図書館行ったら、読書じゃなくてコーヒー飲んでた。
昨日の夜、
YouTubeで読書週間がある人は賢い!だとか、収入が高い!だとか、
ひとまずいい事たくさーん!
みたいな動画を見て、急遽図書館に行きたくなり。
図書館に行く習慣は全然無くて、
本を読むとしたら本屋さんで買うか、Kindleで無料の本を読むか。
そんな感じだったけれど、図書館で宝探ししよう!という気持ちになった前日。
私は飽きっぽく、数時間後にはやりたいと思ってたことへの熱も冷める、なんてざらにある。
ただ今回は一晩あけた今日も
「図書館に行きたい」って気持ちが続いていたから、気分に従って、行くことにした。
行った先は、初めて行く図書館。
私が住む市内の図書館ではあるけれど、行ったことは無く、初めての体験だ。
行く前に調べた通りの外観をした図書館はガラス張りで、タイルが細々と並ぶ外壁はどこか偉大さを覚える。
真夏のうだる日中。全身蒸し風呂に晒されながら、駐車場に降り立つ。
ミーンミーンミーンと永遠に鳴いているセミが、暑さを加速させていた。
入口、と矢印の指す方向へ歩くが、なかなか着かない。
じわじわと肌を蒸されながらも、ただどこかワクワクした心持ちでぐるっと敷地外を周る。ようやく入口を見つけたと同時に近道を発見するのは、新しい場所ならではだろう。
やっと見つけた入口もガラス張りで、自動ドアに迎えられて一歩足を踏み出せば、見上げるほど高い天井。
機能してんだかしてないんだか分からない、くるくるのヘリコプター?(あれ、なんて言うんだろ)が立派に回っている。
で、左を向けば「図書室」「視聴覚ライブラリー」の文字。
目的だけを言えば、私は左を向いて、ただ歩き出せばいい。
の、だが。
私は足を踏み入れた時、見つけてしまった。
奥の違う部屋のドア横に「パンとコーヒーのおみせ」と茶色でまぁるっこい文字で書かれた看板を。
いや、いやいやいや。
私は、読書を、しに来たのである。
と左脳が私を止めたけれど、足の操縦は右脳になっていた。
気づけば看板の横をすり抜け、お店エリアの前へ。
お店、というよりも広間の一角を借りたようなスペースは会議室のテーブルにカフェテリアのテーブルクロスが敷かれ、森のお茶会で使いそうな竹かごの中に並ぶ、クッキーやパン達。
本来であればイートインもやっているそうだが、私が行ったおやつの時間には既に閉まっており、テイクアウトのみ営業していた。竹かごの中身もまばらだが店員のお姉さんは疲れ知らずの笑顔で、にこりと笑いかける。
「いらっしゃいませ。よかったらご覧下さい」
マスクをしているからかやけに目元が優しく見えた。気付けば、クッキーを手に取った上にレジに向かっていた。
パンとコーヒーの店って言ってたじゃん。
なんてツッコミがどこからか聞こえる気がする。のだが、ココアクッキーが美味しそうだったんだからいいだろ。
「コーヒーもありますか?」
「ありますよ!ただ、今はテイクアウトしかなくて…」
「大丈夫です。お持ち帰りで」
なんてどこかキザったらしい紳士を演じて、スマートに会計を済ませる。340円の紳士。
乾いた喉を潤すコーヒーは少し苦くて、シロップを入れて。
ココアクッキーのさくさくほろほろを楽しみながら、大人のビターなコーヒーを流し込んだ。紳士は紳士でも、甘党紳士だった。
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