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【#9】『犬と笛』芥川龍之介

 先週末、芥川龍之介の本を買いました。(表紙がオシャレだったので)

『蜘蛛の糸・羅生門』芥川龍之介 新潮文庫

 芥川龍之介といえば、高校国語の鉄板である『羅生門』や『蜘蛛の糸』が有名ですよね。

 有名な作品にはどれにも作者の意匠を凝らした跡が見られるものです。

 今回は芥川龍之介の作品の中でもマイナーとされる『犬と笛』という作品について考えてみようと思います。あらすじは以下の通りです。

大和国(現在の奈良県)に住む木こりの髪長彦は、ある日森の中で神に出会う。神が「願いは何だ?」と訊くと髪長彦は「犬が欲しい」と答えた。髪長彦の無欲さを気に入った神は髪長彦に三匹の犬を与えた。その三匹の犬は特殊な力があり、犬といっしょに囚われの身の大和国の姫を救う旅に出る。

https://ja.wikipedia.org/wiki/犬と笛

 囚われの姫を救い、最終的に結婚して幸せになる物語は古来より日本の昔話のプロットとしては定番であり、その点において、この話に一切の新鮮味はありません。

 ただこの主人公、髪長彦は男性には似つかず、髪が長く、作中では侍に手柄を自慢し、それにより犬を奪われて号泣するという女々しさを持ち合わせています。その点においてはある種の珍しさが感じられます。

 芥川は『地獄変』を書く際に、宇治拾遺物語の『絵仏師良秀』という作品をモデルにしたことでも知られるほど、古典作品に精通した作家です。この話にも何かしらのモデルがあるのかな〜と少し気になりました。

 
 『地獄変』にしかり、個人的には芥川の作品はバッドエンドが多いという印象を持っていましたのでこの作品は少し意外な印象を受けました。

  

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