社員からの提案を活性化させるためには?
『会社は経営者(組織はマネージャー)の器以上に大きくならない』とよく言われます。ワンマン体質で周囲の声にあまり耳を貸さずにトップダウンが多い会社になるほどその会社(組織)の器はトップの力量で決まってしまうのではないかな、と。どんなに優秀な人であってもやれることには限界があるものです。その限界を超えるためには周囲の力をうまく引き出し、「集合知」をもって事業にあたる必要があります。
事業がうまくいっている会社は社内が活気で溢れています。
多くの社員が活動的でイキイキと働いており、様々な議論が交わされています。その結果、事業もうまくいく。こういった循環をつくるためには経営層/マネージャー層が意図的に雰囲気をつくりあげる必要があります。
さきほど、会社を自分以上の器にするためには周囲の力をつかった「集合知」が必要と言いました。社員が自発的に集合知を作りあげるためには「心理的安全性」のある環境をつくり、自由に提案・議論できる環境にすることが大事です。そういった環境をつくりたいと僕なりに心がけていたことを今回は書き出したいと思います。
■提案してくれただけでプラス評価:
社員が会社のことを思ってなにかしらの提案をしてくれる。これは「何かを生み出す行為をしてくれている」ということなので、少なくとも現状よりもプラスの行為だと思います。よって、その中身はどうであれ提案のために考えて行動してくれたということだけでプラス評価をするようにしていました。どんな内容であってもマイナス評価にしてはいけません。
マイナス評価になる可能性がある場合、提案する側もある程度の勇気が必要になってきます。「そんなリスクをわざわざ冒すくらいなら提案なんてしない方がいいや」という空気になることは避ける必要があるのでどんな内容であってもプラス評価にするという軸はブラさずにいました。
■提案してきてくれた内容に否定から入らない:
せっかく考えて提案しても「ここがイマイチだ」「詰めが甘い」「本当にこれ意味あるの?」みたいな否定から入られてしまうと、二度と提案なんかしたくないと思ってしまうものですよね(苦笑)。
このため、僕は提案してくれたときにはなにはともあれ肯定&賞賛から入るようにしていました。よってこういうときの僕から真っ先にでる口癖は「いいじゃん!」です(笑)。そこにパッと聞いただけで良い企画なら「やりなよ」が追加されます(笑)。
否定から入るのではなく、とにかくまずは「受け入れる」ことが大事です。
■提案してきてくれたことに対して結果をしっかり伝える&実行する:
提案してくれた内容を聞いたものの、それについてどのように感じたのかしっかりフィードバックをしない人が意外と多いようです。「ちょっと持ち帰る」といって、そのままウヤムヤにして終わらせてしまうこともあると聞きます。
提案内容が良いのか悪いのか、不足があるならなにを追加すればいいのか、フィードバックをすることは相手に対しての礼儀だと思います。
もちろんどんな提案でも受け入れられるわけではありませんが、どうしても実現できない場合でも理由をしっかりと伝えてあげれば良いでしょう。
そして良いと思った提案については即実行に移す。
提案してくれた相手は変化をさせることが目的で提案してきているわけです。話を聞いて終わりではなく、しっかりそれを素早く実行してこそ「提案した甲斐があった」「提案するとこの会社はちゃんと実行してくれる」と思って、次のさらなる提案につながっていくものです。
■周囲に伝えて次なる行動を促す:
先述のように、提案してきてくれた人はプラス評価です。でも評価者だけが評価をするのではもったいない。・・なので僕は「●●さんがこういう提案をしてくれて凄い良かった」などと周囲に言いふらすようにしていました(笑)。これによって周囲の人も誰がどんな動きをしていたかわかりますし、会社や評価者がこういう行動を評価すると理解できます。
そうなると「この会社は提案しても大丈夫な会社なんだ」「提案すると評価が上がるんだ」と理解できて刺激される人がでてきます。こういう循環を生み出すことが経営者やマネージャーの仕事のひとつだと思います。
・・とこんなことを意識してやってきたつもりですが、実際にいろいろな提案をしてきてくれたところをみると、それなりに機能していたのかなと思います。
せっかく多くの人が集まって活動をしている組織なのであれば『集合知』をうまく使わないともったいないので、なにかしらの参考にしていただけると幸いです。