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ブルーオーシャン戦略は正しいのか

ドワンゴの川上さんの記事が素晴らしかったので、それについて。

川上「競争するな」と言うと、「ブルーオーシャンを選べということですね」と反応されることが多いのですが、これは間違いです。ブルーオーシャンには絶対に行ってはいけない。ブルーオーシャンは「青くて美しい海」というイメージがありますが、「青くて美しい海」ということはプランクトン、つまりは事業を成長させるためのエサがないことを意味しています。

ブルーオーシャンというのは、競争相手のいない未開拓の市場という意味ですが、そこを目指してはいけないと川上氏は話しています。

その理由として、そもそも市場が無かったり魅力的でない可能性があるからだと認識しています。もし、魅力的な市場であれば、あっという間に各プレイヤーが参入するでしょうし、そうでなければ何かしらの参入障壁があるということです。

なので、もしブルーオーシャンに見えた市場がある場合、安易に飛び込むのではなく「なぜ他社は参入しないのか」、「そもそも市場があるのか」というところから考える必要があります。競争相手がいないということは、他社がやらない理由があるということを前提に置いた方がいいのでしょう。

では、どうすればいいのかというと、先程言ったことと矛盾するように聞こえるかもしれませんが、競争相手がいるところを選ぶんです。ただし、「強そうに見えて、ほんとうは弱い」プレイヤーを相手に選ぶことが重要です。強そうな相手とは、すでに一定の成功を収めているプレイヤー。そういったプレイヤーが生息している海には、当然エサがあるわけです。本当に強い相手とは競争しても負けてしまいますが、中には「強そうに見えて、本当は弱い」プレイヤーもいる。そういった相手を見つけることが重要なんです。

そのような前提を踏まえ、川上氏は競争相手がいるけどその相手が実は弱い市場を選ぶことが重要と話しています。パッと見はあるプレイヤーのシェアが高いけど市場構造や商品などをよく見ると、それは思い込みで実は彼らの強みというのは無いんじゃないのか?というように。

また、それに関してLayerXの福島氏は市場選択に対してこのように話しています。

ただやっぱり市場なんで、良い市場は競争相手がいて、独占が、競争しないことが一番良いみたいな言説もありますけどまあ競争してますよね。どの会社も。競争してないってことは、あんまり良いマーケットにアクセスできてないってことなんで。良いマーケットにアクセスして早くシェアをとるっていうことが、同時に大きなリスク、リスクってのは過剰な投資、あとから振り返った時に何でこんなことやっちゃったんだろうみたいなことを許容してリスクをとってシェアをとることが極めて大事だと。

川上氏と福島氏、どちらも考え方は同一のもので、競争のない市場というのはあまり良いものではなく、価値のある市場というのはほぼ必ず競争があるということだと言っています。

川上氏は、参入余地がないと勘違いをしている市場を狙っていて現にN高校を作り教育事業に進出しています。福島氏は、ブロックチェーン技術を利用するスタートアップを作り、金融領域やDXなどのビジネスを展開しています。

福島氏においては川上氏のような「勘違いをしている市場」ではなく、まだ市場自体が黎明期の不確実性が高い時期にリスクを取ってシェアを取りに行くという戦法を取っています。一般的に資金力のある大企業は不確実性を嫌いますから、スタートアップ企業にとってはそのような不確かな市場に早くから参入することで勝ち筋を作っていくわけです。いずれも戦い方は違えどマーケットの見方は共通しており大変参考になります。

つまり、何が言いたいかというと安易なブルーオーシャン戦略の考え方は改めて、マーケットの実態を見極めること(川上氏の戦法)や、有望だけど未成熟な市場にリスクをとってエントリーをして先回りしておく(福島氏)などの戦い方が有効ということです。実際にやってみるのはかなり難しいのでしょうが、成功した実業家の考え方が無料で読めるのはありがたい時代ですよね。

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