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図書館をもっと知りたい使いたい〜『100万回死んだねこ』

きょうの午後はまるまる図書館で、たっぷり本を読んだり、考えごとをしたり、本棚を見て回ったりしていました。

そこで見つけた本が『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』です。

だいぶ前に、ある図書館でよく尋ねられる間違った書名を、ウェブで公開して話題になっていたことがありました。ほぼ日の「言いまつがい」が流行っていたころでしょうか。

すっかり忘れていたのですが、そのウェブ上のストックを厳選して書籍化されたのがこの本。編著者は福井県立図書館、2021年10月に出版されています。

『100万回生きたねこ』の覚え違いとは、意外と分からずに通じてしまう、好事例がタイトルになっています。「死んだ」と「生きた」じゃ大違いなんだけどね、気持ちはわかります。

立ち読みしてたら、数々の覚え違いに思わず吹いてしまいそうになり、慌てて借りて帰ってきました。ただ笑えるだけではなく、すごく共感できちゃう覚え違いが満載です。

好きだった覚え違い3選

宮部みゆき『ソロモンの秘宝』はありますか?
→『ソロモンの偽証』ですね。

ありそう〜。司書さんの迅速な返しが想像できる!

人生が片付くときめきの魔法』を探しています。
→『人生がときめく片付けの魔法』でしょうか。

わかるし通じる。人生が片付くとしたら……終活の本かな?

ブレードランナー』はありますか?
→『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』ならございます。

映画『ブレードランナー』の原作がさらりと出てくるなんて!惚れる!

図書館司書さんたちの思い

元ネタ、最新の覚え違いタイトル集はこちら(↓)で全部読めます。ときに味わい深く、ときに爆笑です。

こうしてウェブ上で公開したこと、そして書籍化して福井図書館がもっとも伝えたかったことは、図書館司書のレファレンスサービスをもっと知ってもらいたい!という思い。

数々の覚え違いとその解決事例を、司書だけで共有するのはもったいない、という思いがありつつ、検索端末を操作して落胆して帰る人が多いことに、心を痛めていたそうなのです。
聞いてくれれば手助けできるかもしれないのに……と。

たしかに、もったいない。一方で覚え違いでもとりあえず聞いてしまう人がいるのも、人間の性格の両極端を見るようでおもしろいですね。

書籍には他に、検索のコツ、便利で奥深いレファレンスサービスの使い方のほか、司書さんたちの仕事の喜びやなぜ司書になったのかという熱いところまで、読み物としてのプラスアルファも収録されています。

以前、参加している読書会でも話題になったことがありました。
図書館司書さんは、めっちゃ優秀だからなんでも聞いた方が良いよ、と。
シェイクスピアの戯曲はどれから読んだらよいか、とアドバイスを求めたところ、出版社や翻訳者の違いによる、特徴や読みやすさなどを教えてくれたそうです。

司書さんはすごい!という一方で、司書資格をとっても、意外と勤務状況は過酷な場合があるそうで……。有能な司書さんは、相応に評価されるべきだと思いますが、それが待遇に換価されるかというと、そうではない職場もあるというのは残念です。

図書館はもっと流行っていい

わたしは、中古本も利用しますが、図書館もよく利用します。
近所の2つの図書館を使い分け、つねに予約登録をしている状態のヘビーユーザーです。

ですが、コロナが流行したとき、図書館は早々に閉館し、しばらく立ち入れない場所になってしまいました。しばらくすると、カウンターだけは開いて、予約の本だけは受け取れるけど、本棚の閲覧ができないという状態に。

その後すこしずつ開放されはじめたものの、60分以内に用をすませてくださいの貼り紙、長居できないよう席がつぶされ、図書館は楽しく過ごせる場所ではなくなっていました。子どもたちもすっかりいなくなり、もともと静かな図書館が、ちょっと怖いくらいに静まりかえっていました。

いつも雑誌や新聞を読みに来ていたみなさんには、本当につらい時期だったと思いますし、思い返すだけで寂しい気持ちになりますね。ただ、今も以前ほどは人が戻りきっていないように思いました。空いてて快適なのもいいのだけれど。

図書館がどれほど便利で使えるかを、もっと多くの人が知っていて欲しいな、と思います。イベントなども少人数から再開しているようなので、巻き返しに期待しています。

公共図書館を使い倒したい

図書館の本をリアルタイムで検索できるサービス「カーリル」はご存知ですか? 全国7,400以上の図書館の在庫や貸出状況が分かるんです。

わたしの友人に、自宅付近や職場近く、通勤道中も含めて、23区のうち約1/3の区の図書館カードを持っている強者がいまして、まさに使えるサービス!
自治体によって蔵書や人気の傾向も違ってくるようで、地域性も見える面白みもあるのですね。

自治体ごとのウェブサービスは、目当ての本を自ら検索する能動型ですが、こちらは提案型の要素があり、自分の登録した地域の貸出状況とともに見られるので、楽しく本探しができそうですね。

また、国立国会図書館や東京都立図書館がとっても使えることを、わたしはコロナ禍に入ってから知りました。

コロナ禍でずっと閉館だった都立図書館では、ある調べ物でメールによるレファレンスサービスを利用してみたのでした。すると、課題に対するいくつもの調べ方と、蔵書の在処について、丁寧にメールを返していただけました。これも司書さんのお仕事ですよね、めっちゃ助かります、使えます。

国立国会図書館は、敷居が高いかと思っていましたが、コロナ禍に抽選予約制という仕組みを利用したら、意外にさくっと予約が取れ、空いていて超快適でした。
利用方法を覚えてしまえば、落ち着いて調べ物ができる、都会の穴場スポットです。現在は入場制限も緩和されて予約なしでも入館できるようです。

福井県立図書館の司書さんによる本を見つけたことから、図書館について思いを巡らせることとなりました。
ほんとうに、時間がもっとあったらなー、と思うのですが、これからも時間をつくって使っていきたい気持ちも増した、図書館本でした。


最期まで読んでいただけただけでも嬉しいです。スキをいただいたり、サポートいただけたら、すこしでもお役に立てたり、いいこと書けたんだな、と思って、もっと書くモチベーションにつながります。 いつかお仕事であなた様や社会にご恩返しできるように、日々精進いたします。