為したるものは受けるべし【アガメムノーン】岩波文庫チャレンジ82/100冊目
トロイア遠征でのギリシア総大将アガメムノーンの帰国後を描いたアイスキュロスの反戦歌と言われ、先に読んだ「ニーベルンゲンの歌」と通じる所がある。
「アガメムノーン」はオレステイア3部作の第1部。王の暗殺とその子オレステースによる仇討ちを予告する所まで。
2部で仇討ち、3部でオレステースの裁判という構成になっているらしい。1部2部の内容は、ホメロス「オデュッセイア」でも読める。自身まだ未読のためストーリーはここで知った。
断トツ有名なのは「オデュッセイア」だが、ホメロス「イリアス」を読んでいたので、別の作者アイスキュロスをつまんでみたかった。
ホメロスもアイスキュロスも紀元前だが、ホメロスは前7世紀、アイスキュロスは前5世紀の人。どちらがどうという事は分からないが、「アガメムノーン」がギリシア悲劇を扱っているだけに、内容にエグいものがある。
今は読み物だが、当時は演劇。シェイクスピア同様、劇を想像しながら読むと、少し味わいが変わって恐ろしみも増える。
為したるものは受けるべし(ネタバレ含む)
「暗殺から仇討ち」まででワンセット。
「為し手は為しただけのことを報いとしてその身に受ける」テーマが貫かれる。
トロイアを滅ぼした後、凱旋するアガメムノーン王を妻クリュタイメーストラーが出迎える。
「1番上等のお出迎えを」
口とは裏腹、すでに心に刃あり。なぜなら、アガメムノーン一行の帰国途中、大嵐に見舞われ、嵐を鎮めるためとして娘を人身御供とした、その恨み。
そしてアガメムノーンに恨みを持つ人物がもう一人。アイギストスの恨みの元がエグい。
系図は素晴らしいこちらのWikipediaをどうぞ。
(本作の登場人物たち)
・アガメムノーンは、アトレウスの子
・アトレウスの兄弟にテュエステースがいる
・アイギストスはテュエステースの子
アイギストスの恨みとは、
アトレウスは自分の妻と姦通したテュエステースを許すことができず、和解と称した食卓に、テュエステースの子供2人を並べた。自分の子とは知らずに喜んで食べつくした父テュエステースの恨みを晴らすというもの。
妻もアイギストスも、王を暗殺することにより恨みを晴らすものの、次編で王の子オレステースに仇討ちされる運命にある。
つまり「為したるものは受けるべし」
もう一つの大きな遠因、ヘレネーを誘拐してトロイア戦争の原因を作ったパリス、それが元でトロイアを破滅に導いた。
つまり「為したるものは受けるべし」
さて、戦が2冊続いたので、次は楽しい本が読みたいな。
岩波文庫100冊チャレンジ、残り18冊🌟
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