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「ファミコンバカ」と呼ばれた5歳児は今でもゲームをしている (1)

「趣味はゲームです」

僕は初めて会う人に対する自己紹介の時に、いまだにこうは言えない。

理由はいくつかある。

昔に比べて、今はゲームも市民権を得てきたので、言ったとしてもそれほど変な印象は持たれないのかもしれないが、僕も大多数のゲーマーが経験してきたように、ゲームが好きというだけで、周りからはちょっと特異な目を向けられて生きてきた。

そんな人生を歩んできたが、曲がりなりにも嫁さんをもらい、子どもも生まれ、それなりにマトモな生活をしている。毎晩夜中まで何時間もゲームをしていることを除いては。

ただ、冗談抜きで、
「人生で大切なことはだいたいゲームから教わった」
と言えるくらい、ゲームをやってきてよかったと思えるし、ゲームをやってきたからこそ今の自分がある、と思う。

でもやっぱり、「ゲームが趣味です!」とは声を大にして言えないチキンなので、せめてここで僕のゲーム人生を、ちょっとだけ・・・いやたぶんそれなりに思い出補正を入れながら、恥ずかしげもなく語っていこうと思う。


僕とゲームの初めての出会いは、数十年前。
当時僕は家の都合でしょっちゅうおばあちゃんちに預けられていた。

おばあちゃんは小さな旅館をやっていて、そこには「熊さん」と呼ばれていたおっちゃんが居候をしていた。

熊さんは今思い出しても、見た目がいいとは言えず、一歩間違えばホームレスにも見える風貌。

そんな熊さんは当時まだ幼稚園にも行ってないような子どもだった僕をとてもかわいがってくれて、僕はそんな熊さんのことが大好きだった。

熊さんはおばあちゃんちの近くにあるゲーセンで働いていて、僕をよくそこに連れていってくれた。

やりたいゲームの椅子にちょこんと座ると、熊さんはニコニコしながらジャラジャラと鍵の束を持ってきてくれて、今ではほとんど見なくなったテーブル筐体の扉を開け、フリープレイのボタンを押してくれる。

物心がついたかつかないかくらいの頃のことなのに、今でもその光景は目に焼き付いているし、めちゃくちゃワクワクしていたのを覚えている。

そんなに大きなゲーセンではなかったので、ゲームの数も多くはなかったが、そこに置いてある全てのものが騒がしく音を立て、僕の心を躍らせた。中でも、僕の一番のお気に入りは「ドンキーコング」だった。

あの独特のBGM、特に2面のバネの効果音の軽快なリズムを聞くと、当時のことを思い出す。

夏の暑い日、蝉の声とゲーセンの音が混じる中、アイスを片手に、食い入るようにデモ画面を眺めていたあの頃の記憶は、今でも僕の大切な宝物だ。

(つづきます)

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