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何度も閉じた本からの学び【陽気なヴッツ先生】岩波文庫チャレンジ83/100冊目

SNSで見かけ表紙も面白そうだったので選んだ本書。「陽気なヴッツ先生」は約100ページと少量にも関わらず読了まで約1ヶ月最初の10ページで読むのを諦めた。クセがある。

岩波文庫は面白いと言い続けてきたが、チャレンジ8割を超えてまた学ぶこと多し。


◾️学び①古典は名作ランキングから読むべし


古典を網羅しない内は、SNSで見かけた本ではなく、王道・ランキング・聞いたことがある!作品をまず読むのがいい。


当たり前のようにも聞こえるが、SNSで見かけると面白そう!とつい読みたいリストに追加してしまう。好奇心も大切。

岩波文庫は古典の宝庫といえど、中には難しい書もある

これまで約80冊、ほとんどが聞いたことのある作品を読んできたからこそ、初めて出会う作品はやはり少し趣きが違う事が分かってきた。

つられた表紙の説明はこう。
読んでから分かった事だが、実に上手く書いてある。

ヴッツ先生は貧しくて本が買えない。そこで有名な本の題名だけを拝借しては勝手に著述し、それを我が蔵書の棚に並べて満足感に浸り込む。ささやかな喜びを糧に人生を送る平凡な小学校教師の姿を、ジャン・パウルはユーモアとアイロニーたっぷりに描き出す。ドイツ散文芸術の大先達と称えられる作者の傑作2編。

面白そう!と思った古典初心者のあなた!要注意です!
最後の「散文芸術」という言葉が目に入ったでしょうか?

散文芸術の大洗礼

そもそも散文とは何ぞや。
調べてみると、
詩が韻を踏んでいるのに対し、韻を踏まない文」とある。

つまり普通の文?
いや普通の文にしてはずいぶん難しいのだが・・

いや待て
散文ではなく、散文芸術

調べた事と本の内容を総合して自分なりに伝えると、
「韻は踏まないが詩のような内容の文章」

これだ。しっくりくる。

何の心構えも持たず普通に読み始めた場合、「詩」の世界に入り込めずに、文章に、ひいては全体に全くついていけない。

◾️学び②読むスピードを上げる

読むのを諦めても読了に至った理由は2つ。
1)本を開く場所を変える(これは最後に)
2)読むスピードを上げる

読むスピードを上げてなぜ内容が入ってくるようになったか、不思議に思う人もいるだろう。自分でも不思議だったが、そうなんだから仕方ない。

「思考の整理学」で有名な外山滋比古氏がこう言われている。

自転車はゆっくり走るとすぐ倒れる。早く走れば走るほど倒れにくい。読む場合も似たことが起こる。不自然にゆっくり読むからわかりにくい。思い切って早く読むとかえってよくわかる。

読了後に出会った文章だが、自分の体験を裏付けされたようで実に安心した。

この作品に限っていえば、
詩を読むように、
単語一つ一つの意味に捉われないで、
流れるように読む!

読み方のコツが分かってからやっと面白く感じ出したので、最初のページに戻ったりしながら遊んで読んだ。またいつの日か読み返したい本だ。

岩波文庫の表紙に戻れば、
散文芸術とは何と的を得た表現であろうか。
散文だけど芸術的な文章なのだ。

◾️一度閉じた本の開き方

難しい本
内容が頭に入ってこない本
すぐ眠くなる本

あなたは、ダメだと思って一旦閉じた本はいくつあるだろうか。

読了する事が目的でない場合はもちろん、自分のレベルに合わせて途中で読むのを辞めるという選択肢もある。

自分も、何度かこの本を開いては閉じ、を繰り返し、チャレンジ本を変えようか悩んだ。古典でなかったら諦めたかもしれない。だがこの本は古典、ゆえにエッセンスに辿り着く前にやめてしまうのが悔しかった。

どうしても読了したい本がある方へのアドバイス


「ダメだ難しいや」認定した本は、普段と違う場所で読む


普段読む場所といえば、家や外出先のカフェ、図書館など色々あるだろう。

自分的におすすめの場所は、病院の待ち時間と電車の中
このタイミングが来るまでは開かない、と決める。

こういう場所で読み始めると嫌でもページが進む。待ち時間でも電車移動中でも他にすることがないため、半強制的な読書になる。分からないながらも読み進めるうちに少しずつ分かってくる

少しずつでも分かってくると、残りが読めるようになる。先に紹介した「読むスピードを上げる」にどこか通じるようにも思う。

今回は、
本の内容にはほぼ触れないまま終わってしまうが・・解説から読み取れる内容をただ書いても自分的に面白味がなく。書くなら、後日読み返した時に得られる自分なりの感想を書きたいんだ。

という事で、古典は誰もが認めるザ名作から読むが良いという事がよく分かったので、残りの作品選びに活かしたい。しかしこの学びはザ名作以外から得られた事も忘れないでおきたい


岩波文庫100冊チャレンジ、残り17冊🌟

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