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『それ本当にやる必要ある?』から始める。

日本の課題としてよく『労働生産性の低さ』が挙げられます。

上記のサイトにも記載のある通り『日本の時間当たり労働生産性は、49.5ドル(5,086円/購買力平価換算)。OECD加盟38カ国中23位』『日本の一人当たり労働生産性は、78,655ドル(809万円)。OECD加盟38カ国中28位』。国ごとの制度の違いやそもそもの算出方法であったりと、その結果(単純比較)にはいろいろと疑問はあるものの『生産性を上げていく』ということはどちらにせよどの企業もやらないといけないこと。


『生産性が低い』原因に『労働時間の長さ』が挙げられることが多いですね。個人的には、しっかり成果を残せるのであれば(自らがやりたいと思っていることが前提で)労働時間が長いこと自体はフォーカスしないで良いんじゃないの?と思いつつ、確かに無駄に時間をかけて(かかってしまって)いる仕事があるのも事実でしょう。

労働時間の削減のためには業務内容やフローも含めて「必要のない作業は削除する」「もっと効率的なやり方や代替の方法はないかを検討する」ことが必要になってきます。

昨今よく聞く『DX(デジタルトランスフォーメーション)』というのもこの流れのひとつ。なかには単純に「手作業でやっていたことをデジタル化することがDXだ」と思っている方もいるようですが、いずれにせよ昨今の事情もあって今後ますますこの動きが促進されていくことは間違いないでしょう。


新しい業務を始める際や既存の業務を改善する際に必要なのは、まず『それ本当にやる必要ある?』という問い。

例えば『業務の改善活動』はあくまでその業務が必要であり、やり方を変えてより良いものにするということなので、その業務自体がなくなるわけではありません。よって、大小あれどもなにかしらの稼働や費用は必要になります。しかし削除できれば稼働も費用もゼロですみます。

既存の社員たちで活動をするのであれば、本来は他に使えるはずだった稼働がその施策に使われることになり、営業活動や制作活動に影響がでるかもしれません。その施策専属の人員を新規で採用するとなれば人件費が増加します。もちろん必要であればやるべきですが見直してみると実はそこまで必要ではなかったり、費用対効果の悪い施策というのはけっこうあるものです。

このため、何かやる際にはまず「その業務や施策って本当に必要?」という根本的な問いかけから始まり、次に業務フローの細部に渡って都度「その資料制作って本当に必要?」「その会議って本当に必要?」・・といったように都度問いかけます。

人の時間は誰しも1日24時間しかないので、無駄は省き、必要なことのみに時間を投下したいものです。


仮に「やる必要がある」という判断がでたとしても、それが「やった方がいい」レベルの話なのか、「必ずやるべき」レベルの話なのか。
後者は文字通り当然やるべきですが、前者の場合はあえて『やらない/放置』していても実は特に支障はないことなのかもしれません。意外と「やった方が良い」レベルのことに過剰に反応して「必ずやるべき」レベルだと勘違いして取り組んでいる例も見かけるのでこちらも注意したいところです。

「課題を解決する」というのは誰が聞いても悪い話ではないので『否定』しがたいもの。このため「それ必要ないからやめよう」とは現場からは言いづらいところがあります。上司からの印象が悪くなることを恐れて言えない、ということもあるでしょうし(苦笑)。
・・なので「それ必要ないからやめよう」と言うのはトップやリーダーが言ってあげる方が良いのでしょうね。


僕がD2Cdotの代表をやっていたときに心がけていたのは「現場のメンバーには極力目の前の案件に集中できる環境をつくる」ことでした。
このため、社内会議は最低限しかやりませんでしたし、資料制作なんてほとんど依頼したことはないと思います(苦笑)。できる限りそういう機会をつくらないでも良いように普段から会話を多くしたり、今後必要になりそうな資料はちょこちょこと事前に自分で用意しておくなどいろいろと工夫をしていました。あとは小さな問題にはあえて目をつむってスルーする、という割り切ったこともしていましたね。

・・とはいえ、現場のことだけをずっとやっていてもらえばいいというものでもありません。上のレイヤーを目指してもらうためにもあえて経験してもらわなければいけないこともあるでしょう。
その場合は、やってもらうことで起こりそうな問題を事前に想定しておき、実際に影響が出た際にどこまでを許容するか(どのタイミングで止めるか)を決めておきます。事前に優先順位や撤退基準を決めておけば軌道修正もしやすいのでお願いしているこちらも安心して任せることができます。


繰り返しますが、新しい業務を始める際や既存の業務を改善する際に必要なのは、まず『それ本当にやる必要ある?』という問い。
やらないことから決めるということが順番としては大事だと思います。

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