見出し画像

スポドリがむし歯の原因になる!?【Healthy Life】

みなさんこんにちは!
今年は観測史上最速の梅雨明けだったこともあってか、暑い日が続いていますね!
水分と塩分の補給のためスポーツドリンクを飲まれる方も多いかと思います。
しかし、スポーツドリンクはむし歯のリスクを高めてしまうことはご存じでしたか?

スポドリの「砂糖」に注意!

スポーツドリンクに砂糖が入っていることは皆さんご存じかと思います。
でも具体的にどれくらい入っているのか知っている方は少ないのではないでしょうか。

代表的なスポーツドリンクですと、ポカリスエットは100mlあたり6.2g、アクエリアスは4.7gの炭水化物が含まれています。

ポカリスエット
アクエリアス

成分表示の炭水化物の項目は食物繊維と糖質の合計の値ですが、通常はスポーツドリンクに食物繊維は含まれないためこのすべてが糖だと考えることができます。
成分表示は100mlあたりの量が書かれているため、ペットボトル1本(500ml)飲むと単純にその5倍の砂糖を取ることになります。
ショートケーキ1切れに含まれる砂糖の量が25g前後ですのでそれと同じくらい、もしくはそれ以上の砂糖を摂取することになります。

スポドリの「pH」に注意!

すっぱいものが歯を溶かす という話を聞いたことはありますか?
実際、人間の歯は酸によって溶かされます。「酸蝕症」と呼ばれるものです。

自由研究でやった方もいるのでは?

卵をお酢につけると殻が溶けてなくなる というのをイメージしていただければ分かりやすいかと思います。酸蝕症について気になる方はこちらの記事をご覧ください。

pHが5.5以下で歯が溶ける、とされていますがスポーツドリンクのpHは約3.5でそれよりも低いpHです。
余談ですが、コーラのpHは2.2、お酢のpHは2.7、レモン汁のpHは2.1です。
これらも酸蝕症のリスクがあると言えます。

スポーツドリンクにはクエン酸が含まれており、これがスポーツドリンクを酸性にしています。
クエン酸を加えることにより疲労回復やミネラルの吸収を促進する効果が得られますが、歯に対してはダメージを与えてしまう可能性があります。
砂糖が入っていないスポーツドリンクもありますが、pHは大きく変わらないため砂糖が無くてもむし歯にならないわけではないのです。

pHが低いからといってすぐに歯が溶けるわけではありません。歯の表面にあるエナメル質からミネラルが失われる脱灰から始まり徐々に徐々に進行していきます。
そして、それが積み重なっていくと治療が必要なほど歯が溶けてしまいます。

スポドリの「飲み方」に注意!

ここまで、スポーツドリンクにはむし歯のリスクとなる糖や酸が含まれているというお話をしました。
そのリスクは飲み方によってはより高まってしまうこともあわせて知っておきましょう。

ステファンカーブ」という言葉を知っていますか?
ステファンカーブとは、口の中のプラークのpHの変化についてあらわしたグラフです。
今回は1日の中でのpHの変化をあらわしたグラフになっています。

普段プラークのpHは7前後で中性に保たれています。
食後、プラークの中にいるむし歯の原因菌が酸をつくり、プラークのpHは酸性に傾きます。
酸性になったプラークがあると、先ほどの脱灰が起きてエナメル質からミネラルが溶けだしていきます。

酸性になると少しずつミネラルが溶けだします


しかし、唾液がそれを中性に戻すはたらきをするため、しばらくするとプラークは中性に戻ります。
さらに唾液にはエナメル質を形成するミネラルを補充する役割もあるため、この間に脱灰したエナメル質が修復されていきます。

唾液が中性にもどして修復します

中性にもどるまではある程度の時間が必要ですが、一度戻れば次の飲食までは中性に保たれます。
つまり、食事と食事の間隔が長いほど中性の時間も長く、修復時間が長くなります。
反対に、食事の間隔が短ければ酸性の時間が長くなり、修復時間も短くなっていきます。
つまり、スポーツドリンクを短い間隔で何度も飲むとむし歯リスクが高まるということです。
これはスポーツドリンク以外でも同じことが言えるのでダラダラ飲んだり食べたりしないようにしましょう

簡単にまとめると
・歯は酸で溶かされても唾液のはたらきで修復できる
・修復時間が長い方がむし歯のリスクは下がる
・だらだら食べたり飲んだりすると修復時間が確保できない
ということです。

むし歯リスクを高めない飲み方

ここまでスポーツドリンクが引き起こすむし歯のリスクについてお伝えしました。
しかし、スポーツドリンクを飲んだら虫歯になる、というわけではありません。
むし歯のリスクを高めにくい飲み方があります。

①ダラダラ飲まない
ひとつ前の スポドリの「飲み方」に注意! の項目でもお伝えしましたが、少しずつ短い間隔で飲み続けるとプラークが酸性になる時間が長くなり、歯の修復ができず、むし歯のリスクが高まります。
簡単な解決法は一度に飲む量を増やして間を大きく開けることですが、運動中はこまめに水分補給する事が推奨されています。

②スポドリを飲まない
前述の通り、こまめに水分補給することが推奨されていますが、こまめにスポーツドリンクを飲むとむし歯のリスクを高めてしまいます。
ですが、そもそもスポドリではなく水やお茶で水分補給することでむし歯のリスクを高めることなく水分補給することができます

あまり汗をかいていない場合、毎日3食摂っていれば食事から塩分を補給できているため水分のみの補給でもよいとされています。
たくさん汗をかいた場合はもちろん塩分補給も必要ですが、経口補水液など、スポーツドリンク以外でも塩分補給は可能です。

また、スポーツドリンクと水を併せて飲む方法もあります。スポーツドリンクを飲む頻度が下がればpHが低い時間を短くでき、水を飲んでこまめな水分補給が可能です。


暑い日が続いています。熱中症は命に関わるので水分補給を最優先で考えていただきたいのですが、スポーツドリンクはむし歯のリスクを高めるということを頭の片隅に留めておいて頂ければと思います。
今回紹介したもの以外にも対策法はありますのでご自身に合った水分補給のやり方を見つけて頂ければと思います。

今年はラニーニャ現象により残暑が厳しくなるようです。
水分補給が必須になる日はまだまだ続きそうですが、熱中症もむし歯もならないことが大切ですのでしっかり対策していきましょう!



最後まで読んでいただきありがとうございました!
当施設や歯科で働く管理栄養士について気になる!という方は是非こちらもご覧ください! ↓
Instagram
https://www.instagram.com/you_care.oral/
Twitter
https://twitter.com/sanyukai_info


今回の記事は管理栄養士の本田が担当しました!


参考
https://www.netsuzero.jp/learning/le01/case01-02
https://www.aquarius-sports.jp/
https://pocarisweat.jp/
https://www.jda.or.jp/park/eatright/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?