困った時の応急ケア ~うつ・気力落ち対策~
困った時の応急ケアシリーズ、3回目です。
仕事、学校、家事。やらなきゃいけないと本気で思っているのに、カラダが動かない。気力が湧かない…。
そんな自分や、家族・周囲の人に困っている方へ。
これを理解していないと、よくなるどころか悪化や長期化をさせてしまう!という、超重要な内容をお伝えします。
▼LISTENでの音声配信記事はこちら
やらなきゃ!なのに動けない! そんな時、絶対理解してほしい2つのこと
うつや気力落ちで困った時の対処法について。
やらなきゃ!なのに動けない。
自分だけでなく、家族や周囲の人が困っているというケースもある。
タイトルのうつ・気力落ちとは
仕事や学校に行かなきゃいけない、やらなきゃ!と本気で思ってるのに、
カラダが動かない、気力が湧かない。
本人は本気でやらなきゃいけないと思ってる。
なのに、そのカラダや気力が言うことを聞いてくれないという状態のこと。
ちなみに、うつ・気力落ちは誰でもなる。
「うつ」という言葉に敏感に反応して、うつ・気力落ちの状態を大変な病気みたいに捉える人がいるが、そうではない。
うつ・気力落ちの幅は広い。
なんとなく疲れた、やる気が出ないというのはプチうつ状態。
病院に行っても、うつ病という診断はおりず、うつ状態、抑うつ状態という診断がつくこともある。
うつ状態がひどくなったり、重くなったりして、悪化したものがうつ病。
17年間心理カウンセラーをやってきて、うつ・気力落ちになって仕事を休職することになった(なりそう)、あるいはお子さんが不登校や引きこもりになっているという方をたくさん見てきた。
今日の内容は、自分の経験も踏まえている。
うつ・気力落ちからの回復は、正直、すぐに良くなるとはいえない。
でも、少なくとも、長引かせない、悪化させない、こじれさせないために、絶対理解しておきたい2つのことを紹介する。
【1】その状態は、緊急省電力モード
やらなきゃ!なのに動けない状態。
それはスマホでいう「緊急省電力モード」。
これを絶対に理解しておきたい。
スマホやパソコンの緊急省電力モードは、
バッテリーが少なくなったとき、バッテリーがゼロにならないように、バッテリーを大量に消費するアプリを自動的に閉じるなど機能を一部制限する、画面を暗くするといった、節約モードになること。
人間のカラダも実は同じ。
心身が消耗してバッテリーがかなり減ってしまうと、これは危険だと判断して、自律神経が自動的に省エネモードになる。
だから、やらなきゃ!なのにカラダが動いてくれない、意思に反している状態は、緊急省電力モードになっているのだと、気づいてほしい。
まずはその事実に「気づく」。そして受けとめる。
応急ケアシリーズの第1回目で、鉄板の3ステップ、気づき、受けとめ、調整するを紹介した。
特にうつ・気力落ちのときは、最初の「気づく」が超大事。
やらなきゃ!なのに動けない状態のとき、「私は緊急省電力モードになっている」と気づいてほしい。
スマホなら、バッテリーの残量が20%、赤表示かもしれない。
私、こんなに消耗してるんだ。こんなに疲れてるんだ。
まずそれに気づいて、受けとめる。
気がついたら、これ以上消耗しないように、消耗させるアプリを閉じるなどして、バッテリーを使わないようにする。
あとは休む。つまり充電する必要がある。
真面目な人や頑張り屋さんほど、うつになると聞いたことがあるかもしれない。これは事実。
「大変だから休む必要がある」ことに、なかなか気づくことができない。
私は従業員のストレスチェックや会社でのカウンセリングを11年ぐらいやってきた。
「もう休まなきゃダメだ」「疲れているから休む」ということを理解して実行してもらうことが難しいと実感している。
特に、臨床現場で会う「うつ状態で休職になった、なりそう」という人に、「疲れているから休む」を理解して実行してもらうのには、平均で数ヶ月はかかる印象がある。長い人だと、すでに休職に入っているというのに、それを心から理解し実行するのに、半年から1年かかってしまう人もいる。
【2】責める、圧をかけるは、悪化のもと
うつ・気力落ちの時に、自分自身、あるいは周囲がうつ・気力落ちになっているの人のことを責める、圧をかけるというのは、本当にNG。
悪化させたり長期化させたりすることになる。
ここを理解できておらず、悪化、長期化している人をたくさん見てきた。
うつ・気力落ちになる人は、責任感が強い人が多い。
周囲が責めることもあるけど、一番は、自分が自分を責めてしまう。
そのケースが多い。
「やらなきゃ!なのに、やれていない自分はダメだ」、
「みんなに迷惑をかけて申し訳ない」「罪悪感」など。
でも、思い悩んだり、いろいろ考えたりすること自体が、頭や神経をものすごく消耗させる。
仕事を休む、学校を休んで不登校状態になっている時、
本人は休んでいると思っている。
でも、休んでいるのに良くならない。
なぜならカラダは休んでいるようでも、「自分はダメだ」と思い悩んでいると、頭、心、神経が休まらない。
だから、いつまでも回復しない。
考えると、脳はものすごくエネルギーを消費する。
スマホは緊急省電力モードの時、大量のバッテリーを使うアプリを勝手に止める。
いろいろ考えている脳は、とってもバッテリーを食うアプリと同じ。休むときには、極力アプリの使用を控えたい。
調整の仕方は、「減らす」と「充電する」
少しでも早く回復させるにはどうしたらいいのか。
まず、消耗させるものを減らす。
次に、気づき、受けとめ、調整する。
スマホだったら充電する。
人間にとっての充電とは何か。
大きく次の3つ
1.休む。
2.ケアをする。
3.滋養を与える。
まず休むというのは、睡眠をとる、仕事や学校を休む。
休んでいる間は、頭で自分を責めたり、悩んだりしないで、本当に休む。
少しでも心やカラダが休むような、軽くなるようなことをする。
次に、ケア。
ケアとは、ダメージを受けたり、傷ついたりしているところを治療する、癒すという意味。
例えば、すごくショックなことがあったり、傷ついたりしているのであれば、つらいんだと、誰かに話を聞いてもらう。
慰めてもらう、自分でねぎらうということ。
最後は「滋養」を与える。
栄養という言い方をしても良いが、あえて滋養という言葉を使う。
心やカラダにじわじわと染みるような、効くようなもの、
ほっこりするようなもの、自分の好きなこと、心地良いと思うことが滋養。
自然や動物に触れる、カラダをちょっと温めてあげるでも良い。
ポイントは、休む、ケアする、滋養を与えるでも
その人にとって心地よく感じる、ちょうど良いものにするということ。
例えば、YouTubeを見ることが自分にとっては気が抜けて楽になるんだと思うならそれで良い。
でも、YouTubeを見ることで興奮し、それが刺激になって、
脳が疲れ、消耗させてしまうなら、
もうちょっと刺激が少ないものの方がいいかもしれない。
人の感じ方や受け取り方は差がある。
とにかくその人の心やカラダや脳にとって、ちょうど良くて心地良いような充電をしてほしい。
まとめ~四葉視点から~
困った時の応急ケア、うつ・気力落ち状態。
やらなきゃ!なのに動けない時に、絶対に理解すべき2つのこと。
1つ目は、うつ・気力落ち状態は、スマホやパソコンで言う「緊急省電力モード」だと気がつくこと。
2番目は、本人もしくは周囲が責める、圧をかけるというのは本当にNGということ。
うつ・気力落ち状態に気づくというのは、四葉視点でいう「カラダ視点」。
わかっているのにカラダが動かない、気力が湧かない、そういうカラダの状態、神経状態になっているときは、緊急省電力モードなんだというカラダ視点で気づく。
次に、うつ・気力落ち状態では何をすべきかという「ニーズ視点」からは、バッテリーを食うことを減らす、充電する必要があるということ。
うつ・気力落ち状態の時は、本当に早期発見、早期対策が大事。
悪化させない、こじらせない、長期化させないために、早めに気づいて、それをちゃんと受けとめて、必要な調整をしよう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?