がそれを許さない。右からも左からも、右からも左からも、その線は伸びてきて、電信柱をからめとっている。右にも左にも動くことができない。不自由そうに見えた。どこかに行きたくても、どこにも行けないのだ。
いつまで、縛られなくてはいけないのだろう。

そう思いながら、電信柱の真下に立ってみた。

電信柱を見上げてみる。

いや、電信柱を見下ろしてみたのだ。地球から宇宙に向かって見下ろした。

電信柱は相変わらず、無数の電線に捕らわれてはいるが、青い青い空に深く深く柱を伸ばしている。

大気圏をかきまわすマドラー。

青い空に、深く深く伸びている。

うすく暗い雲がはりついてきた。

秋雨も降りそうな空になった。嵐を呼んでいる。

変化を起こすのか。その不自由な身で。

お礼:mitei_naricoさんの写真からイメージして描いてみました。ありがとうございました。

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